②
夏の日差しの強い中、市街地を私は歩いていた。
街にはカップルや家族連れなど人が多い…。そんな中、私は一人で兄の待つ喫茶店へ向かった。
待ち合わせの喫茶店に到着し、ドアを開けると、エアコンの風が私の体を快適にする。
店内を一望すると、奥の席に兄が座っていた。
店内に入った私に気付いた兄は、私に向かって無言で手を挙げた。
私は兄の席へと向かった。
兄のテーブルには、兄が注文をしたアイスコーヒーが置いてあり、グラスに付いた水滴が、光の加減でキラキラしていた。
「ごめん…まった?」
兄は特に表情を変えずに言った。
「いや…10分くらいか…。何か飲むか?」
「私、いいや…、さっき飲んできたから…」
「そうか…」
「で、何?こんなところ呼び出して…家じゃダメなの?」
「そう言うわけじゃないけど…。俺今日遅くなるから…」
私は少し憮然とした表情になった。先程の友人との会話のせいかもしれない…。私は…彼氏だ、恋人だの話がどうも苦手だった。
別に恋人がいる友人達をやっかんでいる訳ではなかったが、私には興味が無かったのだ。
別にこれといった理由はないが、身近な男子をどうしても、兄や葵と比べてしまう。
その結果どうしても他の男子を頼りなく思ってしまう。
私の表情を見て、兄が気を使ったのか、苦笑いで言った。
「何だよ…ご機嫌ななめか?…」
「別に、そう言う訳じゃないけど…」
「これやるから、機嫌直せよ…」