テラフォーミング
主に、テラ(地球)の人間を移住させる目的で、他の惑星の環境を人為的に変える行為を『テラフォーミング』と言う。
テラのある太陽系ですら、惑星によって、その環境は異なり、テラの生物が生存する事は、出来ない。
ドーム都市を作ると言う選択肢も有るが、移住規模が小さく、また、不慮の事故による外気の流入などの問題もある。
その惑星の環境に、人体やテラの生態系を順応させると言う方法も、無くはないが、結果として変質が起き、人間と言えない存在に変容する。
『違い』は、あらゆる場合で争いを生む。
また、人間だけが移住するのか、人間を含むテラの生物である『環境』を移住させるのかによっても、テラフォーミングは変わる。
最終的には『テラによく似た惑星』が、一番好まれる。
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その様な理想的テラフォーミングには、多くの問題がある。
まずは、重力。
長期的に、重力の違いは肉体や細胞の耐久力、質、構成内容、素材に影響を与える。
次に、磁力。
宇宙には有害な放射線が飛び交い、生物のメモリーバンクである遺伝子に損害を与える。
太陽の持つ磁力と惑星の持つ磁力が、一定値以上なくてはならない。
三つ目に、恒星からのエネルギー量。
灼熱や極寒の星では意味がない。
この三つを理想通りに改造するには、どの様な技術と力をもってしても、膨大な時間とエネルギーを要する。
むしろ、広範囲に該当する物を探す方が早い。
以上の三点をクリアした上で、更に問題がある。
宇宙の構成要素は、基本的にほぼ同じだが、その比率には差異がある。
簡単に言えば、氷の惑星や金属ばかりの惑星も無いわけではない。岩石の構成要素も惑星によって異なる。
せめて、大気と地表だけでも同比率にしなければ、『環境』の移植は難しい。
つまり『元素変換技術』が必要になる。
任意的な元素変換は、原子を一個一個素粒子単位で操作する必要がある。主に陽子や中性子を加減する必要が有るのだ。
当然、システムは、ナノやマイクロと言うサイズの単位になる。
これらの極小マシンを生産しコントロールするシステムを惑星表面に大量散布し、更にそれらを管理統括する者が必要になる。
最終的には、これらの環境改造システムは、完全停止か撤去されねばならない。
可能であれば、テラの環境を移植し、人間の移植に問題がないのが確認出来るレベルが望ましい。