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アヤメちゃんの魔法日記  作者: 深光
始まる為のエンディングノート
92/107

シェディッガーの魔物

 はっと気がつきます、どうやら彩萌は体育座りで眠っていたようです。

 さっきよりも暗いような気がします、うー……まだ絵本の中から出られてないみたい。

 立ち上がろうと、地面に手をつけばひんやりしてました。


「……あれ、……土じゃない」


 灯りが無いから良く見えない……あれ? ……彩萌ってケット・シーになったから暗いの大丈夫になったんじゃなかったっけ?

 地面だったのを触った感じは、なんかつるつるしてて教会とか大聖堂の床みたい。

 はいはいでとりあえず床っぽいから壁を探してみたよ、壁はあったから室内みたい。

 あれれ? ……なんで? もしかして実は絵本の中から出られたとか?

 立ち上がって壁に手をつけながら歩きますー、危ないから気をつけよう。

 しばらく歩いてれば扉があった、鍵はかかってなかったから普通に開けましたよ。

 超まぶしい……、太陽の光がぺっかーって感じですよ、目が痛い。

 なんとか目が慣れて辺りを見回せば草原だった、何にもないよ。

 彩萌が居たのは小さな窓も何もない小屋だった……、どこここ? シェリエちゃんどこ行ったの?

 風が涼しいなって思って、辺りを見回して彩萌は有ることに気づきます。


「あれ……!? 毛が生えてない!」


 腕がつるつるなんです、あのもふもふは跡形もないです!

 でも影を見るかぎり耳と尻尾は生えてる……、みたいなんだけど。

 荷物は持ってるし……、何で見た目が変わっちゃったのかな?

 不思議に思いながらなぜか生えてる耳を触ったらめっちゃ硬かった、……これ耳じゃなくて角だ。

 鬼的な何かになってしまったようです……、よく見れば尻尾がなんか黒くてつるつるでうねうねだね。


「……なんか、悪魔みたい」


 広い草原に、窓の無い小屋しかない。なにこれ。

 まあ遠くに森も見えるけど、何もないね。


「ディルーアガァルア シィノナナン エニオールァディンア クレァガレーシュノ クレァガレーシュノ ファニテフレーシュト」


 声が聞こえて、屋根の上を見てみれば大きなフクロウさんが……。

 でも古い言葉で何か言われても彩萌にはわかんねーんですよ、日本語喋ってくださいお願いします。

 彩萌が首をかしげていれば、その鳥は飛び去っていった。

 というかまだ絵本の中だよね……?

 エリィリッア コニュクリアにこういうシーンが出てくるのかな?

 だとしたら誰かが続きを言っちゃったの?

 あれ? でも彩萌は登場してないんだから、おかしくない?

 そんなことを考えてれば、なんか人が草をふんで歩く音が聞こえた。


「ディルーアナナン! フルスァフレーシュト!」

「えっ……なんなんですか? ……えっ?」


 その人は武器を持ってて、彩萌を見て叫んでます。その人の近くにも武器持った人がいっぱい。

 多分耳が長いから魔人……、えっ? なんか彩萌ヤバくね?

 絵本の中だよね? 彩萌ヤバくね……?

 とりあえず逃げるべきだと思った彩萌は逃げます、全力でその人たちのいない森のほうに逃げる。

 足の早さは変わってなかったみたいで、森に入ってすぐに逃げきったよ……。

 なんか……、怖かった。絵本の中なのに……。

 超疲れたし、ちょっと休憩……。

 すっごい大きな木があったので木陰で休息、なんか聖樹みたいで親近感を感じちゃいます。

 そういえば荷物持ってたけど、魔女っ娘スティックが全部真っ黒になっちゃってた。

 そういえば彩萌の服装も真っ黒になっちゃってる……どうしてかな?

 またあの人たちが来るかもしれないし、もっと奥のほうに行こうかな。

 奥に入っていくとー、泉があった。すごいきれいそう。


「――うげっ……!?」


 水面を覗きこんだら超びっくりした、だって彩萌の顔がホラーだったんだもん。

 目が真っ赤になってた、もうね充血してるとかそんなレベルじゃなくて真っ赤なんですよ!

 黒目のとこが赤いとかそんなレベルじゃなくて、真っ赤でした。

 やばいじゃん、彩萌は悪魔になっちゃったんじゃない?

 どうしよう? とりあえず安全そうなところに隠れて司書さんに呪いをといてもらうしかないのかな?

 そんなことを考えてると、泉の向こう側に頭に角の生えたお馬さんがいた。

 あ、彩萌あれ知ってますよ! 現実世界でも有名なアレでしょ?

 えーっと……ペガサス……?

 ……なんか違う気がするけどペガサスですね!

