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アヤメちゃんの魔法日記  作者: 深光
始まる為のエンディングノート
80/107

男心と海の底

 彩萌はリンズから船で山吹君がいるクレメニスに帰るために、アタリアンとアリシエちゃんに相談した。

 ユーエンさんはお仕事に行っちゃって、李白さんはどっか行っちゃったのです。

 アタリアンいわく、リンズからアルトランテ大陸の時計の町フレネージェに行ってアルトランテ大陸を横断してミアーティスに行く、そんでミアーティスからグレーキィに行って船に乗ってヴァージハルトの港町のシナギクに行って別の船に乗りかえてクレメニスに行くのが一番安いらしい。

 覚えるの大変過ぎ、長すぎ。

 もーわけわかんないって言ったら地図指差して教えてやってんだから頑張って覚えろって言われちゃった。

 でもアリシエちゃんからミアーティスのアイス美味しいよって教えてもらって、彩萌のテンションはちょっと上がった。

 グレーキィから飛ぶようにクレメニスにはいけないの? って聞いたら、それは一般市民が乗れるやつじゃないんだって。


「そう言えば関係ないですけど、ふと山吹君のことを思い出して思い出したんですけど……、魔族の血が入ってるとイケメンらしい、死ねば良いのクソがっ! って山吹君言ってたけどどうして魔族の血が入ってるとイケメン率が高いの?」

「そりゃ……あれだ、男はみんなモテたいって思ってるからだろ」

「えーっと……、魔法でなんかしちゃってるの? じゃあ魔族はみんな整形美人さんなの?」

「常日頃から湧き出るように溢れるモテたいモテたいという欲求が無意識下で魔力を行使してる訳であってだな。整形では無い、成長だ」


 なんか名言っぽくアタリアンはかっこよく言ったけどなんか微妙だと思う。


「そもそもアンアンは生まれた時はひよこデショ、整形どころか魔改造デショ?」

「モテたいは大事なことだから二回言ったんですか?」


 整形美人じゃなくて改造美人だったんですね……ふむ。

 そのあとアタリアンは成長だからって否定してたけど、アリシエちゃんがそのたびに改造だって訂正してた。

 とにかく魔力のおかげでイケメンなんだね、じゃあ魔族は美女も多いのかな?

 そう言えばヒズミさんは美少女だったね、エミリちゃんも可愛い感じだった。

 聖樹のお姉さんも美人さんだったし、ファナさんはイケメンだった!

 そういえば美人が多かった! やっぱり魔族は改造美人がいっぱいだったんだね!

 そんな話をしたり、彩萌がお金についてぜんぜんダメダメなのでお金についてちょっと教えてもらったりしながら港に行きました。

 彩萌はアリシエちゃんとアタリアンに見守られながら、フレネージェ行きの旅客船の乗船手続きをしました。

 文字汚いねって言われちゃったけど、幻想世界(ふぁんたじー)の文字が書けた彩萌は実はすごいんですよ! だって彩萌は現実世界出身なんですよ、ふふん。

 二人は知らないからしょうがないですけど。

 帰ったらディーテさんに褒めてもらうから良いです……。ぐすん。

 あとこの手は肉球生えてるからペン持ちづらかったんだもん……。

 しょぼくれてたらアタリアンがなんか、中華まんみたいなの買ってくれた。おいしい。

 もう変な臭いも何もないです、だから美味しく食べられました。

 というかでかいんですけどー、このももまんみたいなやつ。


「……なあ、やっぱり家来いよ、もう家建て替えて家自体がキャットタワーみたいな感じにするからさ」

「傍から見るとアンアンがケット・シーを口説いてる変態にしか見えない! でもアリシエちゃんもアヤメ飼いたい!」


 何度も言いますが、彩萌は猫じゃないですし。

 だから丁重にお断りしました、彩萌はペットではありません!

