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あたしが悪いの!?

作者: Rinco

えっ、何…

結婚してるって…


私の好きになった人は結婚していた。

その時は彼と離れる事なんて出来なくて駄目だとわかっていても…一緒に…


なんて当たり前の事は言いません。

道徳のある世間一般論としては、悪者は必ず絶対に

奥様>不倫女

必ず不倫した側が悪くなる。いや、悪い。

でも1番悪い奴って不倫男じゃないのか。


女性なら必ず一度は憧れる結婚。

幸せになれると小さな夢、期待に胸膨らんでワクワク、ドキドキ…


そしてちゃんと考えれば分かることなのだが、女が騙される言葉集


必ず離婚するから半年待ってくれ…や

ウチの嫁とはうまくいっていない…や

1番君を愛してる…などなど


取り上げればキリがないがやっぱり期待してしまう。

もし、ここで彼の言葉を信じずに苦しい想いで別れた後、本当に離婚してしまったら…とか。

それなら半年だけ待ってみよう…とか。


でもまず冒頭から申し訳ないが一言。


まず君が1番だ、嫁とはうまくいっていないなど嫁と比較や順位つけられる時点でアウト。

これは不倫じゃなくても言える事で二股や浮気の時も同じ事が言える。


何故なら、本当に好き、愛しているならそもそも比較、順位付けはしない。

そして鉄板の別れるまで待ってほしい。

本当に好きならまずそもそも身を全てキレイにした上で気持ちを伝えるだろう。

だって本当に愛する人に悲しい、つらい想いはさせたくないから。

そして鉄板その2。

その事を彼に話すと最終的に逆ギレする。


そんな単純でわかりやすい話だが、そんな単純でわかりやすい話に11年間も私は時間を費やしてしまったとは。

途方もなく馬鹿だ。


でもその時は本気で将来を夢見てた。


よくありがちな話しだが、私が20歳の時、初めて社会に出て働いた会社の上司に憧れて恋に落ちた。


決して許されない恋。

でもまだ若かった私はそんなに重くも感じる事なく次に彼氏が出来るまでの繋ぎくらいしか思ってなかったのに彼の大人な考え、行動、器の広さ、仕事が出来る所全てにどんどん惹かれていった。


交際半年後、急に彼からの話し。

「俺、決めたよ。離婚するから。」

そんな事望んでもいなかった私の未来が明るくなったのを感じた。


「今年中にはケリをつける」


その言葉を信じ、彼を待つ覚悟を決めた。


彼曰く、

「生活態度を一変すると不倫と気付かれて君にまで請求される事は絶対避けたい。

だから少しの間は我慢してくれ。」


それから私は彼のいない土日、祝日は率先してシフトを入れた。

平日も会えるのは22時まで。

帰った後は電話、メール、LINEさえできない。

もちろん土日、祝日も同じ。


気を紛らわせたいからどうしても土日、祝日のどこか休みが入れば友達に付き合ってもらい、やっぱり気になるからこっそり家の前を通ってみたり。


冷静に考えれば分かる事なのに今の辛さは将来のための我慢だと思い込んでいた。


気づけば3年の月日が経っていた。

3年前の年明けに言われた事。


「調停になる。もう少し待ってくれ」


信じられないと言った私に彼は1ヶ月に一度、調停の日は裁判所に到着したというLINEを写メ付きで証拠として送ってきていた。


「話し合いが揉めている、家では話ししていない」


はい、ここでどれだけ馬鹿でも気づくでしょ。

離婚調停しているなんて言って別居もしていない。


絶対おかしい!

でも彼に言っても悪意の遺棄に当たるから別居はしないと言われるだけ。


ずっと心に何か引っかかっていた。

それをずっと誤魔化して気付かないフリをして。


でも不安は大きくなるばかり。

そして5年の月日が経っていた。

その頃には私の不安な気持ちは限界を達し、お金で解決するようになっていた。

毎月5万円のお小遣い。

クリスマスや誕生日など特別な日はプレゼントとは別に10万円。

ブランド物も欲しがった。

お金をもらう理由は特別な日に1人で辛い思いをするのは私、飲みや遊びに行ったりしないと耐えられない。

多分、彼から

「お前みたいな浪費家な女もう無理。

実は俺は離婚なんかする気ないから。」とか振られる事を望んでいたのかもしれない。


ううん…

「離婚するのは嘘だった、離婚は出来ない」ってはっきり言ってほしかったのだ。


でも彼はこんな私を受け入れワガママを全部叶えてくれた。そして離婚しないの言葉もない。


そのまま2年の月日が経ち、交際7年目に入ったある日、偶然、彼の家の前を通った。


あれっ!?


