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友達がいらない俺に告白してきたやつがいるんだが  作者: 夢木 彼方
中二病でも理解者が欲しいのです
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尾道教諭の悲しげな顔




園咲はその後、「むっ、精霊の気配が……!」とか言って部室から走り去っていった。


ずっと顔が真っ赤になっていたところを見ると、恥ずかしくて逃げ出したに違いない。

ちょっとは可愛いところもあるじゃないかと思い、鞄から読みかけの本を取りだし読書を開始した。




俺が本を読み出して、ほんの少ししたら西城と雪月がやって来た。

最近、この二人は大体一緒に部室にやって来る。

西城曰く、毎回HRが終わると大体は教室の前で待っているらしい。

しかし、何せ外見はパーフェクトな雪月だ。

廊下で、これまた一応は美少女の西城のことを待っていたとなると女子や男子は様々な噂を囁きだす。

西城から言わせれば「ふざけんな!」といったところらしい。


……まぁ何も面倒な事が起きてないなら何も問題ない。全てオーケーだ。




「先輩、今さっきそこで不可思議な格好をした女の子が走っていったんですが知ってますか?」

おっ、どうやら廊下ですれ違ったらしいな。なら話は早い。

「西城が見たなら雪月も見ただろ?あれが今回の依頼者の中二病患者だ」


俺が今回の依頼者の説明をすると雪月が申し訳なさそうにして口を開いた。

「……すいません。その中二病というものがよく分からないのですが」

恥ずかしそうに頬をポリポリと掻いていた。

……おい、男が恥ずかしそうにしていて誰が喜ぶんだよ。気色悪いので今すぐに止めなさい!


とはいえ、一応こいつも部員な訳で説明しないわけにはいかず、俺は簡単に自分なりの解釈で中二病について説明した。


「なるほど、世の中にはそのような奇妙な病があるのですか……」


どうやら本当にそんな病気があると信じてしまったらしい。

流石は残念ピュアイケメン。

一回頭のなかを医者か何かに見てもらえばいい。きっと脳ミソがハートの形でもしてるんじゃないか?


「とにかく、そんなことがあったからお前らにも力になってもらうぞ」

俺は有無を言わさぬ勢いで話を終えた。

さて、俺はあの人のところに行って話を聞きに行かなきゃな。

どういう目的であの中二病を俺らの元へけしかけたのか問いたださねば。


というわけで、俺は二人に留守番を任せようとしたところ西城が「私も行きます!」と席を立ったら「じゃあ僕も!」と雪月がやって来た。


しかし西城が「雪月君はここで留守番しててね?」と全く眼が笑っていない笑顔を浮かべながら雪月に迫ったので、流石の雪月も頬に一筋の汗を垂らしながら引きつった笑顔で何度も頷いていた。



そんな雪月に満足したのか俺の方に振り返り満面の笑みを浮かべながら。

「それじゃあ行きましょう、先輩!」

と言ってきた。


確かにあの笑顔は可愛かったと認めざるを得ないが、その前のやり取りを目の前で見ていた俺としては非常に微妙だ。

むしろこいつに対してちょっとばかし恐怖を感じてるよ?


笑っている西城の後ろでまるで捨てられたような子犬のような雪月が視界に写る。


なんというか、雪月がこの頃可哀想に思えてきた。

今度、少しだけ優しくしてやろう。


俺はそっと決心するのであった。


ーーーーーーーーーー


「で?二人で何しに来たんだ?」

俺と西城が二人で校内を探していたところようやく尾道先生を見つけたのは視聴覚室だった。

あろうことかこの教師は視聴覚室の備品を勝手に使ってアニメを見ていた。


いい年しといて、どっかのサークル代表みたいなことをしてんじゃねぇよ……。

まぁ、この人の年齢は聞いてないし、知らないんだけどね。俺はそんなこと聞いて死にたくないからな。


「あの中二病患者を部室にやって来るようにしたのは先生だろ?」

俺は話が進まないので、今は視聴覚室でアニメを見ていたことにはつっこまないことにする。

俺が質問すると先生は手元のリモコンを操作して見ていたアニメを一時停止にして体をこちらに向けてきた。

どうやら話は聞くようだ。


「ああ、確かに私があいつをお前たちの元に行けと命令した」

命令ってことは反論を許さずに強制的にあいつは部室へ行かされたってことになる。

おお、その時の恐ろしい風景がはっきりと思い浮かぶぜ……。


「何であの人を?」

西城が不思議そうに首をかしげながら先生に質問する。

すると先生は、今までの雰囲気から一転して悲しげな表情を浮かべた。

初めて見る先生の表情。俺はいつものようにふざけることが出来なかった。


「あいつには色々あってな……。まぁ、お前らなら何とかしてくれるだろうと思っただけだ」

微笑みながら先生はそう言った。

ただその微笑みは、つらそうで何より、悲しそうだった。




ーーーーーーーーーー


その後、視聴覚室を出た俺たちは夕日が射し込む廊下を歩きながら話していた。


「先生のあのような表情は初めて見ました」

「俺もだよ。……いったいあいつには何があるんだ?」

確かに先生のあの表情は気になるが、それよりもあいつの事の方が気になる。

先生は何か事情でも知っているんだろうか。

なら何故それを俺たちに教えてくれないのか。

……考えてても分からない。

さて、どうするか。


「取り敢えず私と雪月君であの人の情報を探ってみます。あの人の名前って何ですか?」

「園咲美香、ちなみにお前らより一つ年上だからな」

「えっ……」

珍しく西城が絶句していた。

まぁあんなふざけた格好してる奴が年上だとは思わないか。


「とにかく、情報収集は頼んだぞ。俺はあいつと接触してみるからな」

ぼっちの俺には情報収集は出来ないからな!

なので、あいつと直接話すことしか出来ないんだ。


「……先輩やる気ですね」

やる気?馬鹿言うんじゃねぇよ。

俺は何時だってやる気だよ?

ただそんなにやる気があるようには見えないだけだからな。



さて、明日からは面倒だけど一回決めたらやるしかねぇもんな。

あの感じの先生も気になるし、どうせやらなきゃ俺の進学が危ういしな。








どうも、最近サブタイトルを考えるのに物凄く時間がかかってる夢木です。


最近新設された「カクヨム」にて異世界系のお話を投稿しました。

タイトルは『サラリーマンだった俺は異世界へ行きました。』です。

そのうちこちらでも投稿するつもりです!


気になる方はどうぞ。


また次回もよろしくお願いします。




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