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第十五幕 就職渇胴

しゅうしょくかつどう。

れっつ、しゃかいじん。

「そういやさー昨日の夢に***が出てきたんだよ。」

「マジで?、何?夢で俺の死体を探してくれとか頼んできたの?」

「なんで***が死んでることが前提なんだよ。」

「なんとなく。で?、実際はなんて言ってきたんだ?」

「忘れた。つーか憶えてない。」

「なんじゃそりゃ。」

「いや、だって、夢なんてそんなもんだろ。」









■■■










おはようございます。というか、こんばんは。

夢を見ることを諦めたはずなのに夢でしかありえない状況に陥っているイッヒです。その悪い夢みたいな状況で悪夢を見て目が覚めました。そりゃあもう、

ぎゃぁぁぁぁって感じで飛び起きました。寝汗びっしょり、

心臓バクバク、

呼吸はぁはぁ、


「あ〜〜〜〜〜、



あれ?


どんな夢だっけ?」


しかし悪夢なのは憶えているけど内容を忘れました。

どうなんだろうこれ?

普通こういう状態になったら夢の内容を鮮明に憶えているもんだと思うんだけど、まあ、自分自身の精神を守るために無意識に記憶をガードしたとしとこうか。

無意識に記憶を封印するぐらいなら無意識に悪夢を見せるんじゃねーよと言いたいが、いかんせん言う相手が自分自身なので黙っておく。

悪夢どころか幻覚まで見始めたら考えるけど。

とまあ、いつも通りに益体もない思考をして気持ちを落ち着かせたところで毛布を剥ぎ立ち上がり自分が寝ていた野戦用のテントをよたよたと出る。

ちゃんとトンガリ帽子兜を装着するのは忘れない。

ありがたいことにこのテントは一人用なため、中に居るときはトンガリ帽子兜を被る必要が無い。まあ、バンダナを頭にはまいたままだけどね。おそらくこの一人用にテントは、エーリカが気を使って準備してくれたんだろうけど、その所為で兵士達の間でいろんな噂や憶測が飛びかっているらしい。らしいというのは直接に自分が聞いたわけではなく、ミケさんから間接的に聞いただけなためだったりする。その話をした時のミケさんの瞳が増悪に染まっていた気がしたのは気のせいだったと思いたい。いったいどんな噂と憶測が飛びかっているのか非常に気になるところ。いやほんと、あのミケさんの殺意が籠もってた眼を見るかぎりとんでもない噂が流れてるとみた。

とかまあ、

そんなんでまぁ、

どうでもいいこと考えながら気晴らしにテントの外を散歩してみる。

見上げれば満天の夜景。


星が綺麗だ、今何時?


まあ、時間はわからないけど夜だというのは分かり切っているからいいか。

周りを見渡せば勝利に浮かれて酒盛りしていた兵士達も大分静かになってるし、かがり火も消えかかってるし、見張りの兵士もうつらうつらと船をこいでるからおそらく深夜か明朝ってとこかな?

そう結論付けながら、いびきやうなり声や寝息をかいてる兵士達の脇を縫うように歩いて森の入り口まで進む。


さて、立ちし「よぉーうイッヒの旦那ぁー。夜の散歩たとは洒落てるじゃねーか、きひひひひひひ。」


おおぅ、ビックリした!!


タイミングを考えろシュルツのにーちゃん。

「きひひひ、ようやくあんたの驚いた顔を見れたぜ、きひひひ。」

いや、誰だって夜中歩いていて突然目の前に逆さまの状態で登場されたら驚くよ。

つーか、例え外でも上から登場したいのかねこの銀髪赤目にーちゃんは。

「・・・こんばんはシュルツさん。さて、どのようなご用件で?」

「あん?、なんだ、もういつものイッヒの旦那に戻っちまったのか。つまんねーなきひひひ。」

そう笑いながらシュルツのにーちゃんは、クルリと体を縦に一回転させてシュタッと、地面に、自分の目の前に降り立った。

相変わらず素晴らしい運動神経。

拍手。

パチパチパチパチ


「きひひひ、まあそう話を急ぐなよイッヒの旦那ぁ。せっかく星が綺麗な夜なんだ、少しくらい語ろうじゃねーか。」

野郎と夜のデートする趣味はないんだけどなー。

「まあ、いいですよ。で、なんの話をしましょうか?」

多少は悪夢を見た後の気分転換にはなるだろう。

「きひひ、あーーそんなたいした話じゃねーんだけどよぉー。なんつーか、アレだアレ。」ドレ?

