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アヤメちゃんの魔法日記  作者: 深光
始まる為のエンディングノート
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狂気は水晶が映す

 暗い部屋の中で、彩萌は静かに体育座りしてます。

 李白さんはなんのために来たのでしょうか、肩の上で寝てるような気がするんですけど。

 彩萌はどうしたら良いのかな、なんかちんもくが辛いです。

 珠恵さんは大丈夫だったのかな、お兄さんはどうしたんだろうか。

 彩萌の杖は大丈夫なのかな。

 バック……、返してくれるかな……?

 なんか、ごとごと音がする。珠恵さんが歩き回ってるみたい?

 何でごとごと音がするのかな?

 なんか硬い靴でもはいてるのかな……。


「あの……珠恵さん、珠恵さんはお兄さんの魔法で魔物になっちゃったの?」


 彩萌の質問に答えてくれません……。

 ダメですか、そうですか……。うぅ、彩萌はどうしたら良いの。


「――違うわ、ちがう……ロンユェの所為じゃないわ……ちがう」


 なんかぶつぶつ呟くような感じで答えが返ってきた。

 ロンユェ……、それがお兄さんの名前ですかね。

 うん、なんて言うかリンズって中華だね。幻想世界(ふぁんたじー)の中国?

 珠恵さんは光の所為で精神的に疲れちゃったのかな……。

 うーん幻想世界(ふぁんたじー)の中国があるなら、幻想世界(ふぁんたじー)の日本もあるのかな?

 そう言えば山吹君は日本と同じ食文化のとこを探して旅をしたんだっけ、帰ったら聞いてみよう。


「ロンユェの所為じゃないわ……、私が壊したの、そうなの……私の所為なの。全部私が悪いのよ」

「……えーっと、珠恵さんが悪いの?」

「えぇそうなの、私の所為なの! 私が落ちた先が森じゃなかったら、私が魔法を使えなければ、私が病気にならなければ、私がこんな姿にならなければ、私が自分の姿を受け入れられていたら……全部全部私の所為なのよ! そうなのよ、そうじゃないとおかしいの!」


 そうなんですか……、うん、珠恵さんもちょっとおかしい。

 全部私の所為とか言ってるわりになぜか楽しそうです、笑ってないとやってられないって精神なのかもしれません……。

 私の所為なのーと笑って言いながら珠恵さんはごとごと歩き回ってます。

 この家の中に居る人にまともな精神状態の人はいないんですか?

 もしかしたら、誰かまともだったのかもしれないけど耐えられなくなっちゃったのかな。


「ロンユェは私の所為じゃないし醜くないよって言ってくれたけど、それは違うと思うの。やっぱり全部私の所為なの、それに人に見せられる姿じゃないわ。だってそうでしょ? 私のこんな姿を見たら実の両親だって受け入れてはくれないでしょう?」

「……そう、なんですか」

「えぇそうよ、そうに決まってるでしょ! こんな醜い生き物誰が好きになってくれるの? 表に出たら迫害されて殺されるのがオチだわ!」


 なんか、お兄さんがおかしくなっちゃったのはこの人が原因な気がしてきた。

 お兄さんは誰かのために町の人をみんな魔物に変えたいみたいだけど、その誰かはきっと珠恵さんのためなんですね……。珠恵さんはお兄さんが珠恵さんのことを考えてくれてることに気づいてないのかな? たぶんお兄さんは珠恵さんと仲良くしたいって思ってると思う。

 仲良くしたいって思ってなかったら、町の人みんな魔物に変えようとしないと思うし……。

 お兄さんかわいそうです、でも珠恵さんも気づけないなんてかわいそう……。

 どうして珠恵さんはこうなっちゃったのかな?


「お母様もおっしゃられていたわ、こんなバケモノ連れてくるなんてロンユェがおかしくなったって、魔術で操っているのかって」

「お母様……? 人魚の?」

「ロンユェは優しい人なのよ、私が怪我をしててしかも病気なのを知って治療したいって、ロンユェは勉強熱心な人なのよ。ちょっと魔法は痛い時もあるけど、治してくれようとしてる。感謝してもしきれないの」


 彩萌は恋する乙女なんで分かります、お兄さんは珠恵さんが好きだったから治療したいって言ったに違いないです。好きになったら見た目は関係ないんですよ、彩萌もちょっと最初はとまどうかもしれないけど山吹君が魔物になっても良いですよ!

 でも人魚なお母さんみたいな見た目だったら……だいぶ悩むと思う。


「でも私がいると良くない事が起こるのよ、私はやっぱり森に帰るべきなのね」

「お兄さんは止めるんじゃないですか?」

「えぇ、そうね。でももう出て行くわ、ロンユェの為ですもの」


 うーん……、うん。そっかぁ、なんかよく分かんないけど良いのかなぁ……それって。

 ごとんごとんって音がして、珠恵さんが扉のほうに近づいて行くのが分かった。

 でも珠恵さんはぴたって、動きを止めちゃったのか扉を開かないし足音もなくなっちゃった。


「――……変な音がするわ、これは……なにかしら」


 珠恵さんの呟きを聞いて、彩萌も耳をすましてみます。

 たしかになんか聞こえます……、なんだろう? 結構激しい音だね。

 彩萌が考えてると、珠恵さんは勢いよく扉を開けて走って行っちゃいました。

 相変わらず真っ黒でした、でも珠恵さんがいなくなったからか部屋は明るくなった。

 なんだか、すごい大きいクモの巣みたいなのが部屋のすみにあります。クモの巣って言っても普通のじゃなくて、なんて言うかたらんちゅらとかが作るやつみたいなのです。

 それに……なぜか部屋の色んな場所にすごい大きい水晶みたいなのが生えてた。

 ……珠恵さんはクモの魔物になっちゃったのかな? でもなんで水晶?

 彩萌がぼーっとしてたら、肩の上のひよこな李白さんが動いた。


「追い掛けるべきだと私は思うんだよ、お嬢さんはどうだい?」


 ……怖いけど、そうすることにします。

 彩萌はクモの巣の前に落ちてたバックを拾って、抱えながら部屋の外に出ました。

 嫌な予感がしますけど、激しい音が聞こえるほうへと彩萌は急いでいきます。

 なんか……すごい、行きたくないなぁ。





 ――アヤメちゃんの魔法日記、七十五頁

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