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友達がいらない俺に告白してきたやつがいるんだが  作者: 夢木 彼方
中二病でも理解者が欲しいのです
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……はぁ、まぁいいか



園咲と話を終えた後、俺は自宅へと帰っていた。

その帰り道で、先程の会話を思い出す。

そして、俺はあいつと出会った時の事をようやく思い出した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


俺はあの時、絶賛中二病で今でも思い出すと自分の事をぶん殴りたくなる。もし手元に拳銃でもあれば間違いなく頭を撃ち抜いていただろう。それくらいに黒歴史なのだ。


あの頃、俺は公園で奥義の習得とか言ってアマソンで買った安いけどカッコいい剣を、技名を叫びながら振り回していた。

この時点で、もう大声で叫び足したくなる。


話を戻そう。

そして、ブランコで泣いていた女の子を見つけた。

俺はつい気になって、その女の子に話しかけに行ったんだ。

顔を上げたその子の目を見た瞬間、背筋がゾクゾクした。

綺麗で長い黒髪なのに、瞳はまるで深い海のような青色だったのだから。

俺は感動とともに嫉妬した。

何でそんなにカッコいい瞳を持っているのかと。

「何でそんなにカッコいいのに泣いてるの?」

俺はそんな事をその女の子に問いかけた。

するとその女の子は不思議そうに首をかしげた。

「……何、が?」

「お前のその目だよ。綺麗だし、カッコいい」

すると、その子は頬を少し赤く染めた。

「……そんなこと初めて言われた」

「だったらお前の周りにいる奴は目が節穴だな!」

俺がきっぱりと宣言すると、その女の子は嬉しそうに笑った。

その笑顔は俺にとってあまりにも不意討ちすぎて、アホのように惚けてしまっていた。

そのままその子はブランコから降りて、駆け出していった。

そして、少し離れた位置で俺に向かってこう言った。


「あなたの名前は?」

「俺の名は、『神殺し(ゴッド・キラー)』」

……どうして本当の名前を言わなかったのかについては、その時中二病だったからとしか言い様がない。

「あなた、変だね」

そう言い残して、あの子は今度こそ、俺の前から消えていった。


これが、俺の記憶にある。園咲との出会いの記憶だ。


……思い出すだけで俺のライフがガリガリ削られていってるんだが。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



あいつは俺と似ている。反抗の仕方が俺と違っただけで、受けた痛みはほとんど変わらないと思う。

あいつは痛みを受け入れることにしたようだが、俺は痛みを受け入れることはしなかった。


むしろ周りに対して威圧していた。俺を屈服させることが出来るのならやってみろ、と。

まぁ、そのお陰で俺に対するあからさまないじめはなくなった。その代わり人間関係も失った。その頃には、俺は友達は必要ないという考えに達していたので、大したことはなかったが。





だから、俺は園咲を放っておくことが出来ないのだ。

昔の俺を見ているようで、つい手を差し伸べてしまいたくなる。

……他人と関わることはしないって決めてたのになぁ。本当に俺の信念ってカバガバだよな。


俺は自分の矛盾した考えを自覚しつつも、明日の行動の予定をたてつつ家に着いた。

そして、その時になってようやく気がついた。

家の前にあいつ(・・・)がいることに。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「……で、そろそろ訳を話してくれますよね?せ・ん・ぱ・い?」

「……はい」

俺は自宅のリビングで冷や汗をかきながら正座していた。

机の向こう側に座っているのは、言わずもがな西城だ。

西城の顔は今まで見たことがないくらい無表情だった。

何故だろう、なんだか浮気がバレて奥さんから咎められてる気分ってこんな感じなのだろうか?……すげぇ気まずいな。


俺はその気まずさに負けてあっさりと白状した。

今までの事や園咲のこと、過去に園咲と出会ったことなど。

俺の話を依然無表情で聞いていた西城だったが、話終わるとため息をついた。

「なるほど、そんなことがあったんですね」

「はい、そういうことです」

「だったら私にも話してくださいよ。私と先輩の仲じゃないですか」

先程とはうって変わって、拗ねた表情をする西城。

不覚にも可愛いと思ってしまった。……くそっ!

なんだか気恥ずかしいので誤魔化すのがベスト。

「……誤解するような事を言うな。誰かが聞いてたらどうすんだよ」

「むしろ誤解して欲しいですね!」

こいつ、このままだといつものペースに飲まれる。こうなったらこっちから反撃だ……!

「……まぁ、それでもいいか」

俺は聞こえるか聞こえないか微妙な大きさで呟いた。

すると、反応は劇的だった。

「えっ……、それってどういうことですか?」

西城の顔はまるで茹で上がったタコのように真っ赤だった。

……おお、なんか面白いな。これ。

「いや、何も言ってないぞ。それよりも園咲のことだ。……俺はあいつを助けたいと思う」

まだ、ぶつぶつと「まさか、ついに先輩がデレた?」とか呟いてるがとりあえず無視して話を進める。

……それと、俺はデレてないからな!


