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②
……夢の旅当日……
僕はその日の珍しく、寝過ごさなかった。寝過ごしたら美夢が口うるさいのが理由もあったが、僕なりにこの日を楽しみにしていたのかも知れない。
旅支度を済ました頃に、自宅のインターフォンが鳴った。おそらく美夢が来たのだろう。
下の階から母の呼ぶ声がした。
「葵っ!美夢ちゃんよーっ!」
僕は母のけたたましい声に返事をする事なく、下の階へと降りた。
僕を見て母が言った。
「おみやげおねがいねっ!ああ、後気を付けてね…」
僕は言った。
「順番が逆だよ…、気を付けてが先でしょ…」
母は気にした様子はない。
「まぁいいじゃない…。後、美夢ちゃんにあまり迷惑かけないでね…」
僕は母を煙に巻き玄関に向かった。
「はいはい…、じゃあ行ってくる…」
玄関には僕を迎えに来た美夢が待っていた。
僕の顔を見るなり美夢は言った。
「おはよっ!珍しいね…葵が寝坊しないなんて…」
「その言い方だと、僕がいつも寝坊してるみたいだか…」
「細かい事は気にしないっ!さっ、行こっ!」
こうして僕は美夢と夏休みのバカンスを楽しむ事になった。