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アヤメちゃんの魔法日記  作者: 深光
始まる為のエンディングノート
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幽明の国へおいでませ

 新しい王様を祝福するパレードみたいなのやってて、ちょっとそれを見てから彩萌はお隣のリンズに行くことにした。

 ファナさんたちもリンズ行くんだって、この辺には傭兵さんのギルドとやらはリンズにしかないらしい。

 今回の報酬を山分けしてくれるらしいです、彩萌がいなかったら達成できなかっただろう、だって。

 えへへ、彩萌のおかげです! 感謝するよーにですよ!

 とりあえずお世話になったクロ様とかにも挨拶していきたいけど、家にいるかな?

 家に行ってチャイム押せば、優一さんが出て来たよ。

 何か髪の毛生えてた、昨日は生えてなかったよね。


「かつら装備したんですか?」

「いや、まあそう見えるか……。才能が無いとか言われて悔しかったから、ちょっと練習してたんだよ」

「髪の毛生やす方法?」

「なんでそうなるんだよ、人間に化ける方法に決まってるだろ」


 あ、そうか。彩萌昨日はげる恐怖におそわれてたから、そっちかと思っちゃった。

 優一さんが彩萌を残念そうな目で見てますよ。失礼ですよー……。

 優一さんの後ろから、すごいフラフラしたクロ様が出てきた。

 どうしたんだろうか、すごい顔してるけど。寝てないのかな。


「……聞きましたよ、えっと……リンズに行くんですよね、えっと、あの……行かない方が良いですよ……」

「それは何故だ、真っ当な理由があるのか?」


 ファナさんの目付きが凶器です! クロ様がびくってしてました。

 ファナさんは怒ってるわけじゃない……はずです。クロ様おろおろしてます。

 でも頑張って言うことにしたらしく彩萌の方を見たんです。

 ファナさんは直視できないもんね、……うん。彩萌もあの目は怖いと思う。


「さ……最近、町全体が変な臭いがするんです……、それに、なんか……熱い、です」

「変な臭いですか?」

「……ちょっとだけです、ゴミとか、そういうのじゃなくて……人から臭うんです。……腐敗臭みたいな」


 うぐぅ、それは怖いです。もしかしたら町の人たちがゾンビ化してるのかもしれません。

 彩萌行くのヤダな……、怖いし。

 あっ……でも、それが穢れの所為なら彩萌は行くべきですかね?

 うー、でも怖いなぁ。まだ変な臭いがするだけみたいだけど……。


「売ってる物は口にしない方が良いです……、全部とは言えないです……でも一部は変な臭いがするんです……」

「私達が居たときはそんなの感じなかったが……」

「おっ、お二人はお菓子は食べますか……?」


 食べない、と二人は即答してた。

 ヒズミさんって甘い物好きそうな顔してるのに、嫌いみたいなんだよね。

 酒場のおばちゃんがくれたお菓子は彩萌にくれたし、でもさわやかなリイムの実は好きみたい。

 ファナさんはお酒とお肉が好き。


「だからかも、しれません……。特に飴玉が変な臭いがするんです……」

「へぇ……、というかあれかもよ、サニス先生がすごい魔術師だから感じられるだけって可能性もあるよね」


 そうかも、穢れを感じられるのはドラゴンとか、聖樹の魔物とか妖精ぐらいみたいだし。

 精霊さんは逆に耐性があり過ぎて鈍感になってるみたいですし……。


「それにっ……最近原因不明の病が流行ってるみたいですし……っ! いっ、行かないで、ください……」

「なんかサニス先生愛の告白みたいになってるけど大丈夫なの」

「恋愛に年齢は関係ないと思うが……、彩萌は幼すぎると思うんだが」

「師匠寝不足でテンションあがってんの?」


 あ、愛の告白だなんて……!

 どうしよう、彩萌は山吹君に対しての罪悪感とクロ様への罪悪感でいっぱいです!

