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友達がいらない俺に告白してきたやつがいるんだが  作者: 夢木 彼方
第一章 ストーカーの出現!?
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荒木拓也の過去 ~祭りは静かに動き出す~






今では俺は、一人きりで生きていくとか言ってるが昔はこんな事を言う奴ではなかった。


小学生の時は友達という存在も沢山居たし、中学も最初は友達だっていた。


……そう、最初は。








ーーーーーーーーーーーー

中学一年生 秋

まだ、少しだけ夏の暑さが残っていて過ごしやすいちょうどいい気温。

だが、時折吹く冷たい風がだんだんと近づいてくる冬を予感させる。



そんな中、俺らの学校では文化祭が開催されようとしていた。

そのための準備期間として今日から授業が免除となり、一日中文化祭の準備をすることになる。


文化祭と言っても高校生のように派手ではなく、調べ学習の発表や劇などショボいものばかりだが。


当時の俺らからすれば、初めての文化祭ということもあり、皆が盛り上がっていた。


……その中には、お祭り気分に浮かれて今の俺からすれば馬鹿なことをしようとする奴も何人かは必ずいる。


まぁ、そんなことは一回置いといて、話を戻そう。




ーーーーーーーーーーーー

「では、僕たちのクラスは劇をすることにに決定しました」

クラス委員の通称『メガネ君』の掛け声で俺らのクラスの出し物は決定した。


やる演目はよく聞いてなかったけど、誰かが書いたオリジナルの恋愛劇らしい。


……そのシナリオを書いたやつが、この文化祭を思い出して身悶えるような黒歴史にならないことを祈ろう。……アーメン。


「さて、それでは次に配役を決めていきたいと思います。まずはヒロイン役からです。誰かやりたい人はいませんか?」

「……はい!私やりたいです」



そう言って手を上げたのは学年で一、二を争うほどの美少女だ。

名前は清水しみず 珠理奈じゅりな

肌は絹のように白く、髪は日本では珍しく金髪だ。ハーフらしく、その事が更に可愛さに拍車をかけている。

顔立ちも整っており、学年の男子はほとんどこいつの事が好きだったと思う。


……俺? 俺は特に恋愛とか興味なかったからな。その当時、ハマってた深夜アニメのことだけが気がかりだったよ。……ホントだぞ。


「では、清水さんでいいですか?」

メガネ君に続いてまばらな拍手が続いた。

まぁ、クラスの中心人物に逆らえるわけないもんな。

「じゃあ、主役の主人公役は」


「荒木君がいいと思います!」


まだメガネ君が言い終わってないのに口を挟んだのは、清水の取り巻きの……誰だっけ? まぁ、いいや。女子Aとしておこう。

こいつがこんなことをいい放った。

……というか、俺が主人公?

「では、荒木君が主人公役でいいですか?」

誰も声を上げない。

「ちょっと待ってくれ。俺が主人公役とか無理だ」

主人公とか俺に似合わない。それに人前に出るのは苦手なんだ。

「でも他には立候補はいないし……」

そりゃそうだろ。さっきも言ったが、クラスの中心人物の取り巻きにさえ、逆らうことなんか出来ないだろう。

しかも、学年で一、二を争うほどの美少女の取り巻きだ。

歯向かって彼女からの印象を誰だって悪くしたくはないだろう。

俺は特に何とも思ってなかったので、別に関係無かったけどな。


「私からもお願い。誰かがやらなきゃいけないの」

そう言ってきたのは、取り巻き女子Bだ。

クラスの連中を見渡すと皆が目を伏せた。

この時、俺は理解した。

何故かは分からないが、こいつらはなにがなんでも俺を主役にしたいらしい。


……どうやら逆らうのは得策ではないらしい。


「……分かったよ。他にやりたい人がいないなら俺がやるよ」

もちろん、反論はなかった。




こうして、俺の目障りな過去は動き出した。

今思うと、他にも解決の方法はあったのかもしれないが、今となっては分からない。



だが、後悔はしない。

したら、必死になって考え続けて行動した過去の俺があまりにも可哀想だ。


だから……俺は決して悔やみもしないし、嘆きもしない。











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