11、お金の稼ぎ方!2
空間魔法の応用系と思われる、高い集中力と魔法操作を要求する魔法。
相手の距離に関わらず、脳内に声を送り込む事が出来る。
(…まあ、俗に言う念話ってやつだよね。)
完璧の様に思える念話には、欠点があった。
というか欠点しか無かった。
確かにどんなに離れていても念話を起動させることは出来る。
しかし、会話が出来るかどうかは別だ。
リグが任意の相手に念話を試みたとしても、その声は、高い魔法伝導性を持っていないと聞くことが出来ない。
聞こえたとしても、ノイズが入ってるような状態の者がほとんどで、正確に聞き取れる事が出来るような者は、ほんの一握りだ。
ましてや、リグに向かって言葉を返す事が出来るような者は、少なくともリグは一人しか知らない。
『リプリウス・リマイン』今から念話を試みようとしている相手。
(あー、気が重い…あいつまじで苦手なんだよなあ…ていうか生きてんのかな?
生きてたら何才なんだよ…転生2回目にはもう存在してたし。
容姿も変わらないし、固有スキル持ちなのは分かってるけど、どんなのか全然分かんないし。
胡散臭いんだよな…。)
固有スキル持ちでありながら、山奥に洋館を構えて暮らす変わり者。
固有スキルが発覚して、戦力として迎えようとやって来た王国兵を蹴散らし、逆に王国に対して「これ以上するようなら…」と脅しをかけて今の生活を続けている。
性格もそうだが、人に対しての接し方。
心情を探ろうとする話し方もリグは苦手だった。
(まあ、仕方ないしやるしかないよなぁ…)
リグは目を閉じて、細い線をイメージする。
するすると進んで行くその線が、目的地にたどり着いたと思った瞬間。
頭の中に声が響いて来た。
『誰かと思えば、リグさんじゃないですか。
お久しぶりですねえ。
最後に話したのは50年前くらいでしたかねえ。』
畳み掛けるように発せられたその言葉に、リグは冷めた感情を抱いた。
白々しいと。
まずこんな芸当が出来るのは自分しかいないいないのに、わざわざ誰かと思えばとセリフを入れる。
前話した年を入れることで、近状を掴もうとしているようにも感じられた。
(って、流石に被害妄想が過ぎるか。)
「…久しぶり、元気そうで何よりだよ。」
『はい、相変わらずですよ。
それで、急に念話なんて、要件はなんなんですかねえ。』
こちらの状況を品定めする様な言い方に内心舌打ちをしながら、リグは話し始めた。
「実は…