そんな訳ないじゃないですか
「……はぁ……はぁ」
俺は校舎を走り回っていた。
尾道先生に言われたあと、園咲を探し回っていたが何時までたっても見つからなかった。
「あいつどこに行ったんだよ……!」
俺は焦りを覚えつつも、ある一つの可能性を思い付いていた。
その場所へと、少しでも速くたどり着くために俺はまた駆け出した。
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たどり着いたその場所は、園咲と遊んだあの公園だ。
俺の中で園咲がいそうな場所は、もうここしか思い付かなかった。
「……頼むからここにいてくれよ」
これ以上走り回るのは御免だからな。
……重ね重ね思うが、なんでこんなに真剣になってるのかねぇ。
公園内を息を整えるためにゆっくりと歩きながら、雨の日に雨宿りした休憩所に向かっていった。
園内をしばらく歩いていると、ようやく休憩所が見えてきた。
そして、あいつの姿も。
「…………おい、この中二野郎」
俺が側まで近づいて話しかけると、ビクッと肩を驚かせてこちらをゆっくりと振り返った。
その時、園咲の瞳から光がこぼれるのを俺は見逃さなかった。
「ああ、師匠ですか」
声にいつもの元気がない。
普段のはつらつとした園咲はどこへ行ったのか。俺にはわからない。
「……先生からお前がハーフだってことは聞いた」
俺が先生から聞いたことを園咲に告げると、驚いたように見開いてから、悲しげに目を伏せた。
「それじゃあ私が同級生の女の子たちからちょっかいをかけられていることを知ってるんですね」
「ああ」
すると園咲はベンチの方に歩いて行き座ると、俺に手招きしてきた。どうやらすべてを話すつもりらしい。
俺は園咲に続いてベンチに腰をおろした。
「……どこから話しましょうか。まず、私は母は日本人と父はフランス人のハーフです。瞳の色は父から、髪の色は母から受け継ぎました」
「俺はずっとカラコンでもつけてるのかと思ってたぞ」
「よく言われます。まぁ、そのことで色々と面倒なことに巻き込まれるんですけどね」
園咲は寂しそうに笑った。
俺には、園咲の辛さはわかるつもりだ。少なくともいじめられた経験が無いくせに「大丈夫?」と自己満足のために偽善を振りかざすような奴らよりかは園咲の気持ちはわかる。
だからどうにかしたいと、そう思う自分がいる。
「ですが、そんなことにはもう慣れました。少しだけ耐えていればすぐに相手は飽きますからね」
「……お前が、中二病のように振る舞うのにはいじめが理由なのか?」
すると園咲は俺の目を見て
「そんな訳ないじゃないですか」
と言い放った。
真っ直ぐにこちらを見つめていた。
真剣で「ふざけたことを言うな」と目が語っていた。
「私は昔、貴方に会ってるんですよ」
「…………は?」
どういうことだ?俺が園咲と昔、会っている?
「……すまんが、お前みたいなやつそうそう忘れたりしないんだが」
「まぁ、師匠は覚えてないでしょうね。あの頃は私はこんな格好してませんでしたから」
苦笑しながら園咲は昔話を始めた。
「昔、大体中学二年の頃。周りの人たちの闇に飲み込まれそうになったとき、貴方と一緒に遊んだ公園で真の姿だった師匠に出会ったんです。」
「……ん?」
真の姿……?
それってもしかして……!
「俺が絶賛中二病患者の時じゃねぇか!」
「そうです!漆黒のコートに指ぬきグローブ、そしてその背に背負う黒き太刀」
「やめろやめろやめろやめろやめろやめろ!」
俺は頭を抱えてしゃがみこんだ。
なんでこいつのことを考えて行動してるのに、俺がダメージ負ってるんだ?……割りに合わねぇ。
「……でも、その姿を見て私は感動したんです」
どこをどう見たら痛すぎる姿に感動するんだよ。
「周りの人の目を気にもせず、自分を保ったまま振る舞う姿に感動したんです」
物は言い様、とは言うがここまでとは。
別に周りのことは気にしてなかった訳じゃない。周りが見えてなかっただけなんだけどな。
そして園咲は俺の顔を、見つめてこう言った。
「だから、私は貴方のようになろうとしたんです。私が私であるために」
まず、謝ることが二つ。
更新遅れてすいませんでした。
話の行方をどうしようかと悩んでいたら、全く筆が進まなくなりました。
見切り発車でやるからこうなることは分かってるんですが、こればっかりはどうしようもないです。
そして、まだ園咲編は続きます。
まだ結末をどうするか悩んでいるので、一週間待ってください。よろしくお願いします。
そして、震災の被害にあった方たちへ。一日も早い復興を祈っています。
では、また来週お会いしましょう。