「あんたに聞きたいことがあるんだ。」

クエスチョン?

「あんた、・・・イッヒの旦那はいったい



゛何゛



なんだい?」



・・・・・



「今日の戦が終わってから聞いたんだが、あんた戦いの最中に吐いたらしいじゃねーか。」

うっ、忘れたい過去を。

「しかも戦が終わった後の戦後処理やら遺体の確認作業も後方に下がって見ようともしなかったてな。」

そりゃあ、死体なんか見たらまた吐くだろうし、それ以前に気持ち悪くて寝込んでたからね。

「夕食だって禄に食べてないらしいじゃねーか。青い顔して一口も食べなかったて兵士達が笑ってたぜ。」

否定はしない。

というか出来ない。

「そしてさっき、随分悪夢にうなされてたしよ。」

覗き見ですか。趣味が悪いね。

「まるで初陣したばっかの新米兵士か、虫すら殺したことない女子供みたいじゃねーか、きひひひ。」

まるでっていうかその通りなんですが。あっ、自分はちゃんと男だし虫も殺したことはあるよ。

「そのくせ、そのくせよー。俺と初め会ったときは侵入者だとわかってもビビらねーし、殺気を向けても平然としやがるし、魔帝閣下を相手に堂々と振る舞い、挙げ句には侵入者の俺を雇おうとするしな。

ただ者じゃねーと思ったぜ。かなりの大物だと感じたんだぜ?

きひひひひひ、

なぁ?、イッヒの旦那よー。あんたはいったいどっちなんだ?

ただの新人付き人か?

軟弱な新米兵士なのか?

それとも

魔帝国を影で操ろうとしている大物か?

閣下の忠義なる付き人か?


なあ?


なあなあ?


いったいぜんたいあんたは


゛何゛


なんだ?」


きひひひ、と笑いながら自分の目を真っ直ぐ見つめる赤目のにーちゃん。

さて、

なんかデジャブーを感じるんだけど・・・あぁ、そういえばミケさんからも似たような、いや、ほとんど同じ質問をされたっけ?

あの時はなんて答えたっけか?

というかちゃんと答えたっけ?

「どうなんだイッヒの旦那?、黙ってちゃわからねーぜ。」


自分が゛何゛なのか、ねえ?




「・・・さぁ?」




「あん?」


「だから、・・・さあ?」

「・・・いや、゛さあ?゛、じゃ答えになってねーよ。」

いや、でも、ねえ?

そうは言われましてもそれ以外の答えが思い浮かばないんですよ。

う〜ん

う〜〜ん

う〜〜〜ん、

う〜〜〜〜ん、

う〜〜〜〜〜〜〜〜ん。

ダメだ、やっぱ解らない。

「・・・・・・・・きひっ、きひひひ。」



「きひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ。」

なんだよ。人が一生懸命に考えているっていうのに、笑うことはないでしょう?

ちょっとデリカシーに欠けるんじゃないんですか?

「・・・何がそんなにおかしいんですか?」

「きひひひひひひひひひ、きひっ、ひひ。面白れーよ。本当に面白れーよ。面白過ぎて腹がよじれそーだ。きひひひ。普通、普通よー、自分自身の正体を悩むか?。しかも本気で。俺を騙そうとしてるとか、いくつも顔を持っているとかなら解かる。それに見破れる。だけどイッヒの旦那は嘘偽り無く自分の正体を理解していないだろ。」

きひひひとひたすら爆笑するシュルツのにーちゃん。若干カチンときたのでジト目で睨んでいると、ふとした疑問が思い浮かんだので口にしてみる。

「ところで、何故いきなりそんな質問を?」

「きひひひ、あん?。何故ってそりゃーこれからあんたと一緒に働くことになるんだぜ?、同僚の正体ぐらいは知っておきたいじゃねーか。」


はぁ、ん?、あれ?、゛同僚゛ってなに? 


「オイオイ、なんだその不思議でたまらないって表情はよ?。さっきの戦いに勝利できたら俺を魔帝閣下に紹介してくれるって約束してたじゃねーか。まさか忘れてたとか言わねーよな?。」

「ハハッ、ソンナマサカ。」

すいません、すっかりきっちり忘れてました。

そう言えばそんな約束してましたっけ?。

フリーターからサラリーマンにジョブチェンジを望んでいたんでしたっけ?

