③
……島…一日目……
僕らはクルーザーに乗り込み、リゾート地に行く予定だったのだが…。
「全くもって…不思議な島だ」
島は人工島で、コンクリートの小さな建物が12戸…それに、中央に時計台…島の端、4方向に施設が4つ…。
「リゾート地にしては、少々頼りない…」
時計台で方向を表すなら…6時の方向、今僕がいる所が南側、そしてそこにあるこの貧相な建物…。
僕は扉を開けて中を確認した。
「空っぽだな…」
ここは何なんだ?…どうやってここまで僕たちを運んだ?
「船で発された、あの光はなんだったんだろ?…」
あのモニターの光が関係しているのは間違いないが…。
ただの旅行だと思っていたが…。
「面白い事になりそうだ…」
僕が考え事をしていると、僕を呼ぶ声がした。
「葵君っ!」
声の主は渡辺歩、クルーザーで知り合った、気の良い青年だ。
僕は歩に言った。
「歩さん…先程はどうも…」
歩は呆れて言った。
「どうもじゃないよ…一人で行動するのは危険だよ」
歩の口から『危険』というフレーズが出てきたと言う事は、彼もこの場所が得たいのしれない場所であると、認識しているのだろう。
これから何が起こるのか…、そして、この島を造った者は何を目的にしているのか?
刺激の少なかった日常に飽きていた僕にとっては…不謹慎だが、少し高陽した。