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友達がいらない俺に告白してきたやつがいるんだが  作者: 夢木 彼方
第一章 ストーカーの出現!?
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荒木と西城の深夜の対談




「…………落ち着かん」

そう。俺は今、物凄くソワソワしている。

理由は、西城が泊まると言ってきたからだ。

今まで家に泊まったことのあるやつは、親戚の叔母さんくらいしかいない。


つまりは他人を初めてこの家に泊まらせるということで、俺は柄にもなく緊張している。

だけど、思春期の頃にこんなことがあったら絶対に俺と同じようになっていたと思う。

だから、俺はヘタレじゃないし、チキンでもない。オーケー?


そうしているとリビングのドアが開いて西城が入ってきた。

髪が水気を含んで艶々と輝いていて、すごく艶かしい。

俺の使っていたジャージがぶかぶかで、……その、見えそうで少しヤバイ。

……耐えてくれ、俺の理性!


「……二階に布団敷いといたから、今夜はそこで寝てくれ」

「ありがとうございます。……なんかすいません。色々と」

「そう思ってるんだったら、俺に付きまとわないでくれたら一番なんだけど」

「それは出来ません」


即答かよ。


……ここで俺は、ちょうどいい機会だと思い、前から聞いてみたかった疑問を西城にぶつけてみた。

「……なぁ、何でお前はそんなに真剣なんだ?」

「……?何に対してです?」


心底不思議そうに西城は聞き返してきた。

まぁ、聞き方が悪かったが、自分からこんなことを言うのは少し恥ずかしいが。

「……お前が俺を追い回すことだよ」

「あ~、そんなことですか。決まってますよ」

そう言うと西城は少し緊張気味に、でもはっきりと。


「先輩が好きだからです!」


そんなことを言う西城の事が、俺には物凄く眩しく見えた。

自分でも不思議なことに、この言葉は嘘ではないと信じることができた。


それゆえに、俺にはこんなにも人を好きになることが出来るんだろうか? と疑問を感じていた。

答えはNOだろう。

もともと俺は他人を信用していない。

きっとこれからも他人を信じることはないだろう。

……だが、だったら何故俺は他人であるはずの西城を家に泊めているのだろうか?


分からん。俺の行動には矛盾がある。


すると、西城が少し気まずそうに。

「……流石に何か言ってくれないと恥ずかしいです」

「何回も言ってるがNOだ」

「相変わらず頑なですね」

「悪いな、そういうやつなんだ」

でも、こいつと話しているのは気が楽でいい。

認めたくはないが。

「じゃあ、もう一つ。何で会ったばかりの俺に告白してきたんだ?」

これこそ俺が知りたかった疑問だ。

あの時が俺とこいつが初めて出会った日だと俺は思っている。

なのに何故いきなり告白してきたのか。




「……先輩。私先輩の昔の話知ってるんです」



その瞬間、電流が駆け抜けたかのような感覚がした。

思い出したくない記憶が呼び起こされそうになる。

「……何でお前が俺の過去を知ってるのかは知らないが、なおさら疑問だ。その過去を知っていて何故俺に付きまとう」

声が無意識に低く、威圧的になっていた。

だが、仕方ないだろう? まさか今ここで昔の話が出てくるとは思わなかったからな。

「何で先輩があんなことを言ったのか、何となく私には分かったからです」

西城は俺の目を真っ直ぐに見つめて言ってきた。

「……意図なんかねぇよ」

「いえ、絶対にあります」



……こいつと話してるとつくづく思う。

どうしてもこんなにも人を信じることが出来るのだろうかと。


「……だから、先輩の口から真実が知りたいんです」

きっと深夜のテンションで俺も少しおかしかったんだろう。

「…………分かったよ。話してやる」



……気がついたらそう言っていた。




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