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ビゼル家の侍女

トッカーナ様の侍女になって、十年ちかくになります。

御兄様と違い活発で、幼少の頃から木登りや競走を好み、スカートよりタイツを好まれた。

お父様の職場である騎士団に通われる様になってからは、剣術や乗馬ばかりで、御嬢様と言うより、御子息の御世話をしている様だったのを覚えています。


御化粧も、オシャレも、社交界にも興味はなく、御母様を悩ませていたものでした。

普段もドレスではなく、男装ばかりで、時おり強制的に行かされる社交界では、女性のファンクラブまで有ります。


お着替えの度に思うのは、筋肉質で、女性としての丸みに欠けるのが心配でした。

いいえ。胸や腰周りには、有るのですが、腹筋が六つに割れているのは美しいのでしょうか?


女性で武勇に優れているので、王族血筋のリリアナ・サイスフォート様の護衛に起用されました。

リリアナ様も、トッカーナ様程ではないにしろ、活発な御嬢様と伺っております。

御二人だけで、領内を御忍び廻りしているのを知らない側仕えや侍女は居りません。


王命により、リリアナ様と西部地区へ出られ、帰られてからの御嬢様は、変わられました。

御化粧や料理、ドレスなどに興味を持ち、御母様と語らいを増やされております。

天変地異の前触れと騒ぐ者も居りますが、どうやら、御嬢様にも春が来た様です。


時折、虚空を眺めては、溜め息をつかれております。


リリアナ様と共に、王城勤めとなられた御嬢様は、皇太子に付き添い、ついに意中の殿方からプロポーズを受けられたそうで、お帰りになられてからは、放心なさっておられました。


御相手は、帝国貴族の方らしく、更には王族とは密接な殿方との事で、王命により御婚約が決まりました。

国内の領地持ち貴族との縁組みを画策していた祖父の騎士団長様でしたが、王命には逆らえません。

お父上様は、剣術で御嬢様に負けた事で、落ち込んでいらっしゃいましたが、御婚約が決まると、寝込んでしまわれました。


御相手のワイズ・クラリオン様は、元々は貴族ではなかったそうで、所作に多少の問題があると伺っております。

その為に、御嬢様の側仕えや侍女が御世話をする事になりましたが、あまり給仕すら好まれません。

いつも鎧兜を身に付けられ、お一人で居られる事が多いです。

その点は、ご希望通りにする様にと、御嬢様からも言われております。


隣国の連合国が戦を仕掛けてくる直前に、ワイズ様の御家族から、トッカーナ様へ鎧兜が贈られました。

遠目には、深紅のドレスに見えるそれは、戦場に向かわれる御嬢様を美しく彩る事でしょう。


しかし、変です。

この美しい鎧兜を御覧になる騎士団の方々が、怯えておられる。

戦に勝利し、連合国へ向かった後は、一般兵士も、御嬢様の美しい鎧兜を見て怯えています。

連合国民には、『深紅の死に神』と囁く者までおります。


あんな美しい死に神など居るはずがありません。

国王陛下から直接のお褒めを頂いた御嬢様に対し、不敬極まりない。

お父上様やお祖父様まで、御嬢様に気を使っていらっしゃるご様子は、変です。


武芸に詳しくない、わたくしには良くわかりませんが、御嬢様が多くの敵を倒した事が原因らしいですが、それならば英雄ではないのでしょうか?

お父上様を倒し、王国最強と言われているのですから、当然です。

話を聞くほどよくわかりません。


最近は、クラリオン様と共に、外食や見物に行かれるそうで、御子息の御世話が出来るのも、遠くないと思います。

あら、ご結婚がまだでしたね。


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