明らかにカーテンがない。

生活している形跡がない。


そう、彼は私に何も言わず家族と一緒に勝手に引っ越していたのだ。


今までは家賃マンション住まいだったのに。

どこに引っ越したの!?

まさか一軒家建てたの!?


全くわからない。

休みの日は電話してはいけないルールを破って彼に電話をかけまくった。

やっぱり出ない。


その日はどう乗り切ったか記憶がない。


次の日、彼を相当追い詰める。

こんなに人に怒鳴ったのは初めてくらい責めた。


でも彼は引っ越し先を言わない。


「離婚するって言って待ってくれって言われ続けて待ってるのに離婚しようとしている家族と一緒に引っ越しているなんて絶対あり得ない。本当は離婚するって言う事自体、嘘なんだろ。引っ越し自体、新しい生活のスタートじゃん」


大声で怒鳴った。

そして彼から返ってきた言葉…


「お前に家を教えると何するか分からないから教えられない。」


家族をかばう言葉。


完全にキレた。

「この7年を返せよ。このクソ男。

このまま別れてもいいけど、お前は家族の元に普通に帰るだけ。それでは、今までの無駄な時間を使ってしまった私だけがアホじゃん。

だから別れない。次の私の彼が出来るまで責任として生活費は今まで通り払えよ」


悔しかった。

吐き気をもよおすくらいの怒りだった。

息ができなかった。


「何でそんな怒ってんの?そんなにイライラしないの。離婚しないって何?俺はずっと離婚する為に頑張ってるのに。ほらほら怒らない。」


その彼の言葉に殺意。

あたしは絶対もう彼を心から信じない。


そこからは意地だった。

そんな気持ちで探せば探す程いい人なんて出会えなかった。


あたしには5年程前から同じ職場に相談できる人がいた。

彼は私の部下。


いつも「大変ですねー」なんて言いながら酔っ払っている私の話しを聞いてくれた。

部下なのに歳は私の2つ上。

奇妙な関係だ。


相手が上司だとか自分が部下だとか気にせずハッキリ言ってくれる感じが素直に意見を聞き入れやすくしていた。

私がこんな思いで毎日過ごしているのに彼は相変わらずその場しのぎの言葉で私をかわす。


以前、部下の彼から言われた「なんかもっと不倫なら不倫で割り切ってくれたら案外楽だと思うんですけど本当か嘘か微妙な細工が施されててスッキリしないですね」の言葉が私を7年もの間抜け出せないサイクルにしているそのままの原因だ。


そう、そこなんです。

ハッキリ離婚しないならしないで言ってくれたり調停なんて嘘だと分かればいいのだが絶妙な裁判所の写真や言葉などありバサっと切れない気持ちがあった。


「あーあ、誰かこんな私を好きになってくれたらな」


ずっとこんな事を言いながら交際から10年も経っていた。


この頃には私の心はハッキリ「彼との未来はない」と気付いていた。

ただ、今の仕事の自分の立場や仕事で支えてきてもらった部分など別れるとなると不安が込み上げ決断できなかった。


「今週末飲み行きましょうよ」


部下の彼からの誘い。

普段からよくもう1人気の合う仲間も含めた3人で飲みに行っていた。


「オッケー」

飲んべえな私は断る訳ない。


飲み当日、いつものメンツで飲み。

そしていつも部下の彼は私を送ってくれた。


その日もいつものように送ってもらい車の中で飲み足りないのかビールの缶を買い込みブチブチと私の話を聞いてくれていた。


家に着き彼からの提案。


「もっと愚痴りたいなら全然聞くんですけど家の中で話しません?駐車場にいても迷惑ですし」


ナイスアイデア!


たまにウチの家で話してた事もあり即オッケー。

ビール片手に家に入り、私は即ジャージに着替えひたすら永遠愚痴っていた。


そしてふっとある事に気づく。


あれっ?

あたしの横に座ってるけど初めから横に座ってたっけ!?


酔っ払いの記憶は曖昧だ。

でも多分家に入った時は目の前に座っていたと思ったけど、はて?あたしの勘違い?


特に気にする事なく話ししていると部下の彼が急に私を抱きしめキスをしてきた。


えっ!?

えっ!?

えっ!?


