空を越えて、願う
どうやって移動するのかってフレアマリーさんに聞いたら、悩んでた。
精霊さんは飛んだり瞬間移動したりできるらしいけど、彩萌は無理だから悩んでる。
それでも一応ミアーティスから出るらしい、大丈夫かな?
ミアーティスからちょっと離れて、フレアマリーさんは彩萌の手を離した。
「ちょっとうるさいから、耳塞いでろよ」
言われた通り耳を塞いだけど、何するの?
フレアマリーさんはなんか掴むような仕草したと思ったら手の中に赤色の石があった。
魔石かな? ……でも魔石で何するの?
すごい力をこめて空に投げたんだよ、魔石。
すごーい高く飛び上がったんだよ、魔石のほうばっかり見てたからさっきまで気づかなかったけどフレアマリーさん武装してるね。
……マジで何をするの?
じーっと見てればフレアマリーさん武器持ちあげて、先っぽのほうを投げた魔石のほうにむけるの。
というか落ちて来ないってことは、もう魔法発動中だったりする?
「爆ぜろ」って言ってるのがちょっと聞こえた、はぜろってどういう意味?
そう思った瞬間魔石は爆発した、耳を塞いでたけど聞こえた。
……ちょっと痛い。
けどなんか、きらきらしててきれいだね!
太陽の光を反射して割れた魔石きらきらして、その後に溶けるみたいに消えちゃうんだね。
フレアマリーさんの大きい斧も、燃えるように消えちゃった。
「たぶんすぐ来るから」
「……何がすぐ来るの? というかそんな呼び方ってあり?」
「信号弾的な? なんかあったら合図するって言ったし」
幻想世界にそんなものあるんですか?
でもこれやってるのフレアマリーさんだけらしい、だよね。魔石はレアらしいもんね。
ユースくんはこれやられるとすごい喜ぶってフレアマリーさん言ってた。
でも自分からは出来ないらしい、きらきら壊すのに勇気がいるらしい。
自分で壊すのは無理だけど、他人が壊すのは良いんだ……?
ちなみに白い魔石でこれをやるとむーちゃんはすぐに来るらしい、なんでも強そうな魔物見つけた時やるらしい。
フレアマリーさんとむーちゃんって本当に仲良いよね……。
「アイツも意外と引き籠りだからな、静かな場所にずっと居るから魔物と遭遇できねぇんだよな。馬鹿だよな、ちょっとくらい煩くても我慢しろよなぁ? そう思うよな?」
「あの性格でうるさいのが嫌いって変わってるなって思う」
「あの性格の癖にアイツ美術館とか好きなんだぜ、まあアイツの趣味は剥製だから変でもねぇかもしれねーけど、美術館とかに入り浸ってるところが変だよな」
「嫌いな物は生き物って書いちゃうレベルなのに変です! 美術館にはけっこう人いないの?」
「結構居ると思うぞ。しかもアイツの家トカゲとかドラゴンの剥製ばっかりあってなんかお前の家自体が爬虫類の博物館じゃねぇかって突っ込みたくなるレベルでさー、しかもなんかレイアウトの仕方もそれっぽいし」
えー、すごい! というかむーちゃんはすごい爬虫類好きなんだな……。
「エントランスにお前の剥製飾るのが夢って言ってたぞ」ってフレアマリーさんに言われたけど、それは笑えないかな。
本気か、本気なのか。本気で彩萌の剥製を飾るのか。
死体くれくれ言ってたのは、彩萌を剥製にしたかったからなのか。
愛されてんなってフレアマリーさん言ってたけど、なんか違う気がする。
なんか恐ろしく違う気がする。
そんなことを話していれば、なんかすごい風を感じてばっさばさ音が聞こえた。
見上げれば緑色の大きいドラゴンさんが下り立とうとしてた、すげー本物じゃん。
「呼んだか、リィファナナン! それで何用だ!」
「きゃー! ちょーうるさーい!」
うわっ、すごい声大きい。迫力があるね。
彩萌の耳は痛いよ、しーちゃんはなぜか喜んでるけど。
そのドラゴンさんはすごく大きくて緑色で首が長くて、腕が羽になってるからコウモリさんみたい。
尻尾長い、ドラゴンさんてかてかしてる。光沢って言うの?
あごひげ生えてるし、なんか強そう!
「むっ、すまんな! 台風と一緒に行動するからか、自然と声が大きくなってしまう!」
「……ドラゴンさんは、何のドラゴンさん? ワイバーン?」
「いや、似て非なる物! 我等はドラゴンの全てを持ち得ているが、ドラゴンは我等の全てを持ち得ていない!」
「つまりどういうことです?」
「最初に作られたドラゴンのテュポーンだぜ、よくあるよくあるな能力を全部詰め込んで最強にしてみた系のドラゴン、ちょっと気持ち悪い系は俺苦手だからこんな普通な見た目になった」
「よくあるよくあるってどこでよくあるなんですか……」
「俺は現実世界のゲーム好きなんだよ、よく行くし」
よく行くの!? フレアマリーさん現実世界によく行ってるの!?
というかドラゴン作ったのフレアマリーさんだったの!? ……いや、これはあんまりびっくりしないかも、うん、フレアマリーさんが妥当だよ。
というかゲームどうやってしたのかな、誰かに迷惑かけてないよね?
フレアマリーさんがコイツ乗せて龍の巣連れてけー、って言っててテュポーンさん? はおっけーしてた。
「我の名前はフェフィークだ、リィシェアどうか息子を救ってくれないか」
「彩萌はリィシェアじゃないですよ、叶山彩萌ですよ、あと本当に救えるかなんてわからないので期待はしないでください……」
「最初の聖女って言う意味だから一応お前の事だぞ、当たって砕けるんだ」
当たって砕けたくないですけど、その根性で行きますよ……。
やれることはやってみます、でもやれないこともあるのは覚えて置いてくださいね!
フェフィークさんの背中に乗って、なんか首の毛のとこ掴んで気づいた。
しーちゃん……巨大化できんじゃん。
しーちゃんもこれ忘れてるなたぶん、……みんなには黙っておこう。
フレアマリーさんもフェフィークさんの上に乗って、彩萌を支えてくれました。
フェフィークさんはすぐに飛び立って、めっちゃ早く飛んだのですぐに龍の巣についちゃいました。
でも龍の巣の周りは風と雨が凄かったので彩萌はびしゃびしゃです。
龍の巣はすっごい断崖絶壁なところの大きい穴でした。
フレアマリーさんに温めてもらえなかったら風邪ひいてた、ありがとうフレアマリーさん。服はフェフィークさんが乾かしてくれた、ありがとうフェフィークさん。
龍の巣にはテスさんは居なかったけど、鳥の巣みたいな感じのもこもこしたのに小さいドラゴンさんが寝てた。
……このもこもこ、シーシープドラゴンの毛じゃない?
「これふゆげ、なつはぬけちゃうやつだ!」
「海に浮いているからな! 巣材に丁度良い!」
浮いてるんだ、これ。
シーシープドラゴンの毛はよく他のドラゴンの巣の材料にされちゃうらしい、だから人間はゲットできないらしいよ。
しかも丸洗い可能! ってフェフィークさん言ってたけどどこで丸洗いしてるの?
その体でどうやって丸洗いしてるの?
……人に化けられそうだね、最強のドラゴンさんだもんね。
眠ってるドラゴンさんは、なんか呼吸が苦しそう。フェフィークさんは明るく振舞ってるけど、なんか心配なのかおろおろそわそわしてる。
……彩萌に何とかできるのかな?
――アヤメちゃんの魔法日記、九十二頁




