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友達がいらない俺に告白してきたやつがいるんだが  作者: 夢木 彼方
第一章 ストーカーの出現!?
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西城朱音の想いと荒木拓也の尽きない疑問




「どうだ?これで全部だ。満足か」

久しぶりに長く喋ったので、少し疲れた。

時計を見ると深夜二時。

……だいぶ喋ったな。

さぁ、これでこいつは俺に幻滅して、付きまとうことはないだろう。

「……先輩」

俯きながら西城が俺を呼び掛けた。

よく見ると肩が震えている。

トイレでも我慢しているんだろうか。

でもここでそんなことを言うのは、流石にデリカシーが無さすぎだしなぁ。

「その清水っていう人はどこに住んでいますか?」


目が怖い。


やべぇよ。こいつなにする気だよ!?


「まてまて、何でそんなに怒ってるんだよ!?別に怒るところなんてなかったろ?」

そう、怒ることはないんだ。


今、話してみて冷静に考えると、当時の俺はきっと傲慢だったんだろう。


だからあんな風に上から目線で人に物を言ったりしたんだ。


その結果がこのようになるのも仕方がない。

だが、西城はそんなことを微塵も思っていなく。

「ありますよ。何でそんな性格の悪い人が先輩をいじめるんですか!私はそんなこと納得できません!!」


そう言うと西城は涙を流して泣き始めてしまった。


女子が泣いたときの対処法なんて分からねぇよ。

出版社はこういう時のさりげない対処法スキルを磨ける本を売れば、大ヒットすると思うよ。

……主にリア充専門だけどな。非リアがそんなの見ると発狂するわ。



「……まぁ、なんだ。俺の事を想って泣いてくれるのは、その…………ありがとな」

顔を背けながら一応礼を言っとく。

流石に顔を見て、こんなことは俺には言えないからな。

そんなにコミュ力高くありません。

「…………お礼なんて要らないです。好きな人がそんな過去を送ってきたら、誰だって泣きますよ。」

鼻をすすりながら、西城は笑った。

とても晴れやかな笑顔で。


……それより、誰だって泣くわけじゃないと俺は思うぞ。

いくら好きな人の為だとしても、ここまで泣いてくれるやつは、ほとんどいないだろう。


こいつと会ってから、俺の中で信じていたものが崩壊しかけている。


他人は結局、他人でしかなく自分の事が一番大切だという俺の持論だ。


だけど、本当にそうなのか?


ただ俺が、一方的に決めつけているだけなんじゃないか?


何人もこいつみたいに人の事を想い、涙を流す奴はそんなにいないだろう。


でも、こんだけ人が多いんだ。

探してみれば、きっと何人かはいるだろう。


……俺の目の前にいる奴みたいにな。


そう考えると俺はとても運が良いのだろう。


だから、俺はこいつを手放してはいけないのではないんじゃないか?



…………分からない。考えれば考えるほど分からない。



「……そういえば、先輩」

先程までの雰囲気とは一変し、何かを企むような表情を浮かべながら俺に向き合った。

「…………なんだよ」

警戒心マックスで俺は身構える。

いざというときに備えて、左手に右手を重ねる。



……ククク、どうやら俺の左手に眠りし邪神に気づいたようだな。さあ!目覚めよ暗黒神竜(バハムート)!!!



…………やっぱり深夜になるとテンションがおかしくなるよね!



………………俺だけじゃないよね?





閑話休題



「……先輩、明日。…………というよりはもう今日ですね。」

もう、空が先程より明るくなってきている。

完徹とかやったことないぞ。

「一緒にデートしてくれませんか?」

断る。

……と、いつもの俺なら言っていたことだろう。

だがしかし、俺の考えは変わっていた。

どうして俺は、こいつと一緒にいることが嫌ではないのだろうか。


その疑問を晴らすためには、一回こいつとどこかに出掛けてみれば何か分かるかも知れない。


「……いいぞ、ただし今日は無理だ」

「何でですか?」

そりゃ、もちろん決まってるだろ

「…………眠いからだよ」

「………………あー、確かにそうですね」

そう、今俺は物凄く眠い。

もう一生起きたくないと思うくらい、毛布に包まって眠っていたい。


というわけで、今日のところはお休みなさい。


「ちょっと先輩!?寝ないでくださいよ!」

「うるせー、俺は寝るんだ」

「あーもう!それじゃあ改めてお話ししますから、ちゃんと覚えといて下さいね?」

「へいへい」



すると、今まで我慢していた睡魔が勢いを増して俺に襲いかかってきた。

俺に抗う気力はなく、そのままノックダウンされ本格的に眠りについた。

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