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アヤメちゃんの魔法日記  作者: 深光
始まる為のエンディングノート
91/107

絵本の中のエリィリッア

 とりあえずチビッ子たちとお母さんっぽい人のところに行ってみます、情報収集は大事なのですよ!

 んーなんかお母さんっぽい人は、ちょびっと耳が尖がってて……フレンジアさんみたいだからたぶん半人さん? でも子供たちはなんか、羽生えてる子だったり尻尾生えてたり、動物耳だったり目が変わってたり普通だったり……なんか種族が違いますね。


「えーっとー……こんにちはー」

「あらー、こんにちはー。さっき落ちてきた子? 猫さんだったのねー、みんなあいさつしなきゃダメだよー」

「あうっ……ちゃす!」


 挨拶してくれたのは、そのお母さんっぽい人に抱っこされてた褐色肌の赤ちゃんだけだった。

「にゃんにゃーん! にゃんにゃーん!」って叫びながら赤ちゃんは彩萌へと手を伸ばそうとします、気をつけないと落ちるよ。


「にゃんにゃーん、ああう! ちゃす、ちゃあっす! ――……ギャーッ! にゃああんにゃああん!」

「赤ちゃんはどうしても彩萌に触りたいみたいですねー」

「ごめんねー、気にしなくて良いからねー」


 よしよーしって言いながら、お母さんっぽい人はあやすためにちょっと離れました。

 ギャーギャー泣いてます、そんなに彩萌に触りたかったのか……。


「……本物の、ネコ?」

「……猫は二足歩行しないんだよ、だから猫じゃない! お前はなんなんだ!」

「あたし……本で読んだことある! ケット・シーだよ!」

「おにいちゃん、けっとしーってなに?」

「わかんない」


 うーん、なんか自由に観察されてる……。

 挨拶して欲しかったなぁ、なんて思ってたらシェリエちゃんが近づいてきた。

 シェリエちゃんがむっつりしててなんか不機嫌そうだったからか、チビッ子たちはひそひそ話をしてますよ。

 まあ彩萌には全部聞こえますけどね。


「せんせーより耳長い、ししょさんよりみじかい」

「魔人族だよ、オリネアたちのママと同じだ!」

「オリネアとイクセリエは魔人族さんだったんだ? あたし、知らなかった」

「おりねあはてんしちゃん、てんしちゃんなの」

「ちがうだろ、てんしとまじんのはんじんだって」


 ふむふむ……、なるほど! つまり保育園の先生と園児みたいな関係なんですね!

 図書館に来て絵本を読み聞かせしようとしたら、こっちに来ちゃった感じなのかな?

 シェリエちゃんはじーっとちびっ子たちを見て、彩萌に言うんですよ。


「この呪いって子供限定なのかも、大人は保母さんだけ……巻き込まれただけかもね」

「な……なるほど、どうしよう?」

「まあ、待ってれば司書さんが気付いてくれるでしょ……あの魔人は記憶力良さそうだったし」


 そう言うとシェリエちゃんは木の根っこのところまで行って、上に飛び乗るとなんかゴロゴロし始めた。

 まあ、たしかに……でも暇なのには変わりないですよね!

 チビッ子たちは彩萌を警戒してるし、暇だね。

 そう思ってれば、保母さんが戻ってきた。赤ちゃんは寝てた。


「ごめんねー、気分悪くさせちゃった?」

「全然平気ですよ、……保母さんはエリィリッアコニュクリアってどんな話か知ってますか?」

「えーっと……――たしか」


 こんばんはエリィリッア、元気にしているかしら?

 小さな小さなエリィリッア、子猫に食べられてしまったかしら?

