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友達がいらない俺に告白してきたやつがいるんだが  作者: 夢木 彼方
荒木拓也の普遍的な夏休み......?
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先駆者のアドバイス



俺はおじさんに西城のこと、そして、俺自身のことについて相談していた。


もちろん名前は伏せたが、俺が悩んでいることについては包み隠す伝えた。今までの生き方についての考え方。西城と出会ってからの俺の考えが覆されかけていること。そうした状況で俺はいったいどうしたらいいのか。


普段だったら誰にも言わないようなことを、俺はやけに饒舌に話していた。まあ、この合宿もどきが終わったらもう二度と会うことがないからかもしれないが。


「ふむ、なるほどわかりました」


おお、さすが人生の先輩だ。すぐに答えが出たようだ。


「拓也様は、その女性のことを好いているのですな」


と、ニッコリと笑いかけてきた。



「恋する悩みとは意外でしたな」


「......やっぱり、これはあいつに対して恋愛感情を持っている。ということになるんですかね」


自分自身のことだが、ものすごくありえないと思っている。が、心のどこかでは腑に落ちたような気がする。人間、自分自身のことは意外と知り尽くしているつもりでも決してその限りとは限らない。とどこかの学者さんが言ってたが、まさにその通りだと思う。


「確かに、拓也様のこれまでの人に対する考え方を貫いてきた方こそ、信じられないとは思いますが、人生、長い間に誰にも恋をしない人間など存在しません。対象が異性だろうが、同性であろうが、現実に存在しないものであろうが。人という生き物は、必ず一度は恋に落ちるものなのですよ。ですから戸惑う事はございません。拓也様がその気持ちを大切にするか、しないかは拓也様次第です」


「大切にするか、しないか」


「ええ、そうです。その感情を持っていて幸せになるかならないかは人それぞれです。拓也様はどうか後悔のないように選択して下さるとありがたいです」


「......すいません。なんかいろいろとありがとうございます」


「なに、大した事は言っておりませんよ」




「......すこし、聞いてもいいですか?」


「もちろんです。お答えできる範囲でなら」


「どうして、ここまで親切にしてくれるのですか?」


するとおじさんは前を向いて、


「困ってる若者に手を差し向けるのも老人の役目です」


と、穏やかに微笑みながらそう言った。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


俺はその場でしばらく世間話に花を咲かせてから、おじさんに礼を告げて広場から立ち去った。今度、またあの場所に1人で行ってみるのもいいかもしれない。


帰り道は日が傾き始めていて、海水浴場に着くともう人々は後片付けを始めていた。


「あっ!先輩、今までどこに行ってたんですか?」


後片付けをしていた西城は、俺が近づくとまっ先に気がついてこちらに駆け寄ってきた。まるで犬だな。


「ちょっと散歩をな」


「だったら私も誘ってくださいよ~」


「面倒臭いからパスで」


「酷い!?」


と、ワーワーうるさい西城をほっておいて、俺はこちらを見て呆れた顔をしている雪月を手伝った。


後から園崎と、ブツブツと文句を言ってる西城も合流して、その日は旅館へ帰ることになった。


ちなみに、尾道先生は真っ黒いオーラを放ちながら項垂れて砂浜に倒れていたので無視してきた。触らぬ神に祟りなしだ。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


その日の夜は、特にそれらしいイベントもなく早めに就寝した。皆海で遊び疲れたのか、夕飯の時も西城と園崎はそのまま飯に顔を突っ込むんじゃないかと心配するくらいに睡魔と戦っていた。


流石に夕飯には先生も戻ってきてが、相変わらず沈んでいる。俺らが夕飯を終えて食堂を出る時も、まだ焼酎を飲み続けていた。それにしても一瓶丸々呑むつもりですかね。あの人は。


部屋に戻る前にトイレに寄ると雪月が用を足していた。


「どうも、先輩もトイレですか?」


「むしろトイレ以外の用でここに来ることないだろ」


便所飯とかなら話は別だが。


俺の答えを聞くと雪月は微笑しながら、


「それもそうですね」


と、ムカつくイケメンスマイルを振りまいていた。あー、殴りたい。この笑顔。


「それはそうと、先輩。少しお時間良いですか?」


「何で俺の貴重な睡眠時間をお前に奪われなきゃなんないんだよ。そんなの願い下げだ」


こっちはもう眠いんだよ。早く眠って出来ることならもう起きたくないです。



「西城さんの事なのですが」



「......分かったよ。ただし早めにすませろよ」


「ご協力感謝します」


いちいち言葉がイラつくのはわざとなのか?だとしたらこいつ相当性格悪いな。顔は良くても性格が悪けりゃモテないぞ。


その後、俺が用を済ますまで雪月はトイレの外で待っていて、俺が出てくると。



「では、行きましょうか」


と、言い俺の先を歩き始めた。


どこに連れていかれるのか、そして西城のことについて何を話すのかはわからない。いや、それは嘘だな。何となくどういう内容を話してくるのかは想像がつく。


窓ガラスから漏れ出す月の光が俺と雪月を照らしていた。静かな夜が始まろうとしていた。




まずは遅れてしまいすいませんでした。



気がつくともう最後の更新から2ヶ月が過ぎようとしていました。時の流れは早いですね。


明日になったら更新しようと先延ばしにしていたらこんなにも経っていました。


まあ、次回作の構想が捗っちゃったってこともあるんですが。


次のお話からはお話が早く書き終えられるように努力していきますのでこれからもよろしくお願いします。



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