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アヤメちゃんの魔法日記  作者: 深光
始まる為のエンディングノート
97/107

夜は戻らず、海に映る月は欠けていた

 祟りのことどうにかしなきゃって考えてて、彩萌は気づいた。

 りっちゃんはどうなのよ、りっちゃんは神様とずっと同じ時間を生きてたわけでしょ?

 この澱みの海にずっと居たんでしょ、一人で居たんでしょ。

 神様はお仕事してて、りっちゃんはこの穢れて真っ暗な空間に一人ぼっちだったんじゃないの?

 いろいろ知ってるから、世界を把握する何かはあるのかもしれないけど。

 あー……でも眠ってたとか言ってた気もするけど。

 眠ってるって意識までない状態なのかな?

 意識はあるけど、体は動かない状態だったら辛い……よね?


 神様居なくなったらりっちゃんはどうなるの?

「……その辺は平気、新しく管理する存在を作ったから」

 ……神様みたいに大変な人が増えるの?

「増えねーよ、お前の昔の体にそういう術を施しただけだから」


 彩萌の死体が有効に利用されていたようです……、エコだね。

 突然聖女の遺体が消えた! って事件はりっちゃんがやったんだね。

 でもそうなると本当にりっちゃん一人ぼっちじゃん、あ……でも今は彩萌と繋がってるから一人じゃないのかな?

 そんなことを考えてれば、りっちゃんは微妙そうな顔してた。


「オリジナルを輪廻に戻すとき、お前の遺体に施した術を発動させる。その術を発動させるにはその額の石が必要だから……、お前と俺の繋がりは消える」

 えっ、じゃありっちゃん本当に一人ぼっちになっちゃうじゃん!

「俺の存在は有って無い様なもの、むしろ無い方が好ましい……世界を歪ませてる原因の一つだから」


 なんか、なんかそれってかわいそうだよ。

 世界的には好ましくない存在かもしれないけど、でもりっちゃんとかのおかげで平和な世界があるんじゃないの?

 だからって言ってりっちゃんが出て来て山吹君が消えるのは非常に困るので此処には居て欲しい。

 でも繋がりが消えたらなんか悲しいじゃん、寂しいじゃん。

 ……あ、そうだ。


 シェリエちゃんに貰ったペア時計の片方をりっちゃんにあげるよ

「なんだよ、やっぱり山吹よりも俺のほうが魅力的である事に気付いたか」

 山吹君のほうが魅力的だから大丈夫、それにりっちゃんにあげなかった方は山吹君にお土産だよ~って言って渡す用だから!

「…………まあ、貰える物は貰っとくわ……、ぜってぇ着けねーけどな」


 えー良いじゃん、つけようよ。

 だって山吹君とペアだよ? 良いじゃん山吹君とペア、羨ましい。

 まあでも彩萌はりっちゃんとペアはイヤだけどね。

 ……そう言えば魔法をかけるときりっちゃんもチューしてたけど、王子もチューしてたね。

 なんか効果あるのかな? まあ彩萌はチューしないけど。

 ……魔女っ娘スティック当ててみよう、なんか魔法かかるかもしれないし!

 というか幽体離脱の筈なのに、なんで魔女っ娘スティックとか持ってるんだろうね。


 またりっちゃんに会えますように~

「……お前らって最初言ったけど、お前が一番縁と夜の精霊(ウェルサー)に近いよ」


 だってせっかくお友達になれたのに、一生会えないかもしれないのは寂しいじゃん。

 ペア時計渡せば、絶対つけないって言ってたけど腕につけてくれたよ。

 やっぱりりっちゃんも寂しかったんだね、石での繋がりが消えちゃっても何かが残ってくれるよね。


「……消えた叶山彩萌を補う為に生まれたのかなって思ってたけど、実は欠けてしまった精霊を補う為に生まれたのかもな」


 じゃあ本当にウェルサーは居たの?

 居たのに、どうしてリセットした後の世界には居ないの?

 理由知ってる? ……邪神族がウェルサー?


「そもそも、リセットする前の世界は精霊に見捨てられた世界だった。人類がウェルサーを殺したから、ウェルサーは夜そのものだから月と星は常に彼女と共にあった、だから月は孤独の精霊じゃないし、昼を象徴する太陽とは姉妹だった。それに海は希望の精霊だった、海の精霊はウェルサーの弟なんだよ。すべてを見通す真実の精霊はウェルサーの元でしか休まる場所は無いし、大地はウェルサーを我が子の様に可愛がってた。愛の精霊はリセット前の世界には居なかった、でもウェルサーには一人だけ魔人の友達が居て……その人が愛の精霊になったんだと思う」


 ……なんか、なんかすごい精霊さんがかわいそうなことになってた。

 どうしてウェルサーはリセットしたのに、戻ってこなかったの?

 ……世界が歪んでるから? それとも殺されちゃったから?

 分かんないけど、なんかかわいそう。


「戻らなかった理由はウェルサーはもう既に違う生き物に転生してしまったからかなって俺は思ってるけど、本当のことは分からない」

 というか、精霊は神様が作ったんじゃなかったの?

「作り直した、が正しいんじゃないか? 一から作った訳じゃなくて、精霊に何か手を加えたのかもな」


 リセット前の世界、なんかすごい悲しいね。

 ウェルサーを殺しちゃったから、世界が消えちゃったって言っても過言ではないのかも。


「祟りを消す方法は簡単だと思う、邪神族を連れてくればいい。邪神族はたぶんあいつの元に居るから、邪神族に会いに行くついでにオリジナルを輪廻に戻せばいい」

 どうやったら神様のところに行けるの?

「魔人の国からいける、とりあえず魔人の国に行って来い」


 そうりっちゃんは言うと、彩萌を引っぱって浮かせて背中を押した。

 魔人の国に行けばいいのか……、体が浮く感じがして苦しいのがどんどんなくなって行きます。

 体に戻るみたいです、彩萌は何となく目を閉じました。


「何かの代わりをさせてごめんな」


 別にりっちゃんがあやまることじゃないですよ。

 彩萌は気にしてません、ウェルサーには申し訳ないなって思うけど……でも世界が平和になるために必要だったならちょっと仕方ないかなって思う。

 精霊さんもちょっとかわいそうだけど……、なんかむずかしい、ぜんぜんわかんないや。

 とりあえずみんな幸せになれたらいいなって思う!

 ウェルサー戻ってきたらいいのに……、でも今ウェルサーが戻って来てもみんなとまどっちゃうだけか。

 リセットしちゃったんならそれは無かった過去だよね……、忘れちゃうのも悲しいけど過去は過去だし前を見なきゃだよね……。

 とりあえずフレアマリーさんとジェーフィクくんをどうにかしなきゃ!

 それから神様は輪廻に戻して、邪神族を連れてくる!

 そんでもって彩萌はクレメニスに帰る、それだけ!





 ――アヤメちゃんの魔法日記、九十五頁

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