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三ヶ国合弁事業

ヌアンベクト厄災から、丁度、七日後。

再びドラゴンの声が響く。


「フーデルヒース王国に告げる。我等は使命を終え、この地を去る。諸君らの御使い様への貢献に期待する。」


最初と同じく、二回繰り返された。


その後、国境付近から大空へと飛び立つドラゴンと、黒い雲の様に見える虫の大群が、複数の場所で確認される。


国境検問所では、国王主導の元で、開門が行われた。

まず、百人からなる、完全武装の兵士達が、行列を組んで通過し、安全が確認された上で、国王が門をくぐる。


西へと真っ直ぐ延びる大通りがあり、その左右は砂混じりではあるが、むき出しの土壌が広がっている。

若干黒いのは、木材か燃えたススで、白いのは砕かれた岩だろうか?

魔導師の見立てでは、大地には、大量のマスが含まれている。

整備された道だけは健在で、かつてのこの場所が、商業地であった事を、わずかに思い起こせるだけだ。


なまじ、整備された地域だった為に起伏は無く、見渡す限り人の姿も、生きものの姿も見当たらない。

なんだろう?虚無感だけしか感じない。


実質、敵対関係にあった二国でも、条約や協議の為に大臣や代表が往き来する事はある。

ニールファン・マスト・フーデルヒースも、かつてのヌアンベクトを訪れた事がある。


御使い様を敵に回すと、国民の一人も残さず、滞在者も含めて抹殺され、更地にされてしまう現実に、彼は恐れを抱いていた。

神仏とは、慈悲や愛を期待するものではなく、本来は恐れと服従と奉仕をする対象である事を再認識する。


彼は国王として、配下に指示を出す。


偵察隊を二人一組で、国境沿いに馬をかけさせる。


30名単位の騎馬隊が、他の国境門に向かって出発した。


追加の軍隊を呼び、物資の搬入を開始して、門前に拠点を作る。

医療、飲食、宿泊、倉庫、停車場等の仮施設が、次々と作られていく。


境界門に足場が作られ、取り壊しの準備が始まった。物資の搬入には狭い為だ。

ただ、延々と続く国境壁の取り壊しは、先送りにされた。

部分的な取り壊しはあっても、完全撤去は、されないかも知れない。


流石に全ての準備が終えてはいない。


しかし、とある機転により、外部の応援を受ける事も出来た。


半年ほど先に帝国では、国家再建の為の神事が起きる。

それに伴い、鋼業、製鉄業、軍事強化を縮小し、一時的な避難を経て、農業を再建する。


既に、借地における農業の再建は始まっているが、現状の専業農家を移住させる為に、転職組の教育が出来ないでいる。


王国の農地を耕させる方法も有るが、根本的に、更地から開墾カイコンさせる研修が必要になる。

帝国が土地改良されてから教育員を送る予定だったが、帝国側から、事前にヌアンベクトの地で研修させて、王国の負担を減らそうと言う提案が成されたのだ。

王国、帝国の両国の関係は、驚くほど友好的になっている。


街道も、ラージァニース帝都、フーデルヒース王都、ヌアンベクト首都を繋ぐ物が主であったが、小さいながら国境に新たな関所を設けて、ラージァニースからヌアンベクトへの最短ルートが整備された。


そちらでも、同時期に国境壁の取り壊しが始まっている筈である。

フーデルヒースは、この日から約三割増しの国土を持つ事になる。

各農家の次男坊等に、入植の斡旋がおこわなわれた。


書類上、ヌアンベクトから来ている事が判明した者は、特定地域に隔離され、厳しい管理におかれる事になったが、未だに全員を把握する事は出来ていない。

これには、帝国も協力的だが、第三国へ再移動した可能性も高い。

また、第三国に出国中に、本国が無くなってしまった者もいる。


いろいろと、まだまだ問題が山積みである。


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