 そんなふざけた話をしてれば乗船時間になってしまって、彩萌は船でリンズを旅立ちます。

 ユーエンさんとは事前にバイバイしたけど、李白さんとはバイバイしてないなぁ……。

 二人にバイバイして、大きい船に乗り込みます。

 人がいっぱいです、フレネージェには四時間くらいでついちゃうらしい。

 彩萌はデッキに上がって、アタリアンとアリシエちゃんを船の上から探しました。

 二人と目が合って、手を振ったよ。

 アリシエちゃんはアタリアンの肩に立って振り返してくれた、すごい目立ってるよ。

 二人が見えなくなるまで彩萌は手を振ってました。

 なんていうか、感動的というか、寂しいですねぇ……。

 ちょっと涙ぐんでいると、隣に人が来た気配がする。


「感動的だねぇ、ところでお嬢さん知ってるかな? フレネージェは時計が有名でね、美しいデザインと装飾が素晴らしく、時間を正確に刻む時計を作るんだよ。でもね……それは昔の話で最近だと時間を正確に刻まないらしい、どうしてだろうね?」

「……あれ、どうして李白さんがここに居るんですか?」

「私はアレと違って身軽でね、アレに頼まれたんだよ……心配だってね」


 見上げてみれば鳥の仮面をつけてない李白さんがいた、なんか服装が洋風っぽくって天使みたいになってる。

 見た目詐欺ってない? なんかすごい天使風になってるよ?

 でも天使っぽい見た目だといろいろ都合が良いらしい、やっぱり詐欺ってるんだね。

 ちなみに李白さんは彩萌が見た感想だと呪われてない人形みたいな顔してた。

 アタリアンが呪われた人形、李白さんが呪われてない人形ですよ。

 なんだか一瞬呼ばれた気がして、海のほうを一瞬だけ見てから李白さんがいた方に視線を戻したけど李白さんいなかった。


「あれ……!? り、李白さん!?」


 見回したら李白さんは普通に見つかった、というか全身白くて羽が生えてるからすぐ見つかる。

 きれいな女の人に声かけてた、すごい楽しそうですね。

 楽しそうで声かけづらいよ、彩萌が心配だからってお願いされたんじゃないの?


「もー、けーはくって言うんですよねーああいうの」

「彩萌ちゃんは……やっぱり誠実な人が好き? どういう人が好き?」

「彩萌はー……ちょっと強引な感じで男らしい人が好きですよ! でも誠実さは忘れないでほしいのです」

「彩萌ちゃんの言う……その、男らしさってどんな感じ?」

「うーん……自分勝手って言うか、我が道を行く的な人が良いです!」


 なんか、きれいな声で話しかけられてた。

 となりを見ればちょっと湿っぽい感じの、きれいなふわふわ青い髪のまっ白い肌で目がぱっちりした首にえらが生えてるお姉さん的なお兄さんがいたわけです。

 彩萌はこれが誰だか知ってます、グラーノ・シアンさんです。

 う……海だからか!? 海だからあらわれたんですか!?

 だってディーテさんはグラーノが海から出てこない、ひきこもりになっちゃったって言ってたのに!

 彩萌が驚いてじーっと見てれば、なんかちょっとだけ恥ずかしそう。

 そういえばふぇっくんは土下座する準備しとけって言ってたけど、全然怒ってる感じしないよ?


「強引で、我が道を行く……か、あのね、彩萌ちゃんあのね、私と一緒に……あの、海の底で暮らしてほしい、ずっと一緒が良い……。すごい、なんか、彩萌ちゃんが死んじゃったときすごい怖かったから……すごい嫌だったから、ずっと守ってあげるから、だから……海の底に来て、もう……イヤなの」

「――……てやっ」


 なんか、すごいよくわかんないけど命の危機を感じた。

 だから彩萌は申し訳ないけど魔女っ娘スティックでグラーノさんを攻撃した、グラーノさんはなんかゴマフアザラシの赤ちゃんみたいになった、青いけど。

 なんか「ピュイ――ッ!」って鳴きながらびっちびちしてた、ごめんねグラーノさん……。

 なんか干からびたらかわいそうだからなんか、彩萌はグラーノさんを海に帰してあげることにした。

 頑張って投げたよ、ごめんねグラーノさん元気でね。


「ピュ――――!」


 じゃあね、グラーノさん! またね、グラーノさん!

 なんか絶望の精霊さんって言うのがなんとなく分かってしまったような気がして、彩萌は何にも言えない感じになってしまった。

 泣いてたね、グラーノさん。でも彩萌はまだ死にたくないので、海の底に行きたくない。

 早くグラーノさんが母離れ出来るように祈ってるよ……、グラーノさんがんばっ!

 というか本当に勝手に死んだり生まれ変わったりしてごめんねグラーノさん。





 ――アヤメちゃんの魔法日記、七十八頁

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