 というかクロ様って何歳なんだろう。

 クロ様はロリコンなのかな、それとも猫さんだから普通なのかな。

 よく分からんです。……というか行かないでって言ってるだけで愛の告白じゃないよね?


「彩萌には野望があるのです、それを達成するためにも彩萌はリンズに行きます。家にも帰らないといけないですし」

「……そう、ですか。でも……危険だと、わたしは思います……」

「大丈夫です、彩萌は魔法少女になったのです、この魔女っ娘スティックと選ばれしフルージェを装備した彩萌に死角はないのです! 彩萌はスーパーな彩萌ちゃんになったのですよ、ちゃんと決めポーズも考えましたからぜんぜん大丈夫です! あとは決め台詞と衣装と必殺技が必要ですけど、彩萌もこれで変身ヒロインですにゃー!」

「余計に不安なんだけど、むしろ不安しかないんだけど」


 決めポーズを決めたら優一さんに残念そうな目で見られた、失礼ですよ。

 クロ様は可愛いって言ってくれましたよ、そうでしょ! この決めポーズの良さが分かるなんてクロ様はさすがです!

 ヒズミさんには足の角度がなんたらかんたらって駄目だしされちゃったけどね。

「俺はどっちかと言えば萌えより燃えだから」って優一さんは言ってたけど、どういう意味だろう。


「やっぱり……行っちゃうんですね……、あのっ、えっと……これ、非常食……」


 非常食は干し肉だった、一番喜んでたのはファナさんだった。

 彩萌たちは二人にお別れして、ケット・シーの集落を後にしたのです。

 クロ様寂しそうだったなぁ、またいつか遊びに来よう。おぼえてたらね。

 ケット・シーの集落に来たときみたいに移動すれば、雪原なんてすぐに抜けられちゃいました。

 ちょっと丘っぽいとこに行けばリンズは見えたよ、白と赤の色合いの塀で囲ってました。

 海も見えます! あ……、というかー彩萌お金持ってないじゃん。

 報酬山分けしてくれるらしいけど船に乗れるかな?

 門の所に行って彩萌は気づきます、雰囲気がアジアだね。中国とかみたいです。

 門番さんに身体チェックをされたりしてから入国おっけーしてもらえた。

 門番さんが門を開いてくれて、彩萌はびっくりした。

 だって、すごい変な臭いがしたから。ちょっとどころじゃない!

 額の石もめっちゃ熱いです、これはヤバい感じがします!

 なんか、魔石製造機のオーパーツがあった洞窟と同じくらいの臭いがします!


「……どうしたの彩萌ちん? 大丈夫?」


 ヒズミさんとファナさんは臭いが分からないみたいで、首をかしげてた。

 町の中からなんか変な音がしてるのも聞こえるし、低くて濁った鐘みたいな音がする。

 なんか彩萌が神様に祈った時の魔法陣が出る音に似てるけど、こっちの方が濁ってる感じ。

 濁ってて、ねちねちした感じで耳に残ります。嫌な音です。

 あ、彩萌今超後悔してる。どうしよう、これは酷い。

 そんなことを考えてればなんか無意識に意識を集中しちゃったのか、音が良く聞こえるようになっちゃった。

 なんだか、喋ってる声が聞こえます。誰かと話してるのかな。

 男の人が魔法を使おうとしてるのか、なんかよく分かんない言葉を呟いてます。

 そうすればうるさいくらいに、鐘みたいな濁った音がします。

 耳を突き刺すような叫び声が聞こえます、女の子の声です。

 痛いって叫んでて、耳が痛かった。

 彩萌は耳が痛くって、耳を押さえて目を閉じたんです。

 しばらくして、目を開けば知らない部屋のベッドの上にいたんですけど。

 起き上がって、部屋にあった鏡を見れば彩萌の頭包帯ぐるぐる巻きだった。

 ……あ、もしかして彩萌って気絶したの?





 ――アヤメちゃんの魔法日記、六十九頁

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