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友達がいらない俺に告白してきたやつがいるんだが  作者: 夢木 彼方
荒木拓也の普遍的な夏休み......?
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花咲く丘

お待たせしました。その割には短いですがご容赦を



さざ波の声と浜辺で遊ぶたくさんの人たちの声を聞きながら、俺は何をしていたのかというと、何もしていなかった。


確かに最初は泳いだり潜ったりしていたけどね? 一回でも海に行ったことがある人は分かるかもしれないけど、尋常じゃないほどしょっぱいんだよ! 普段のプールとかと同じ感覚で泳いだり潜ったりした俺が馬鹿だったと気付かされたよ。息継ぎしようとすると波のせいで口の中にすごい勢いで海の水が入ってくるもんだから、そのまま飲み込んじゃって気持ち悪くなって今はこうして何もしないで寝っ転がっているところです。


「......ああ、気持ち悪い」


顔を傾けて見れば俺の他の三人はビーチバレーをしていた。もちろん人数はいないからパス回しだけなんだけど。楽しそうで何よりです。


先生は、俺らから離れた海の家近くで手持ち無沙汰を装っている。何故そんなことをしているのかだって? そんなのナンパされるのを待っているのに決まってるだろ。いい歳した、しかも教師が何やってんだか。


「師匠。気分は大丈夫でありましょうか?」


隣にはビーチバレーに飽きたのかこちらに園咲が走りよってきた。まだ水着姿の姿になれてないので無駄に心臓の負担が大きくなる。このままだと、埼玉県にお住まいのエロい五歳児みたいにドキがムネムネしちゃうかもしれないな。


「別に何ともないぞ。あれ、ほかの奴らは?」


「二人でしたらあそこの浜辺で朱音ちゃんが砂のお城を建設するんだ!とか言って建設し始めてますよ」


園咲が指さす方向に目を向ければ西城と雪月が楽しそうに遊んでいた。まるで夏の清涼飲料のCMみたいだな。あんなふうにキャッキャウフフできるのはイケメンと美少女のカップルだけだと理解した方がいい。ブス同士でやってるのを見た日には目が潰れるかもな。


「..................」


「師匠?」


「いや、何でもねぇよ。それで?お前はなんか用があったんじゃねぇのか?」


意識を切り替えるため俺は話をすり替える。ここで妙に感づかれるのはあまり得策ではない。特に確証があるわけでもないが。


「いえ、そのですね。なんだか元気がないような気がして」


傍から見ると今の俺は元気がないように見えるのか。そこまで深刻に考えてたつもりじゃなかったんだが。


「別に大丈夫だよ。特に風邪とか引いてるわけじゃないし」


「問題ないならいいんですが」


それでも園咲は不安げな表情を緩めようとはしなかった。


「とりあえずはわかりました。......でも本当に辛かったりしたら相談してくださいね。私は師匠の一番弟子であり、味方ですから


「......俺は弟子なんかとった覚えはねぇよ」


でも、その、気遣いはありがたく受け取っておく。とは声に出しては言わない。というか言えない。理由は恥ずかしいから。なので胸のうちにしまっておくことにした。


園咲は俺の返事を聞いて、すこし笑ってから再びビーチバレーの輪の中に戻っていった。どうやら俺のことを心配でもしてくれていたらしい。普段の言動はアレなのにこういう時は周りをしっかりと見てるのな。


「......はあ、すこし散歩でもしてくるか」


俺はいったん頭の中を整理するために散歩に出かけることにした。浜辺付近の道なら海パン一丁でも問題ないだろ。......たぶん。まあ、なんか言われたらその時だ。とにかく歩いてみよう



しばらく道なりに歩いていくと、ひらけた丘に出た。

ひらけた視界の先には、水平線の彼方が見えている。丘には色とりどりの花々が咲き乱れていて、どこか神聖な雰囲気を醸し出していた。RPGで例えるなら世界樹の花とか咲いてそう。


そんなファンタジー溢れる丘には、何故か旅館のおじさんがこちらに背を向けて立っていた。


「おや? これは拓也様。こんにちは」


人の気配に気がついたのか、後ろを振り返り、俺の姿を確認すると優しい笑顔を向けてきた。


「どうも」


軽く頭を下げながら俺はおじさんへと向かっていく。


「ここで何してるんですか?」


「......ここは私の息子が好きだった場所なんです」


好きだった(・・)という事は、既に息子さんはこの世にはいないということだろうか。


「そんな顔をしないでください。あいつは幸せな人生を過ごしたと思いますよ」


そう言うとおじさんは笑った。豪快で見ている人も笑いそうになるような笑顔ではなく、涙を堪えるような、悲しい笑顔だった。


「......なんと言うか、お悔やみ申し上げます」


「ありがとうございます。さて、私の身の上話はいいのです。どうやら拓也様は悩んでいらっしゃるご様子。もしよければ私に話してみてはいかがでしょう。無駄に長い時間生きていますので人生経験は豊富ですよ」


どうやら俺はすぐに考えていることが顔に出るらしい。さっきも園咲に元気がないことを感づかれたからな。


「......では、お願いします」


「承りました」


そう言うとおじさんは頭を下げた。




さて、一ヶ月以上もお待たせしてしまい申し訳ありませんでした。最近は今後の生活に関わるような決断を迫られることがありまして、まだその問題には決着がついておりません。


なので更新はまた遅れるとは思いますが、次は一ヶ月以上もお待たせすることがないようにしていきたいと思いますので、どうかこれからもよろしくお願いします。

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