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ドラゴンズゲート

ラーミァ達は、西部の東の端。かつての国境門街に帰ってきた。

前に通る時には無かった表札が、街の出入り口に掲げられている。


『ドラゴンズゲート?』


馬車の屋根で寝ていたバーンが、文字を読んで笑う。


「街の名前になったらしいですよ。バーン様。」


かつて、ヌアンベクト最後の日に、ドラゴンが門番として立っていた事に由来しているらしい。

御者席のトッカーナが、バーンの呟きを聞いていた様だ。


「従兄殿の名前は、人間には発音出来ないから、仕方無いのだろうが・・」


ワイズが馬車に並走しながら会話に入る。

正確には、ハイフースの名前をはじめ、ワイズもバーンも、本来の名前ではない。

人間に発音出来る様に、文書化出来る様に、付けられた物だ。

つまり、公式文章として記載される予定の無い者には、人間に発音出来る名前は無い。


ワイズとバーンの名前は、出来損ないの竜族『ワイバーン』からとられている。


元々は人間から派生した彼等だが、人間の発声音域に固執する必要性を感じていなかった。



いまだに、西部側から門前街に入る場所では検問が行われている。

門番が、ワイズの通行証を見て、ビックリしていたが、トッカーナがかしたので何も出来なかった。


「あっあ、あのうー。」


握手の手を差し伸べたまま、いつまでもワイズの後ろ姿を見つめていた。

ワイズは、あえて気が付かない振りをして、馬を進めた。


ラーミァ達の通行証は、王族発行なので、無礼をすれば打ち首も有り得る。

追っ掛ける事は出来ない。


彼等は、静かに門前街に入る事が出来た。



『これで、やっと果実が食べられるなぁ兄者。』

「あぁ、やっと普通の食事に戻れるな。」


バーンとワイズが、喜びの声をあげる。

この街から西側では果実が貴重品で、流通量も少ない。

驚く事に、彼等の本来の食事は、肉と果実だ。

葉物野菜や種子系は、食生活が無かったらしい。

食べられないとか、不味く感じるとかではない。


『食物連鎖の頂点に立つ者として、肉食はバランスを取る者の義務だが、植物を無差別に食べるのは、バランス崩壊しか生まないだろう?』


バーンの説明は、理にかなっている。

彼等は『食べられる為に存在する物しか食べない』と言うポリシーを持っている。

カナンでは、郷に従っているが、可能ならば守りたいと思っている。


「具体的には、樹の果実と蜂蜜ですね。」


自然界において、『乳』を含んだ、これ等は、繁殖や繁殖の補佐をさせる為に誘引剤として作られている。

『食べられる為に存在する物』なのである。


「あぁ、ラーミァ様とトッカーナ殿に、御作り頂いている料理は、大変美味なのですが、食べなれた食事が安心出来るのですよ。」


ワイズが捕捉する。


街は以前より店舗や建物が充実しており、街として完成に近かった。

メインストリートにも、いろいろな匂いが流れ込んでくる。


露店に並ぶ果実に、バーンが飛び出したくてウズウズしていた。


「店主よ。その林檎を三個くれ。金は、これで足りるな?」


自由に動けるワイズが、馬を降りて露店で購入した。

再び馬車の横に並ぶと、一つをトッカーナに投げ、一つを剣で四つ切にして、バーンに投げた。

残りの一つに噛じりつく。


バーンは、口で二つを咥え、残りを前足で掴む。

細目で周りを気にしがなら、咀嚼ソシャクをはじめた。


「ワイズ様、ありがとうございます。」


トッカーナが礼を言ってから林檎を口にした。

バーンの目は、見れば判る。


一行は、貴族用の宿を目指した。


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