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アヤメちゃんの魔法日記  作者: 深光
始まる為のエンディングノート
82/107

時計の町の朝

 フレネージェについたのが夕方だったから、今日は宿を取って明日観光しても良いって!

 お金を節約するためにグラーノさんには一旦海の底に帰ってもらった。

 彩萌は自腹で一人部屋を取った、李白さんは気付いたらいなくなってた。

 お部屋は狭かったけど中々居心地が良かったですよ、シャワーついてたし。

 ごはんとか欲しい人はなんか、酒場とか行けって感じだったよ。

 とりあえず彩萌はクロ様にもらった干し肉と、ユーエンさんに干してもらった干しリイムを食べた。

 そんでその日は寝ました、ベッド硬いなぁ……。




 真っ黒な世界、球体の様な魂に映して見る世界は何処も彼処も穢れだらけ。

 ――私の魂も、何処も彼処も穢れだらけ。

 世界が穢れているから私も穢れてしまうのか、私が穢れてしまっているから世界も穢れてしまうのか。

 球体の様な魂に手を翳せば、映る手は肌色でも白色でも無い。

 真っ黒だ、元の形を失って……黒くて黒くてとても黒い。

 永遠をこの黒い世界で過ごしてる、終わりの見えない浄化作業。

 真っ黒になってしまった足元に、真っ白な紙が落ちている。

 この世界には大量に落ちている、私が作った邪神達。

 私が潰して殺した、黒くて黒くて黒い何か。

 手を下せば、普通ならば地に手が着く筈もないのにたしかに触れている感触がある。

 見下ろせば黒光りうねる、私の手。


「――っあぁ……、あああああああああああっ!」


 そうか私は穢れてしまったんだ、私は穢れてしまった。

 私は穢れていたんだ、分かってた。もう元に戻せない程に、穢れてしまった。

 ルールに歯向かい、時間に歯向かった罰だろうか、それとも潰してきた罰だろうか。

 分からない、私の世界は終わってしまうのだろうか?

 世界を映していた筈の球体の様な魂も、今は何も映しておらず黒い色をしていた。

 死にたくないんだ、まだ死にたくないんだ。

 まだ認められたいんだ、でもそれは私じゃないんだ。

 認められるのは私であって私じゃない私なんだ、讃えられるのは私であって私じゃない私なんだ。

 今までの苦労も今までの努力も、すべてが私であって私じゃない私のものなんだ。

 そうなる様に作った、そうなる様にしてしまったのは私であって私じゃない私じゃなくて、私なんだ


「わたしが、……悪いんだ」


 神を選んだのも、聖女を作ったのも精霊を作ったのも私なんだ。

 私が直接讃えられる様な世界なんて作ろうと思えば作れたんだ、それをしなかったのは私なんだ。

 だから誰も悪くなくて、私が悪いんだ。

 結局何もしなかったのは私なんだ、自分からは何もしなかったんだ。

 彼を助けようとすれば、私は助けられたんだ。

 私であって私じゃない私だって、私が自分から行動していればこの世界には必要なかったんだ。


「わたしは、何もしなかったから……――要らない存在になってしまったんだ」


 黒く染まってしまう、私が黒く黒く塗り潰されてしまう。

 私の世界が、……――壊れてしまう。





 はっと彩萌は目を覚ました、窓から光がさしこんでます。朝です。

 ……神様の夢を見た気がします、なんだかあんまり良くない夢だったと思います。

 彩萌が死にそうになってた時のような気持ちの夢でした、……怖くて嫌な夢でした。

 もしかしたら神様に何かあったのかもしれません……。

 そういえばすごい穢れてるのに邪神族さんがあらわれない時点で気づくべきだったのかも。

 だって神様は邪神族の派遣と、現実世界に居られない人を幻想世界(ふぁんたじー)に引越しさせるお仕事してるって言ってた。

 でも彩萌にはどうすれば良いか分かりません……、とりあえず彩萌が色んなとこの穢れをどうにかするべきですよね?