 泉の水飲んでますね、じーっと観察してるとペガサスさんは彩萌に気づいたみたい。

 ペガサスさんは水の中に入って、彩萌に近づいてきた。

 角大きいな……、なんかちょっと怖い。


「シィノナナン シェーグァファスーァフェシュクア ディエフェニア ウェルスア」


 お前もかー、もー良いよー。

 わけわかんないからさー、日本語くれよー。

 ――そんなことを思ってれば、彩萌ははっと目を覚ましていました。

 原因はなぜか怒ってギィー! と叫んでるエリィリッアの所為でした。

 ……どうやら夢を見てたみたいです。

 エリィリッアはシェリエちゃんに怒ってるみたい……、何かあったのかな?


「な、何かあったの?」

「うるせーネコ、わたしはネコが嫌いなんだよ!」

「うるさかったからただエリィリッアにここは本の中で所詮アナタはそれの登場人物だって教えてあげただけ」


 証拠あんのかよ! ってエリィリッアはシェリエちゃんにキレてます。

 なんだかエリィリッアは荒れてるね、大丈夫なの?

 シェリエちゃんもちょっと荒れてるように見えるけどね……。

 彩萌が何かを言おうとすれば、なんか空と地面が逆さまになった感覚があった。

 空に落ちる、なんて珍しい体験をしてる……!

 彩萌はなんか叫んでたと思う、うん。

 空に落ちてるのはシェリエちゃんと保母さんたちと子供だけでした。

 ちらっと見えたエリィリッアはなんか、変な顔してた。

 悲しそうっていうか、怒ってるっていうか、泣きそうっていうか……。

 気づけば世界図書館の床に放り出されてて、羽の生えたチビッ子の下敷きになってました……。

 うぅぐえぇ……って変な声が出ちゃったよ。

 出してくれたのはやっぱり魔人族な司書のお兄さんで、彩萌たちにあやまってくれた。

 みんな面白い体験だったからみたいなこと言ってたけど、シェリエちゃんだけムッとしてた。

 机の上に開かれた絵本をちらって見たら、読んだことない彩萌でも話の内容が変わってることに気づいた。

 だって、傲慢で嫌われ者のエリィリッアはみんなに嫌われて、ついには一人ぼっち。って書いてあるし……前のページには、聡明な魔人の娘は怒りちらすエリィリッアに忠告したけど、エリィリッアはしらんぷり。って書いてあるし挿絵の子もシェリエちゃんっぽい。

 その前のページは、気づかってくれた猫の娘にきつく当たったエリィリッア、ついには猫の娘にも気を使ってもらえない。だもん。

 これ彩萌たちのことだね……まさか絵本の内容が変わるなんて思わなかったなぁ。

 四頁で終わっちゃってるよ、あと残り空白だよ……。


「あのー……お兄さん、絵本変わっちゃったけどどうするの?」

「あー、ほんとだねー……もう呪い解いちゃったからなぁ」


 あとで修正しておくから、気にしなくて良いよーってお兄さんは笑ってくれた。

 ちゃんとした終わりまで持って行けてたら、絵本変わったりしなかったのかなぁ……。

 気にしてたらお兄さんは苦笑いしてた。


「これ悪質な呪いだからさー、仕方ないよー。終わらせてたら死んでたよ?」

「んー……そうかもしれないけどー、なんかエリィリッア泣いてるし……」


 良心が痛みます……うん。

 違う司書さんが図書館のほうでお詫びをさせて欲しいって言ってて、宿泊するところを提供しろってシェリエちゃんが言ってた。

 ついでに魔人族な司書さんにちょっと気になったから、夢について聞いてみよ。


「関係ないけどー……えーっと、ディルーアガァルア シィノナナン エニオールァディンア クレァガレーシュノ ファニテフレーシュトってなに? 知ってます?」


 おぉ、彩萌たぶん間違えずに言えた!


「……聖書の一節かな、もっとも古く始まりよりも昔、その頃にはまだ(えにし)と夜の精霊のウェルサーが居たとされていてウェルサーが穢れた魔物だって迫害されていた時に調和と星空の精霊のユヴェーが言った言葉かなー」


「簡単に言うなら、街から離れて森に逃げろだねー」ってお兄さんは教えてくれた。

 ふーん……聖書かー、始まりより昔っていつなの?

 本当はいないのかもしれないけど、本当にウェルサーが居たらかわいそう……追いかけられるの怖かったし。


「ウェルサーが殺されちゃった時に世界に邪神族が生まれたって言われてるねー、邪神族は世界を綺麗にしてくれる存在だけど人とか他の生き物を祟ったりするからそんな話が生まれたのかもね」


 どうも違う司書さんが連絡を取ってくれたみたいで、宿が取れたらしい!

 お兄さんに感謝して、宿の場所を聞いて図書館を出ます。

 外ではグラーノさんとしーちゃんが待ってた……、ごめんね。

 驚くことにグラーノさんはしーちゃんに噛まれなかったらしい、びっくりです。

 今日はタダで泊まれるのでグラーノさんもお金を気にせずに一緒に居られますよ、やったね!

 ウェルサーもエリィリッアもかわいそうだなって思ってしまう一日でした。



 挿絵(By みてみん)



 ――アヤメちゃんの魔法日記、九十頁

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