尾道教諭の召集と命令
「で、話ってなんですか?尾道先生」
校外のお客を対応する部屋で俺と尾道先生は向かい合って座っていた。
俺らの他には誰もいない。
美人教諭と密室で二人きり……。
もしや尾道先生、結婚してないからちょっとここでは言えない欲望が溜まって、それを俺を相手に解消するつもりか……!
なんということだ。こんなこと学校の大問題になる。早く止めなければ。
なんてことを考えてると灰皿が飛んできた。
「下らん考えが表情でまるわかりだ。真面目に話を聞く気になれないなら次は実力行使を使うぞ」
「はい!すいませんでした真面目に聞きます!」
怖いよ。実力行使もう使ってんじゃん!
おかしいよね? 今の世の中、体罰っていけないよ?みたいな感じじゃなかったの?
……というか、俺そんなに表情が顔に出てましたかね……。
「よし、では話を始めよう。君に聞きたいことは二つある。まず一つ目だ、今朝の騒ぎのことを聞きたい」
やっぱりか、だよな。あんだけ朝の時間から騒ぎになりゃ先生も気づかないわけないもんな。
「えーと、それは後輩の女子に付きまとわれてですね。その子に昼ごはん一緒に食べましょうとかしつこくてそれで言い合いしてました」
「誰がのろけ話をしろと言った?」
「ひぃ!すいません!!」
まさか、現実でひぃ!とか言うとは思わなかったよ。
そのくらい怖いんだよ尾道先生。ホントに自分から結婚しないだけなの?ただ結婚できないだけじゃ……。
「それで?続きは」
「その子、ストーカーみたいで困ってるんですよ。先生なんとかしてくれませんか?また朝みたいな騒ぎ起こしたくないんですよ」
「なるほど、では私から注意を促しておこう。その子の名前は?」
「確か西城朱音だったはずです」
そう言うと尾道先生はポケットから実用的で装飾が皆無のメモ帳を取り出してそこにメモをした。
良かった。これで平穏な日々が戻ってくるぞ……!
「一つ目の用事はこれで終わった。次は二つ目の用事、というよりは命令だな」
……は?命令って?
嫌な予感がするのは俺だけじゃないよね?
「君には私が顧問をやっている第二文芸部に所属してもらう」
「えっと、先生大丈夫ですか?」
「本当に君は教師に対する敬意がないな」
「それが俺の良いところですから!」
「はぁ、君と言い争っても時間とエネルギーの無駄だ。ということで放課後図書室に来い。来なければわかってるな?」
最後の台詞の時の先生の目を今でも悪夢で思い出します。
「いや、でも」
その時にチャイムが鳴り響いた。
「どうやらここまでのようだな。では放課後図書室で」
そう言い残して尾道先生は部屋から出ていった。
どうしよう。全く意味がわからない。なんで俺が第二文芸部とやらに入部しなければいけないのか。
てか第二ってなんだよ、本物の文芸部どこ行った?
ツッコミどころが多すぎて頭が痛くなってきた。
……まぁ、でも西城をどうにかできると思うと気が楽だな。
でも放課後にわざわざ図書室に行かなきゃいけないとか面倒な事になったな。
別に行かなくていいよね?そうだ!そうしよう!
……でも行かないと灰皿じゃなくて今度は拳が飛んできそうだな……。
はぁ、本当に面倒だな……。




