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友達がいらない俺に告白してきたやつがいるんだが  作者: 夢木 彼方
中二病でも理解者が欲しいのです
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皆勤賞逃したじゃねぇか




翌日


今日は西城が朝、家に来て「一緒に行きましょう」と有無を言わさない笑顔を浮かべながら迫ってきたので、俺はただ頷くことしか出来なかった。


いつも通りと言えばいつも通りなのだが、何故か少しだけ不機嫌だったのは何故だろう。

まぁ、考えても人の気持ちなんか完璧に理解することなんか出来るわけないからな、考えるだけ無駄ってもんだ。



「で、結局何がどうなったんですか?」

道の端に植えられている桜の大部分が散り始め、緑の葉が青々と風に揺られているのを見て、そろそろ春も終わりだなぁと思いながら俺と西城が学校への道を歩いていると、西城がふと、そんなことを尋ねてきた。

「どうなったって何がだ?」


すると西城は「そんなこと言わなくても分かりますよね」という意味を込めて軽く睨んできた。もちろん俺はその意味を何となく理解できた。……本当だよ?怖かった訳じゃないからねっ!

「……特に、なにも進展しなかったな」

厳密にいうと、少しだけパラダイスを拝んでしまったのだが、言っても火に油を注ぐことになるので言わない。別に見たくて見た訳じゃないし?そもそも相手が気づいてないので問題ない。

自分が不利になることは言わない。しかし、相手が不利になることは率先して言う。それが拓也クオリティー。


目を逸らしながら答える俺に疑惑の視線を集中放火していたが、やがて諦めたように笑って前を向いた。

「まぁ、いいです。……けれど、困ったときは必ず言ってくださいよ?私でも何かしら力になれるかもしれませんからね」

そう言って西城は恥ずかしげに笑いかけてきた。

ちょうどその時、強めの風が吹き、桜吹雪の中笑っている西城は絵画にでも出てきそうなくらい……可憐だった。

……そんなことは口が裂けても言えないけどな。そんなことを言った日には「やっぱり先輩ってツンデレだったんですね~」とニヤニヤされることは目に見えてる。


想像しただけでイラついてきた。



ーーーーーーーーーー


学校に近づくと、校門の辺りがざわざわと騒がしかった。生徒が何人も集まっており、通行の邪魔になっている。

……何でだろう、嫌な予感しかしない。

そして、こういうときの俺の勘というものは、何故か当たる。当たって欲しいときに当たらないで、当たって欲しくないときに当たるとか。


「何ですかね、すごい人だかりですよ?」

「そうだな、それよりも遅刻するかもしれないから早く行こう」

西城が不思議そうに人だかりよっていくが、もし、あいつに見つかったら絶対に面倒なことになる。なんであいつだってわかるかだって?そりゃ大声で「唸れ!我が封印されし左足よ!」とか言ってりゃそんなの一人しかいないだろ?


というか、そういう場合って普通左腕とかじゃねぇのかよ。それとも黄金の左足を封じ込めてるのかな?……だったらサッカーやれよ。なでしこになってこい。

それにしても澤選手、この前テレビで見たらすげぇ美人になってたな……。結婚したら女の人ってあんなに変わるんだな。ちょっと恐怖を覚える僕でした。


そんなことより、今日も同じ場所にいるとか、あれか?もしかして構ってほしいのかな?

だったら、そこら辺のおじさんと遊んでこいよ、喜んでハァハァ言いながら遊んでくれるだろうよ。


人だかりに近づいていく西城を引っ張って、人混みに紛れて抜け出そうとした。

だが、そう簡単にはいかなかった。

「むむ!私のレーダーに反応がっ!」

そう言うと園咲は俺らがいる方向に視線を向けてきた。


何でだよ!?


何で分かるの?レーダーってなんだよ、マジで怖ぇよ。あれか?もしかして園咲はヤンデレ属性でも持ってるのかな?やめてくれよ、俺はヤンデレよりもクーデレがいい!


しかもまた一人称がぶれぶれだ。『我』なのか『私』なのかはっきり区別しろ。

そんな半端な設定だと、俺ガ○ルの材木○みたいになるぞ。

……いや、でも材○座は良いやつなんだよ?ただ残念なだけなんだ。


「ようやく来たか、我が理解者よ」

不敵に笑いながらこちらにゆっくりと歩いてくる園咲。周りの視線に慣れたとはいえ、流石にツラい。何で俺は何かある度に公開羞恥プレイを強制的に受けなきゃいけないんだ?そんなのドMにやらせろよ。何度も言うが、俺はドMじゃねぇ!


俺は園咲を無視して校舎に向かおうとした。

だが、それは園咲のある爆弾発言によって止められた。

「なかなかのネーミングでした、『邪神竜(ダークネスドラゴン)』カッコいい……!」

その澄んだ綺麗な青い瞳の中に星空があるのかと錯覚するほど、目をキラキラさせて園咲は爆弾を投下した。

もはや完全に素に戻っている。

というか、そんなことはどうでもいい。

コイツ、今なに言った……?





