⑤
……三日目…午後……
僕は愛美の遺体が消えたことによって、一つの可能性を導いた。
この島はプログラムによって構築されている。
『全ての物体は粒子によって生まれている』と、西洋科学では言われている。
そう考えればこの島の不思議な出来事も、辻褄が合ってくる。
転送倉庫に、食料の補充…、プールの水の清浄化に、愛美の遺体の消失…。
この島の物や人、建物など全てが、プログラムによって造られていると考えれば、納得できる。
だとすれば、僕たちの肉体も…実体であって、実体で無い…。矛盾しているかも知れないが…この答えがしっくりくる。
その結果、僕たちの実際の肉体は別の場所にあるはずだ…。
船か…それか、何処か別の場所にある。
すると、愛美はどうなる?本当に死んだのか?
否、それは無い…。この島の僕たちは実体で無いのだから…、だとすれば……。
答えは一つ、それは、『脳』だ。
ただ、脳と肉体は一つだ…それから考えるに…、この島の僕たちは『脳波』によって、構成されている。
よって、愛美の『脳波』が、被害を受けたと、考えるべきだ。
この島で愛美が殺された事により、愛美の脳波は、実際の肉体に戻ったか、島を漂っているか…最悪脳波が消えてしまったか…。
ポジティブに考えるなら…『脱出すれば全て元通り』と考えれる。
つまり、脱出しなければ答えはわからない。
殺人犯を特定するのも大事だが…今は脱出が最優先だ…。
僕の見立てでは、殺人犯はこの島にいる僕を除く、11人の誰かだ。
美夢と歩はないとして…、有紀もなさそうだ。
しかし、この話を皆にしたところで、信じてもらえるかどうか…。