 とりあえず……神様のほうのりっちゃんに祈っとこう。

 神様が無事でいますように。

 彩萌は魔女っ娘スティックを持って、祈ってからお部屋を出ました。

 二日分取ったから、部屋の鍵を無くさないようにしなきゃ。

 彩萌の心と同じように空も曇っております、はぁ……。

 港のほうに行けばどーんって何かぶつかって来て彩萌は倒れそうになったけど、ぶつかってきたのがささえてくれたおかげで倒れなかった。


「うぐっ……ぜんぜん、来ないからっ、置いてかれたのかなって……」

「あっ、そっか彩萌なんで港に来ちゃったのかなって思ったけど、グラーノさんが居たんだ」


 うぅ……、って唸りながらグラーノさんは泣き始めちゃった、彩萌の服が濡れちゃうんで止めてほしい。

 雨も降ってきそうだよ、止めてくれ。

 今日はヒズミさんにもらった服着てるんだよ、だから泣かないでよ。


「グラーノさん彩萌はお腹空いた、えーっとあれだよ……ぶ、ブランチ一緒に食べよう」

「……うん」

「えっと……デート、……そう、デートだよ! 彩萌人生初デートだよーたのしみだなー、グラーノさんはたのしくないのかなー?」

「……うれしい」

「うん、嬉しいねー! 彩萌も嬉しいよー! だからグラーノさん泣かないで美味しそうなお店探そうねー!」


 なんか、ちょっとちびっ子相手にしてるような喋りかたをしてしまったぜ……。

 でも彩萌は悪くないよ、グラーノさんが泣くのが悪いんだよ。

 やっぱり彩萌は高学年だな、大人の仲間入りしてるね。ナイスお守だと思います。

 グラーノさんを立ち上がらせて、手をつないで歩き出します。

 グラーノさん手がきれいだね、小さくて女の子の手みたい。


「グラーノさんは何を食べたいですか、安いやつでお願いしますね」

「……何でもいい、かな」

「本当に何でも良いの? 本当に何でも良いんですね?」

「うん……」

「じゃあ、彩萌あれ食べたい。エビさん美味しそう」

「えー、……私はあっちが良いな」


 なんだよ、さっきなんでも良いって言ったじゃん! 何でも良くないんじゃん!

 でもパンケーキか……美味しそうだね……。

 でも量がありそうだよ、彩萌一人で食べられないよ。


「半分こ、したい……な」


 ……なんかよく分かんないけど、グラーノさんから乙女を感じた。

 くそーっ、彩萌は現役の少女なのに負けてる!

 そんな気がした、グラーノさんズルい!

 というかあれか、グラーノさんも少食だから二人分頼む必要ないのか。

 それにパンケーキ意外と安いな……、うん。パンケーキにしよう。

 彩萌とグラーノさんは仲良く半分こして食べた、ぜんぜんお金減った気がしないけどどんだけ報酬貰ったんだろう……。

 やっぱり若返りのアイテムは高かったのかな? 若返りだもんね。

 パンケーキ食べてたらグラーノさんはお店のお兄さんに声かけられてた、女の子だって勘違いされてた。

 まあね、見た目も声も女の子だからね。

 じゃあ一目で男性だって見抜いた李白さんはすごいね。

 困惑してグラーノさんは顔を赤くして何も言えなくなってたけど、その反応が男性らしくないような気がしますけど。

 でもグラーノさんが何も言わなかったおかげでシェイクおまけしてもらった!

 シェイク美味しいです、グラーノさんありがとう。

 グラーノさんと分けながらシェイク飲んでたら李白さんがやってきて、店のお兄さんのテンション超下がってた。


「明日の朝も此処に居てくれないかな? 迎えに来るから」

「……李白さんは今日はどうするの?」

「可愛らしい人魚のお嬢さんとデートかな」

「……――李白さんはなんのために彩萌と一緒に居るの?」

「……護衛だったかな?」


 じゃあそういうわけでーって言って店を出てったけど、アタリアンにばれたら怒鳴られますね。

 それにしても李白さんは楽しそうだね、うん。楽しそう。

 彩萌たちがお店を出るとき、お店のお兄さんのテンションは戻ってた……にこにこですね。

 でもお兄さん、グラーノさんは男性ですよ。





 ――アヤメちゃんの魔法日記、八十頁

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