………………………………。





「ギャァァァァァ!」

突然叫びだした俺の周りから人がギョッとして離れていくが、そんなのはもはやどうでもいい。

何でこいつはその事を知ってるんだ!?

もう頭の中はパニックでどうしたらいいのか正常な判断が下せなくなっていた。


なので俺は園咲の手を掴むと学校とは逆方向に向かって走り出した。

あ、女の子の手ってこんなに柔らかいんだ、とかそんな感触を楽しんでいる余裕もなく、全力で走った。

後ろから「ちょっと先輩!?」と呼ぶ声がするが今の俺にはわざわざ返事をしている暇はない……!一刻も早く、ここから離れるんだ!



ーーーーーーーーーー


そのまましばらく箱根駅伝の選手なみの速さで走り、昨晩訪れた公園へとたどり着いた。

駐輪所を見ると、そこには騒動の原因であるマウンテンバイク『邪神竜(ダークネスドラゴン)』がぶっといチェーンで繋がれたままだった。


「……はぁ……はぁ。……で?何でお前はこいつの名前のことしってんだ?」

息を整えてから俺はまだ息が荒く、頬を赤く染め、膝に手をつきながら上目遣いで俺のことを見てきた。

……何でだろう、中身が残念なことは知ってるのにすげぇドキドキしてきた。

「……それはあの『邪神竜(ダークネスドラゴン)』にネームプレートがついていた」

「その名前を言うなっ!…………ん?ネームプレート?」

俺はそんなものをこのマウンテンバイクにつけた覚えはないんだが。

俺が首を傾げていると、園咲は俺のマウンテンバイクの側にいつの間にか近づいており、


「ここに」

とマウンテンバイクの後輪部分の泥除けを指差した。

そんなもん書いてねぇよと笑いながら覗いてみると…………黒色の泥除けのサドルの下当たりに白色で、書いてあった……。

「……う、そだろ?」

おいおい、いつの間にこんなの書いてたんだ俺!自分から過去の黒歴史暴露するようなことしてなにやってんの?しかも黒色のマウンテンバイクに白色のペンとか、目立つにきまってんだろ!しかもやっぱり恥ずかしくなったのか、目立たないように小さく書いてあるが、もはや関係ない。




さて、今の俺の葛藤を見た方はなんとな~く理解しただろう。

……そうだよ、俺も昔は中二病でした!

だってさ、しょうがないじゃん?ただでさえ俺には親がいないんだから、ストップをかける存在がいなかったんだ。だったら暴走するのも仕方ないよね?


書道の時間になると、墨汁で魔方陣書いたり、陰陽道の真似事してみたり、授業中にクラスがテロリストに占拠された場合の対処法を考えたり(この対処法は俺が秘めた力に目覚めることが前提条件)自転車に名前つけてみたり、ネットで見かけた黒革の眼帯に一目惚れして即決で買っちゃったり、中学時代を過ごしたやつらなら似たようなことやったことあるだろ?…………あるよね……?


「流石、我が理解者。素晴らしいネーミングセンス!…………むしろ師匠?」

「師匠はやめろ」

何やら興奮した様子でとんでもないことを言い出す園咲。

だけど、こんなことでも褒められると嬉しくなるのは俺が単純だからか。きっと今の俺の顔を鏡で見るとにやけていることだろう。


「ていうか、お前のせいで皆勤賞逃したじゃねぇか、こっそり狙ってたのに」

このままこの話題を続けていると俺に大量のダメージが与えられることになるので、強引に話題を逸らす。

「私は貴方が手を引いて走り始めたでしょう。むしろ私は被害者です」

確かに、俺が発狂して無我夢中で走り始めたのが悪い。それはわかっているんだが、なんか納得できない。

「むしろ私に対して謝罪が必要なのでは?」

「…………すいませんでした」

「ふふ、仕方ない。我が師匠の謝罪だ。許さないわけにはいかない」


悪戯に成功したような、そんな幼い無邪気な笑顔を浮かべる園咲。不覚にも、見惚れた。

やっぱり俺って笑顔に弱いんだろうか。俺がもし女子だったら相当のチョロインだろうな。いや、まず女子の俺を想像しただけで気持ち悪くなってきた。

ていうか、こいつ「許さないわけにはいかない」とか何で上から目線なの?一応俺って、お前の認識じゃあ師匠じゃないの?




「……やっぱり貴方は他の人間とは違う」




「ん?なにか言ったか?」

「ううん、何も。それよりも折角サボったのだからこの魔の遊び場を調査しよう!」

……?今なにか言った気がするんだが。


それよりもこいつ、何が魔の遊び場だよ。ここは危険な場所なんてどこにもねぇよ。しかも調査とか言ってるが、要は遊びたいんだろ?