「あの中二病患者を先輩は助けるんですか?」

「まぁ、他人事とは思えないしな。ここまで首突っ込んて何もしません、っていうのも後味悪いだろ」

「……はぁ、わかりました。その代わり私も結末を見届けますからね!」

「……もう勝手にしてくれ」

俺は、西城の勢いを止める気力はなく。もう何でもいっか、とすべてを投げやりにした気分だった。

というか、俺のプランを西城に見られるのは若干恥ずかしいのだが。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


そして、決行の日。

俺は体育館裏でまた多数の女子に囲まれている園咲を発見した。

まだ泣いてないようだが、それも時間の問題だろう。

これ以上見ていても仕方ない。いよいよ決行だ。

俺の横では西城がサムズアップしてこちらを見てきた。

俺はあらかじめ用意していた正装(・・)に着替え、息を整えてから物陰から飛び出した。



「だいたいなんだよその格好!キメぇんだよ!」

女子の集団の中の一人が拳を振り上げたその瞬間……!

「おい、てめぇら。俺の前で何やってんだ?」

振り上げた拳を宙で止め、驚いたように俺の方に振り替える女子A。

「だ、誰だ!」

「…………!」

驚く女子達、囲まれている園咲は俺の姿を見ると息を飲んだ。

「ふっ、俺の名か……。名乗るほどの名前を持っちゃいねぇが、敢えて名乗るなら『神殺し(ゴッド・キラー)』」

「……あんた病院行った方がいいよ」

ものすごい引かれた。それに心配もされた。

こいつらはきっと俺の言動にも引いてるだろうが、俺の格好に対しても引いてることだろう。

何故なら、俺が今着てる正装(・・)とは……、俺が中二病の頃愛用していた黒のコートに黒のブーツ、極め付きにこれまた黒の指ぬきグローブなのだから……!


女子達は、依然としてドン引きの構えを解かない。気のせいか少しずつ後退りしてるような。

どうしよう、もうすでに俺の心は折れかかってるよ!

だが、ここで折れていたら意味がない。

俺は黒のコートの裾を翻して、話を続けた。

「そいつの格好がおかしいと言うのなら、俺の格好だっておかしいだろ?ほら、どうした?俺のことも殴ってみろよ!」

「はっ!意味わかんねぇ。なーんか白けちまったな、この変人野郎」

捨て台詞を残して女子達はその場を去っていった。


その場にいるのは俺と園咲、それと西城だけだ。

しばらく呆然としていた園咲はようやく口を開いた。

「……師匠、どうしてそのお姿に」

うつむいて肩を震わせながら、園咲は言った。

てっきり泣いてるのかと思ったのだが。

「懐かしいお姿です!私、感動しました……!」

どうやら俺の黒歴史衣装を見て感動していたらしい。解せぬ。

「……はぁ、まぁいいか」

笑ってるならそれでいい。

泣かれたりしたらそれこそ俺が困る。


「でも先輩、物事の根本的な解決には至ってないように思うんですが」

いつの間にか物陰から出てきた西城が、俺の横で疑問に思っていた。

「それについては問題ない。またあいつらが何かしようってんなら、また俺が成敗しに行ってやる」

「…………なんだが、先輩らしいです」

一体どこに俺らしさがあったのか疑問だが、まぁ終わり良ければすべて良しって言うもんな。詳しいことは考えない。後回し。それが荒木クオリティー。

「……あのさぁ、二人だけで桃色空間作んないでよ」

「作っとらんわ!」




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「……君には感謝してるよ」

「だったら、もう少し感謝してる感じ出してくださいよ」

放課後、俺は職員室へと呼び出しされていた。

もちろん、呼び出し相手は尾道先生だ。

呼び出すなり、感謝の言葉を俺に贈ってきたのだが、その言葉に全くもって感謝の気持ちが感じられないという事だった。

もはや棒読みと言ってもいいレベル。そんなに俺に対して礼を言うのは嫌なのか。


「まぁ、それでもいじめが無くなるかと言えば、そうではないかもしれない」

「なんだが随分とあやふやですね」

「それでも、あの子には君という支えが出来た。それだけでも充分ありがたいよ」

「……そうですか」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「はっはっはっ!師匠!私もこの暗躍のギルドに加入しようではないか……!」

「そんな中二心くすぐられるような大層な部活じゃねぇよ」

職員室から解放された俺は、その足で部室に向かうと俺の他に西城、雪月、そして園咲がいた。

園咲はいつものペースを取り戻していた。

「別にいいんじゃないですか?」

おい、残念イケメン。久しぶりの登場で何無責任な事いってんだよ。

「……何が目的ですか?」

すげぇ、敵対心マックスな西城です。

「特に、何も~」

そんな西城を適当にあしらう園咲。ここは1つ年上の園咲の勝利か。

「それとも、私が入ることで何か問題でも?」

「……別に」

反対に得意気に煽る園咲。

対して何故か拗ねた様子の西城。

俺の目には二人の間に暗雲が立ち込めて見えていた。何故だろうか?分からないなぁ。はっはっはっ。




そんなこんなで、新たなメンバーを加えた第二文芸部は、夏休みに向けて始動始始めたのだった。…………不安要素しかないんだけど、どういうことだろうな。





これにて園咲編は終了です!

次回は短編を投稿するか、夏休み編に行くか悩んでますが、まぁ気長にお待ちください。


では、また次回お会いしましょう。

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