 エリィリッア ビィアアムーシェフェニア エリィリッア コニュクァティトフィーア。

 理の世界の少女 私の大事なお友達 理の世界の少女 あなたは小さな冒険家だった。


 小さな音を立ててエリィリッアは、真っ赤な毒キノコの上に落ちてきた。

 真っ赤な真っ赤な毒キノコは、エリィリッアの大嫌いなキノコと同じ臭い。

 エリィリッア デンウィーァガァルア エリィリッア ファルニィァガァルア。

 理の世界の少女 あなたは嘘吐きな嫌われ者 理の世界の少女 傲慢な嫌われ者。


 ――そう保母さんが言うと、真っ赤な毒キノコの上に誰かが落ちてきました。


「あぁ! もう、もう! 信じらんない!」


 新しく落ちてきて、立ち上がった女の子はなんて言うか……たぶんエリィリッアだと思う。

 だって、なんか……学校の制服っぽい服着てるし!

 シェリエちゃんも起きてその女の子見上げてた、というかみんな見てた。

 そんな視線に気づいたのか、女の子は顔を真っ赤にしてなんか睨み返してきた。


「何よ、もう……わけわかんない! 夢なの? 夢なんでしょ? 夢に決まってるよね!」


 エリィリッアはそう言って、キノコから下りようとするんだけど高すぎて下りられそうにない。

 下りるというか落ちるって感じで落ちたエリィリッアは、足腰を痛めたのかもだえてたよ。


「だ……、大丈夫ですか?」

「大丈夫……、なわけ無いでしょ! ふざけんなよー、もーサイアク!」

「……キノコから落ちたエリィリッアは、自分が見知らぬところにいると気づいた。キノコを見上げてエリィリッアは、ためいきをついた。エリィリッアがとほうにくれていると、なんだか楽しそうな歌声が聞こえた。おそるおそるのぞけば、ふしぎなこうけいが広がってた。なんたって、みにくいネズミの娘が楽しそうに踊っていたのだから」


 たぶん、保母さんの話したやつの続きだと思うけど……なんでシェリエちゃんが続きを話しはじめたの?

 彩萌が不思議に思ってれば、なんか本当に楽しそうな歌声が聞こえてきた。

 これってあれなの? 誰かがエリィリッアコニュクリアの話を語ると話が進むの?

 話が進んで、終わっちゃったらこの中どうなっちゃうんだろう……?


「……なんかよく分かんないけど、アンタ覗いてきてよ。なんか不気味だし」

「えっ、彩萌が!? ヤだよ!」

「まあ話が進むとどうなるか分かんないし、みにくいネズミの娘は放置でも良いんじゃない」

「えー、なんかそれってかわいそうだよ」


「ど……どういうことなの?」と保母さんが彩萌に困った感じで聞いて来たけど、彩萌にも分かんない。

 なんかエリィリッア超イライラしてるんだけど、大丈夫なの?


「何もしないで待ってれば司書さんがどうにかしてくれるから何もしない方が良いよ」

「う……うん、まあ……そうだね」

「えー! なんかよく分かんないけど、気になるじゃん!?」

「ぜんぜん気にならない」


 文句を言ったエリィリッアにシェリエちゃんは冷たく返した。

 もー! って怒ったエリィリッアは一人で見に行っちゃった。……良いのかな?


「見に行くことまでは話したから別に大丈夫だよ、勝手に物語が進んだわけじゃない」


 そうシェリエちゃんは言って、根っこによりかかってた。

 みにくいネズミの娘さんも気になるけど、エリィリッアも気になる……。

 まあ本を出た後に読めば良いんだろうけど……、うん。

 チビッ子たちがひそひそ話してるのが見えるよ、あー……暇だなぁ。

 彩萌もシェリエちゃんと同じように根っこによりかかって、空を見上げます。

 木がいっぱい生えてて、なんだか空がせまい、それに遠いよ。

 早く絵本の中から出て宿を探したかったのに……、今日も野宿かな。

 先に宿探ししとけばよかったね。

 あー暇過ぎてあくびが出るよー、眠いなぁ。





 ――アヤメちゃんの魔法日記、八十九頁

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