人工衛星
ある程度の科学技術が関与すると、惑星などの周りには、人工的な天体を飛ばす場合が多い。
通信の中継、地上の監視や測定、位置測定、居住など目的は多岐にわたる。
宇宙船との違いは、長期的に同じ周回軌道を通る点だ。推進力の有無は定義されていない。
惑星などの大きさにもよるが、基本的高度は三つに分類される。
地上付近を高速で移動する低軌道。地球規模の天体なら地上二千キロメートル以下。
中軌道は、二千キロ以上で三万五千キロの制止衛星軌道(地球同期軌道)まで。
高軌道は、三万五千キロ以上。
監視衛星やGPS衛星の殆んどは低軌道で、気象衛星は中から高軌道の制止衛星軌道が多い。
監視衛星の場合、地球の二〇世紀後半では、複数の衛星を使い、地上の十センチクラスの物を追尾するのに使われたりする。
また、地上から発生する僅かな電波や信号を、上空の複数の衛星で三角測定することにより、標的を発見する事も可能だ。
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勿論この惑星ベーラ/惑星コードBAH5971GV0918RAでは、巨大な人工衛星が周回しているが、それだけではない。
複数の衛星が回っている。
[Ζ:つまり奴は、衛星の通信ネットワークとコントロールの一部をハッキングして、儂等のエイリアスとの通信波を測定し、接近したのに気付いたのだな?]
王国の城近くにある、小高い丘に、イフィルとゼルータを乗せた馬車は停まっており、日向ぼっこをしていた。
〔Η:エイリアスをオートモードにするのも可能だが、乗っ取られる可能性が増大する。〕
{Δ:既にプロトコルは新作に変更したが、他に手段を講じているかもしれない。}
[Ζ:しかし、あやつは、儂の領域にまで手を出しよって!]
〔Η:猫を怒らせると、爪を出しますからねぇ。〕
[Ζ:衛星追跡の結果から、I・B達に調べさせたところ、周辺に短距離通信リレー網が、複数回線も発見された。通信網の末端は、測定器やハッキングターミナル、センサーなどで間違いない。]
〔Η:つまり、あの洞窟にΘが居ると?〕
[Ζ:前回の様にオートモードのエイリアスでは無い証拠に、通信回線は今も生きている。]
{Δ:現物を見るまでは、安心するな。準備は大丈夫か?}
[Ζ:儂のテリトリーじゃ。任せておけ。]
温かい陽ざしと緩やかな風の中で、猫は行商人馬車の屋根で、大きなアクビを一つした。




