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友達がいらない俺に告白してきたやつがいるんだが  作者: 夢木 彼方
第一章 ストーカーの出現!?
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荒木拓也の地獄の登校




周りの視線が痛いよー。こんなに注目されたことないから軽く死んじゃうレベルだよー。


ざわざわとモブどもがあいつ誰だよ?とか言ってるけど、こっちからも言わせてもらうけどお前も誰だよ!?

そして羨ましいとか言ってるやつ。だったら俺と代わってくださいお願いします!

俺は今日も普通に登校して、普通に過ごすつもりだったのに。

なんでこんなことになったのかは言わなくてもわかるよね?

そう!あの女のせいだよ!




今朝、家を出た俺を待ち構えていたのはあの女、西城朱音だった。


「…………」

俺は静かにドアを閉めた。 ……さて、もう一眠りしてくるか。


「ちょっ、先輩なんで閉めるんですか!?私なにかしましたか?」

「現在進行形でやってんだよ!なんでお前いんの?おかしいよね?諦めたから帰ったんじゃなかったのかよ」

思わずドアを開けて叫んでしまった。どうしようご近所さんからの評判が……。

まぁ、もともと悪いけどね!

「そんな簡単に諦められるわけないじゃないですか。というわけで先輩、学校に行きましょう!」

「一人で行けよ!なんで俺引きこもりの子みたいになっちゃってんの!?」

ほら。向こう側で幼稚園児の手をひく母親が走って行ったぞ。しかもご丁寧に幼児の目に手を当てて。

……はは。俺、本当に引きこもろうかなー。

「先輩!?遠い目しないで帰ってきてください!」

「だったらお前がお帰りくださいお願いします」

「だって先輩から返事貰ってませんから」

「NOって言ったよね!?」

「だって返事貰ってませんから」

「あっ、そう。聞く耳持ってないんだな」


マジで面倒だなこいつ。どっかに引き取ってもらえるとこないか?

「とにかく学校行きますよ!」

「あー。もう分かったよ」

こいつと話してるだけでもう一日分のエネルギー使った気がする。



そんなことが朝あったおかげでこいつと並んで学校に行くことになったわけだが。こんな騒ぎになった。

そりゃ、客観的に見れば可愛い。最初の時は美少女だーって思っていた時期が俺にもありました。

そんなやつが隣によくわからない男を連れて朝登校して来たら、騒ぎにもなるわ。


俺がもし逆の立場で見ていたら朝から迷惑なんだよリア充どもがっ!って思ってるに違いない。

その証拠にこちらを見てくる視線のなかには明らかに殺意が込められてる視線が多数。主に残念な男子たち。

隣ではあーだこーだと、西城が喋ってるが適当に相づちをするだけで俺の頭の中はこれからの学校生活のことを考えていた。


きっと面倒で嫌で陰湿で最悪な厄介事が待ってるだろう。

その事を考えると、記憶の奥深くに沈めて忘れようとしていた記憶がよみがえってくる。




俺の周りを取り囲んで笑っている男子。

俺の大切な人だと思っていたやつらに、裏切られ傷つけられて惨めに泣くことしかできなかった俺の記憶。




「……先輩?先輩!?」

はっ、と顔をあげると心配そうな西城の顔が覗き込んできた。

「大丈夫ですか?なにか辛そうな顔をしてましたけど」

「大丈夫だ。それより急ぐぞ遅れる」

「ちょっと先輩。待ってくださいよー」



そうだ。俺はこれからも一人で生きる。

こいつが何をしようが、知ったことじゃない。あんなことはもう懲り懲りだ。

忘れたと思っていたが、忘れてなんかいなかった。

まぁそんな簡単に忘れられてたら苦労しないけどな。



とりあえずは遅刻しないように教室に急ごうか。

面倒なことはそのあと考えればいい。

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