「怪しいなぁーオイッ。きひひ、まあ、あんたが忘れてようが覚えてようが関係ねーけどな。ちゃんと約束は果たしてもらうぜ。」

きひひひ、きひひひ、と笑いながら自分の左肩を掴んでくるシュルツのにーちゃん。まるで逃がすつもりはねーよと言わんばかりにガシッと手に力を入れる。


正直に言います。爪が食い込んで痛い。


「わ、解りましたよシュルツさん。ちゃんと約束は守ります。だからその掴んでいる手を離して下さい。」

「なんか拍子抜けだなーオイ。城で話をした時の威勢はどうした?」

「肩の痛みには変えられませんよ。」

「きひひひ、やっぱイッヒの旦那は一筋縄じゃいかねーっつーか、肩透かしをさせられるっつーか、なんっつーか。」

っつーか、何?

「面白しれーよ。」

最終結論はそれですか。

そうですか。

「きひひひひひひひひひ、あんたの正体とかはもうどうでもいいや、少なくともイッヒの旦那と一緒に居れば面白ことは確かだ。退屈はしないだろうぜ。きひひひ。」

ふむ、まあ納得してくれたから良しとしましょうか。

しかし、この銀髪赤目の魔族のにーちゃんは、自分がただの人間だと知ったらどう思うんだろうか?

騙されたと叫び怒るのか。

騙されたと笑い讃えるのか。

裏切り者と殺すのか。

人間共の手先めと殺すのか。

いったいどんなリアクションをとってくれるんだろう?

軽く楽しみだね。

いや、殺されたくはないけどね。

マジで。

「・・・どうしたイッヒの旦那?、急に黙っちまって。」

「ん?、ああ、エーリカさんにどう言ってシュルツさんのことを紹介しようかと悩んでまして。」

「おお、そうか。ならなるべく早めに紹介してくれると助かる。滞納してた分の家賃ね期限が近いんだ。」

だから、なんでそこだけ生活臭が漂うんだよ。

「具体的に言えば10日以内。」

結構切羽詰まってるんだね。

「だめならイッヒの旦那が金貸してくれ。」

・・・・・・

「低金利で頼むぜ?」

「わかりました。早い内に、大至急、今すぐにエーリカさんに紹介してあげますね。」

じゃないとシュルツさんに対する自分のイメージが大変なことに。

というかもはや手遅れなような気がしないでもないような。

まあ、いいや。

「んじゃ、行きましょうか。」

「あん?、どこにだよ?」

「どこって、エーリカさんのところですよ。シュルツさんを紹介しないと。」

「オイオイ、こんな夜中に恐れ多くも魔帝閣下の寝所に行く気かよ?。非常識にも程があるぜ?」

いつも天井から登場するシュルツにーちゃんに非常識とか言われたくはない。 

「まあ、大丈夫じゃないですか?。それにほら、自分夕食食べてないじゃないですか。」

「おお。?」

「お腹が減ってるんですよ。きっとエーリカさんのところになら何か食べ物があると思うんで、シュルツさんを紹介するついでに小腹を満たそうかなと。」

会話してたら大分気分が良くなったから、なにか胃の中に入れとかないと明日とか持ちそうにないし、最初の目的だった気分転換は十分に達成できたようだからね。

ほら、よく言うでしょう


腹が減っては戦はできぬ。


ついでに、善は急げと。

膳も急げと。

それじゃ行きましょう。

「こっちですシュルツさん。どうしました置いてきますよ?」

「・・・きひっ、きひひひ。俺、もしかしてはやまっちまったか?、きひひひ。」




■■■




引きつった笑いをしたシュルツさんを連れてエーリカさんが寝ているテントの前までやってきました。途中、テントにも入らずに酔っぱらってゴロ寝している兵士や小石につまづくこと4回。内1回は地面にダイレクトダイブ。

てか今。

「きひひひ、大丈夫かいイッヒの旦那。」

大丈夫だと信じたい。

「イッ、イッヒ殿。なっ、何をしておられるのですか?」

見張りの兵士さんですか、お勤めご苦労様です。見ての通りコケてますがなにか?。

「たっ、立てますか?」

立てますよ。

「よっと、ほっ。ふう。」

っと、無駄に掛け声をかけて立ち上がる。

実は空腹のあまり変なテンションになってる。

「さてと、それじゃあシュルツさん。テントに入りましょうか。」

「ちょっ、ちょっとお待ちくださいイッヒ殿。現在閣下は就寝中につき通すことは出来ません。陽が昇ってから改めて出直して下さい。ましてや後ろにおられる素性の怪しい方と一緒では、なお更通すことはできません。」