こんなアホなことを言ってくるこいつも大概だが、その意味を理解できたちゃう俺もそんなに変わらないのかもな。


「……はぁ、仕方ない。乗り掛かった船だ、最後まで付き合うよ」

すると園咲はパァと明るくなり、明らかにご機嫌になった。

「では、あそこに行こう!」




ーーーーーーーーーー



「……で、ここか」

園咲に連れてこられてやって来たのは、公園の総面積、約三分の一を占領している動植物園だった。


もちろん、公園の施設なので展示されているものはとてもショボい。市の花とか、市の鳥とか、もちろんパンダやキリンはいるはずがない。だったら時間なら沢山余ってるのだから、上野動物園にでも行った方がいい気がするが、園咲は「ここが良いんです!」と断固として譲らなかった。まぁ、俺としては時間が潰せるのであれば何処でもよかったのでここに決定した。


「さぁ!早く行こう!」

もう、完全に素だけど指摘してもいいかな?


ゲートでチケットを購入し、受付のおばさんに渡して園内へ入った。

こういうチケットって大したもの展示してないくせにやけに高いのってやっぱり客があまり来てないからってことなのか?上野動物園の倍かかるとか、ぼったくりもいいとこだろ。

「師匠~、早く」

まぁ、楽しそうだしそんなこと考えるのは野暮ってもんか。

じゃあ俺も純粋に楽しむとするか。学校サボって遊ぶってのもワクワクしていいしな。

「わかったら、はしゃいで転ぶなよー」

はしゃぐ園咲を追うように俺も園咲に追い付いた。

園内には動物ふれあいコーナーと植物園、売店がある。

まず園咲は植物園に行きたいと言ってきたので、まず初めに植物園へ向かった。


植物園には熱帯エリアや、密林エリアなど多彩な植物が展示されていて、少しだけ感心する。

「師匠!マンドラゴラを探そう!」

「いや、いないから、探さないから、そもそも師匠じゃないから」

否定されまくったにもかかわらず、園咲は何が楽しいのかずっと笑いっぱなしだった。


その後も、巨木を見て「これには精霊が住んでいるに違いない」と木に登り始めたり、「こ、これは!伝説の……!」と急に騒ぎ始めたりと女の子には思えないアグレッシブさで俺を翻弄し続けた。


「はふぅ~、満足」

実に満ち満ちた表情を浮かべながら、今にでもスキップを始めるんじゃないか?と思わせるほどの軽い足どりで向かっているのは、動物ふれあいコーナーである。


案内板を見たところ、ポニーやウサギ、羊などがいるみたいだ。

またこいつが暴れなければいいんだけどな。

俺がじーと監視するように見てることに気づかずに園咲はさっさと中に入っていった。


「ふわぁ~!」

入った途端に、子供のように喜び始めた園咲。目がハートになってる。

園咲は俺のことを無視して、真っ先にウサギのもとへ向かい、凄いもふもふしていた。

ウサギが逃げ出そうとしているが、園咲が逃さない。まるで捕食者と獲物の争いのようだ。


俺は園咲が満足するまで、近くのベンチで自販機で買ってきた缶コーヒーをちびちびと飲みながら、どれくらい時間が経つのか気になったので、腕時計のストップウォッチ機能を起動し、計測を始めた。そのくらいしか暇潰しがないんだよ。







二時間後



流石に、ずっとストップウォッチを見続けるのに飽きてた俺は、小説投稿サイト『小説家に俺はなる!』の作品に愛のある評価を投下し終わり、顔をあげるとどうやら園咲も満足したようで、「……可愛かった~」と言いながら立ち上がっていた。


しかし、まだ名残惜しそうな表情を浮かべてウサギを見るが、ウサギはやっと解放され「また捕まってたまるか!」と言いそうな勢いで跳び跳ねていった。


ふれあいコーナーから園咲が出てきた。

そして、俺の存在を確認すると面白いくらいに顔を真っ赤にしていた。

「ご、ごめんなさい!……すっかり忘れてた」

お、おお。やっぱり俺のこと忘れてたのね。

俺って絶対異世界行ったら、始めから気配遮断スキルとか持ってるぞ。

なんなら、今現在発動している模様。

なお、解除条件は不明。何だこのゴミスキル。



「別に、楽しそうだったからいいよ。…………園咲の使い魔はウサギか?」

俺が、からかうように話しかけると、さらに顔を真っ赤にしてポカポカと叩いてきた。

まぁ他の生徒がいる前であんなこと言われたんだからな。これでチャラってことで。





更新遅れてすいませんでした。

私生活が忙しくてなかなか更新できませんでした。

その分少しだけ長めに書いたのでご容赦を。


次の更新は来週の水曜日から土曜日の間に更新したいと思いますので、気長に待っていてください。


よろしくお願いします。




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