頭の中は猛烈パニック。

気づけば上半身の服を脱がされていた。


そのまま現状が理解できぬまま、私と彼は関係をもってしまった。


私、ただただ唖然とする中、彼は満面の笑みで

「めちゃくちゃ可愛かったです」


そして帰っていった。


呆然。


そして少しずつ頭の整理がつき始め、私はとてつもなく飼い犬に噛まれたような気持ちになったと同時にイライラが込み上げてくる。


あいつ、彼女いるじゃん!

あたしはセフレかよ!ってか遊びの女に選んだ女が仕事が一緒の私かよ!


あー、何だ、何で私は本命にはなれないんだ。

不倫かと思えば次は浮気相手かよ。

何、この不運な運命。

本命になれるなれないって何が違うんだよ。


ムカムカする気持ちを抑え、次の日も仕事だったので私は一旦眠りについた。


次の日、出勤すると何事もなかったような彼。


私も仕事なので顔色1つ変える事なく仕事についた。

そろそろ仕事が終わる頃、彼が私に声掛けた。


「今日この後10分でもいいので会えないですか?」

「はっ!?何で!?」

「数分でもいいので仕事じゃなくプライベートのあなたに会いたいからです。じゃあ後で家寄りますね」

「………」


はぁーー!?

何サラッと気取った事言っちゃってんの!?

断れなかったっつーの!

ってか一体、何!?

えーーー!?


半ばよく分からない状況だったが私が家に帰ると数分後、部下の彼が来た。

玄関を開けると満面の笑みだ。


「良かった!顔見れて!

安心したので帰ります!」


はぁ!?


「えっ?えっ?

マジでこれだけの為に来たん!?

せっかくだから少し上がって行ったら。」


「えっ!?いいんですか!?ありがとうございます。」


満面の笑みだ。

なんなんだコイツは…なんて思いながらも彼を部屋に上げ少し話しした後、「明日も顔見に来ます」と言い彼は帰って言った。


そんな事が4日くらい続いていた時、明日は休みだった私に部下の彼も休みだから昼間に会ってほしいと言われ、ランチの約束をして約束の日、車で迎えに来てくれた。


お礼を言い、車に乗り込む。


「えっ!?あ、あの、助手席どうぞ!」


えっ!?

私は何の違和感もなく後部座席に座ろうとしたが何と助手席に座っていいらしい。


ってか、あたし……

お恥ずかしい話、不倫生活長いもので毎回人目を避ける生活してきたもので、後部座席に座るという癖が当たり前のようについていたなんて。

だって、だって、助手席って本命席でしょ!?

座っていいの!?私が!?助手席に!?


なんてプチパニック起こしていたがそんなの悟られたくない。顔色変えず助手席に座ったが、ドキドキが止まらなかった。

この私が、普通に男性の運転する車の助手席に座っている。そして今の私の彼は10歳以上年上のオヤジ。

久しぶりに2つ違いだけの若い男性とのこの交流。

ヤバイ、たまんない!

何て思いながらランチを食べ夕方くらいまでカフェなどしながら時間を過ごし、家まで送ってもらっている道中、何故か食べ物の話しからカキフライの話へ。


「やっばい!カキフライの話ししたらめちゃくちゃカキフライ食べたくなる!しかもビールと共に!」


飲んべえの私らしい発言だ。

でも再度おさらいをしよう。何だかんだこの彼も彼女持ち。帰らなくてはいけないのです。


ってここまで私の体全てをカキフライ食べたいでいっぱいにしておいて責任取れよ!

何て心で思いながら、本命になれない私の運命を呪うと共に別に突発的に一緒にいたり、何かしたくなっても出来ない恋愛事情は慣れっこ、当たり前だったからグッと食べたい気持ちを呑み込んだ。


「そんなにカキフライ食べたい?」

フッと笑いかけながら尋ねてきた。


「そりゃ、私カキフライとビール大好きですから!」


「じゃあ本当申し訳ないけど一旦帰らないといけないから、そうだな、19時前くらいにもう一度迎え行くね!カキフライ食べに行きましょう!」


えっ、えっ!?

「えーーー!?本当にいいの!?」


私が願う突発的な願いなんてここ何年も叶う事なんてないと思っていたのに、何!?

今日行けるの!?


相当、目が輝いていたのだろう。

私の顔を見て「余程嬉しいの?」何て言いながら大笑いしていた。


やばい、神様。

私、この人、好きになるかもしれません。


そんな予感を感じるも、次に恋に落ちる人は絶対に妻子持ち、彼女持ち以外と決めていたので強引にこの気持ちにフタをした。



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