ザッと、通せんぼするように自分の前に立ちふさがる見張りの兵士さん。職務に忠実なのは結構だけどもう少し融通が効いてほしい。

てゆうか、言われてみればその通りだね。

うっかりしていた。

「きひひひ、そりゃあ当然だろうぜ。ほら、イッヒの旦那も夜が明けてからまた来ようぜ。」

まあ、しょうがないか。

空腹なのはなんとか我慢するとしよう。我慢できるかな?、我慢するしかないんだけどね。

と、人間の三大欲求の一つと理性がつばぜり合いを始めたところで、いきなり見張りの兵士が

「あっ!?。まさか・・・。」

なんて言って固まるもんだから、自分とシュルツのにーちゃんも突然叫び声を上げた見張りの兵士に驚き固まる。

驚き固まりつつも見張りの兵士を見ると、顔を青くしたり赤くしたりと忙しく変化させた後。

「しっ、失礼いたしましたイッヒ殿。気が回らず申し訳ありません。ささ、どうぞお入り下さい。出歯亀はいたしませんのでご安心を。」

なんて突然意見を変えてきた。

てか、出歯亀ってなんだ出歯亀って。

「・・・噂通り、イッヒ殿と閣下の関係は・・・二人共お若いですし・・・春だなぁ・・・。」


・・・・・


「きひひひ、俺は遠慮しよーか?」

「本末転倒もいいところです。いいからついてきてください。」

「きひひひ。」

「ああ、それと見張りの方。」

「なんでしょうか?。ちゃんと邪魔者がこないように見張っておきますが?。ご存分によば、いえ、逢瀬を満喫してください。」

「・・・今度、そんな下品な話をするようでしたらどうなっても知りませんよ?。後、それは盛大な勘違いですので悪しからず。」

絶対に噂の根源を断ち切ろう。なにがなんでも噂を無くさなければいけないね。

スキャンダルは勘弁だよ本当。


なんて考えながらテントの中に入る。

見張りの兵士が青い顔をしていたのは気にしない。

「きひひひ、やっぱ面白れーなあんた。」

うるさい。




■■■




「こんな夜更けにどうしましたかイッヒ?」

なんか普通に起きていた様子のエーリカ。

大方、戦に勝利したのが信じられなくてとか、勝ったことで逆にプレッシャーを感じて眠れなかったそんなとこだろ。

「なにか食べる物ありませんか?お腹がすきまして。」

「本題と違うだろうがイッヒの旦那!」

「果物しかないですけど好きなのを食べていいですよって、その後の方はどなたですかイッヒ?」

「シュルツさんです。」

紹介終了。

おっ、この桃らしき果物美味しそう。いただきますねエーリカ。

「シュルツシュルツシュルツ・・・・あぁっ!!、あの時の天井からやってきた侵入者さんですか!。」

「きひひ、覚えていただいて恐悦至極でごさいます魔帝閣下様。」

「それでこのような夜更けにイッヒと一緒に訪ねてくるとは、いったい何用でしょうか?」

なんだこの果物、外見は桃なのに味はトマトっぽいぞ。

「実は魔帝閣下様にお願いがあってまいりました。いや、約束を果たしてもらいに来たと言った方が正確か、きひひひ。」

でもウマイな。

「約束?。いったい何のことでしょう?」

すげぇなこの外見バナナな果物。味がらっきょうだ。

「イッヒの旦那からお聞きなっておられませんか?、さきの戦いに協力して勝利することが出来たら魔帝閣下様より直接雇っていただけると言われていたのですが。」

『ほっ、本当ですかイッヒ?』

ふぅ、満腹っと。

『本当です。』

と、さて。腹も膨れたからエーリカを騙す、もとい説得してシュルツのにーちゃんを就職させますか。

『し、信用できるんですか?。バルケン城に侵入してきたんですよ?。寝首を掻かれたり後ろから刺されたりするかもしれないんですよ?。』

信用ができるのかと問われても自分には答えることが出来ない。

信頼していた部下に裏切られたエーリカに応えることは出来ない。

疑心暗鬼、不信、懐疑、疑惑、疑問、謀反、造反

まあ、気持ちは分からないでもないけど、

やっぱり誰かを信じるというのはいいものですよ。

なんて言ってみる。

なんて思ってみる。

