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新しい日常

本日2話目です

お前は一般人よりちょっと強いだけのアイテム職人さんだよ。


と、態々異世界から召喚しといてから言われた(若干の被害妄想が入っております)日から1ヶ月が経った。

春の2月15日、今日からレオンは街で働く事になる。


無理矢理人を召喚しておいてハズレ認定しやがった王(かなり心が荒んでおります)は、1年後に必ず元の世界に返すと約束しレオンの保護を申し出た。

それに甘える形で王宮でダラダラして過ごしていたレオン。


それはそれはもう、人間のクズかと見間違う程のだらけっぷりでした。


無茶な要求等をする訳では無いが、高級な食事を好きな時に食べ高級な風呂で人目を憚らずに泳ぎ高級な部屋でダラダラと過ごし高級なベットで好きなだけ寝て高級な…高級な…。

と、高級ながゲシュタルト崩壊しかけた所で『ハッ』となったレオン。


このままダラダラ過ごしていた駄目になる、そう思ってクリスティーナに何か仕事させてくれと頼み込んでみたところ。


『レオン様はお客様であり、我々の被害者でも有ります。ただいま謝罪を含めたお持て成しを行っているところですので、どうかお気になさらずに…』


と、メイド服のエルフクリスティーナは綺麗なお辞儀で返して来た。


『高級な』と繰り返し言っていたが、これらは常に使われている訳ではなく主に賓客用の物らしい。

いくら王族とはいえ無駄な贅沢は控える(意味の有る贅沢はする)方針らしく、この国の王族は意外と質素な生活(それでも並の貴族以上に豪華だが)を送っている。


そんなに中、国の金を使って持て成されている身としてはストレスがマッハなレオン。


最終的には日本古来の交渉術、通称『土下座』を駆使する事によって何とか労働の権利を勝ちとったのであった。



あ、ちなみに軽く流してしまったが。

側仕えが必要だろうと王の采配で、クリスティーナがレオン専属メイドになった。

王の勅命を受けた瞬間「え?そんな表情出来んの?」ってくらい嫌そうな顔で拝命してた。

メイド服に着替えた事により初めて見た頭部、耳は横に細長く伸びており髪は透き通るような金髪。

まさしく!なエルフさんでした。



ーーー



「国立・道具研究所アイテム・ラボって…そのままかよ」



間違えようが無いほどシンプルに名付けられたその建物は、レオンの目的地であり今日からの職場である。

真っ白な石造りで出来た建物は、まるでコンクリートで出来ているように見え「なんだか、ここだけ現代っぽくて異質」と言うのがレオンの感想だ。


しばし建物を見ながら呆けていたが、気を取り直して中へと入る事にした。



「おはようございまーす…」



扉を開けて、挨拶をしながら入る。

中は少し狭く、見渡すまでもなく誰も居なかった。

入り口から4歩程度歩いた位置に、奥と手前を間仕切る為のカウンターがある。

高さは120cm程で、横は左の壁から右の壁まで隙間ない。

幅は60cm程か、無理をすれば飛び越えられないことも無いけど…どこから奥に行くの?

等と疑問が浮かぶ。


カウンターの奥の広さも、手前のこちらと同じ位だ。

外観は結構大きかったんだけどな、と疑問に思っていたらドスドスと言う音が耳に入る。

その音は段々と大きくなっていき、やがて止んだ。



「おう、おまえさんか。今日から来るって新人は?」

「っ?!…なぁ?!」



音に集中していると、急に声をかけられてレオンは驚いた。

そしてその後、カウンターの向こうに大男がひょっこりと現れ変な声が出た。


ひょっこりと言うか、にゅって感じかもしれない。

カウンターの下から、生えるようにして現れたのだから。



「え?あ、はい!その…え?!」

「まぁまぁ、落ち着けよ坊主。あ、坊主はオレか!」



咄嗟の事に狼狽えてしまったレオンに、自分の頭を撫でながら話しかける大男。

うん、確かに坊主スキンヘッドである。


(え?何?今のジョーク?笑った方が良いのか?)


どうして良いのか分からないレオンは、とりあえず笑っておくことにした。



「は、ははは!坊主が坊主って!」



すると大男は目付きを鋭くして、レオンを見つめた。



「おい、人の身体的特徴を笑うとか失礼にも程があるぞ」



静かに、かなり低い声で窘められた。

ガチギレである。



「す、すいません」

「全く…オレじゃ無かったら今頃お前はボコボコにされてるぞ」



自分から振っといて!と言う言葉は飲み込んだレオン。



「本当に、オレが優しくてケガ無く済んで良かったな。あ、毛が無いのはオレか!」



そう言って、再度頭を撫でる大男。


(我慢…我慢だ…)


ここでまた反応すれば、今度こそ殴られてしまう。

そう思って必死に耐えるレオンに…



「…おい、笑えよ。人のジョークに無反応だなんて、心が貧しい証拠だぞ」



ガチギレである。




一先ず、心の中で叫んでおく事にしたレオン。



(理不尽!!!!!!!)

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