まあ、所詮は世の中の酸いも甘いも理解していない若輩者の戯言だけどね。

『難しく考えない方がいいですよエーリカさん。要はシュルツさんの期待に応えればいいだけです。こっちが信頼するのではなく向こうに信用させればいいんですよ。』

信頼関係

信用心理

まずはハジメマシテから。

最初は0からスタート。

それでいいじゃないですか。

初めから持っている幻想はもろく儚いけれど。

地道に積み上げた関係は意外と丈夫。

まあ、所詮は世の中の辛いも苦いも理解していない若輩者の軽口だけどね。

『それとも、一目見ただけで相手を評価出来る程の鑑定眼を持っているんですか?。』

『そ、それは・・・』

『疑い出したらキリがない。

なら信じてみるしかないでしょう?。なぁーに大丈夫です。エーリカさんが目指してる立派な魔帝になれればシュルツさんどころか誰ーも裏切ったりしなくなりますよ。自信を持ってくださいや、エーリカさんなら出来ますって。』

念話でエーリカさんを説得する。自分の言葉なのに、いや、自分の言葉だからこそすごく簡単で軽く聞こえる。こんなので納得したらそれはものすごく単純な思考回路をしている人物だ。

『わかりましたイッヒ。信じてみます。』

エーリカはどうやら単純な思考回路のようだ。

解っちゃいたけど、どこか釈然としない。

まあ、いいや。

「シュルツ、と、おっしゃいましたね?。」

「おっ?、ぁっ、はいっ!」

話がまとまったところでエーリカがシュルツのにーちゃんに話かける。

さっきまで黙っていたのにいきなり話かけられたため慌てて返事をするシュルツさん。

ちょっと面白い。

なーんて見ていると、スッと背筋を伸ばしたエーリカがシュルツのにーちゃんの前に立つ。

こうやって覚悟を決めた時は見惚れる程神々しいんだけどなぁエーリカは。

「ルフトバッフェ魔帝国が魔帝、エーリカ・フォン・バルトの名において問う。」

「ハッ!」

「我が目となり耳となり、片腕として戦い、両足として歩き、その身をもって忠誠を尽くすことを誓いますか?。」

「ハッ、今この時より我が身、魂、命は魔帝閣下様の忠実なる盾にて剣。果てるまで、朽ちるまで、滅びのその刹那まで忠を尽くすことを誓います。」

「何をもって誓いとする?何をもって覚悟とする?」

「我が存在の全てをもって誓いましょう。

我が血、言葉、運命をもって覚悟としましょう。」

「よろしい。ならば今より貴殿は我が直属の臣下。新たなる仲間と認めましょう。」

「ありがたき幸せ。」


なんか突然始まった儀式を眺めつつ、らっきょう味のバナナを齧る。

うん、ビミョー。

まあ、どうやら無事にシュルツのにーちゃんは就職できたみたいだし、エーリカも信じる心を取り戻せたからよしとしよう。

まあ、確実なのが一つだけ。


明日は三人とも寝不足だな。






「あ〜〜、お取り込み中に少しいいですか?」

「あん?」

「はい?なんですかイッヒ。」

「シュルツさんの本名ってなんですか?。まさか偽名のまま勤める気ですか?」

「そういやそうだな。俺の本名は、シュバルツ。シュバルツ・カリウスだ。」

「・・・もっとひねった偽名にしたらどうですか?」

「・・・ほっといてくれ。」

まあ、かく言う自分も他人のことを言えないんだけどね。


まずは、謝罪を。

すいませんでした。

グダグダです。かなり愚駄愚駄でした。まあ、何はともあれシュルツのにーちゃんが無事就職です。サラリーマンです月給です。基本給にボーナス・・・は、あるのかなぁ?。

とにかく就職です。せめて履歴書ぐらい書いてこいよと言いたいですが、ファンタジーな世界に履歴書があるとは思えませんね。ハイ。

あと、本名はシュバルツ・カリウスです。シュルツにバを足しただけです。手抜きとか言わないで下さい。誰だっていきなり偽名を考えようとしたらそんな感じになる・・・かな?。

まあ、そんなこんなで続きます。


いつ終わるのかなコレ?

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