魔法少女になった夜
ふぇっくんとユースくんは……、むーちゃんに引きずられながら帰ってきました。
とりあえず彩萌はすごい睨まれただけで終わった、……助かった?
べちゃって……、べちゃって感じでユースくんとふぇっくんは投げ捨てられてた。
……大丈夫なの? 生きてるの? いや、精霊さんは死なないから大丈夫なんだろうけど。外傷とかは見えないけど、何したんだろう。
ヒズミさんが寝てるからか、誰もむーちゃんに話しかける人がいないんだけど。
自分の問題でしょ、優一さん話しかけなよーって思って見れば、嫌だって小さく拒絶してた。優一さんは平和主義者なので戦えないからあんまり関わりたくないってさ。
「……彩萌ちゃん、それ貸して」
杖を指さしてむーちゃんは言うんです、怖かったからすぐに貸しましたけど。
なんかむーちゃんのおかげで彩萌の魔女っ娘スティックに白色がついた!
うぇへへ、なんだかんだ言ってむーちゃんって優しいよね。うん。
きらきらだね、全部魔石でできてるもんね。うん。
「じゃあ、とりあえずその杖でユーヴェリウス・モーブ叩いてみて」
「えっ……!? 叩く……の?」
「あ? なーに? ぼくの言うこと聞けないの? 今直ぐその毛全部むしり取ってやろうか」
ごめんねユースくん、彩萌ははげたくない。
とりあえず叩くのはかわいそうだから、ぽんって感じで優しく杖で叩いてみた。
そうしたらなんか、ユースくんちっこいフクロウになっちゃった。
なにこれスゲー! 彩萌もついに魔法使いかー!
ついでにふぇっくんを叩けば、なんか緑色のちっこい馬になった!
すげー! たぶんこの杖のおかげなんだろうけど彩萌も魔法少女だー!
「じゃあ、次そこの猫」
「えっ……!? 俺っすか!?」
とりあえず調子に乗ってた彩萌はむーちゃんに言われた通りに優一さんを杖で叩いてみた。どうなるんだろう、どきどき。
そうしたらなんと……! 優一さんは人間になった! ふっしぎー!
あ、なんか優一さんを叩いたら杖の色が無くなっちゃったんだけど。なんか関係あるのかな?
「お……えぇ!? マジかよ! 俺のいちっ」
優一さんは喜んでたんだけど、すぐに猫に戻った。
うーん……十秒くらいだったかな? 人間に戻ったの十秒、短かったね。
「……その杖なんかー、魔力を吸収したり放出したりするのに特化してるみたいだよ」
「色が無くなっちゃったのは優一さんに魔力を取られちゃったの?」
「たぶん、でもそこの猫が魔力を維持できなかったから戻ったんだね。つまり自力で人間に戻るしかないね、きゃはっ才能無しなんだね! 人間に戻るのに何十年かっかるかなー!」
「……なに、俺を馬鹿にする為に杖で叩かせたの……?」
「なに言ってんの? 現実を突き付けてあげただけだもーん! 馬鹿になんてしてないもーん!」
「自意識過剰なんだね!」とむーちゃんはきゃはきゃは笑ってた、やっぱり性格悪いね。
杖をもう一回見て見れば薄くだけど色が戻って来てたよ。
優一さんの顔が超引きつってたよ、怒りたいけど怒れないって感じの顔です。
「ねぇ、むーちゃん……優一さん猫の王様したくないんだって、あの首輪取れないの?」
「はぁ? そんなの知らないし、あの首輪を作ったのはユーヴェリウス・モーブなんだからアイツに聞けば?」
「ふむ……、噂に聞く以上にムールレーニャ・ミストは尊大な性格なんだな」
「そうだよ、悪い? というかアンデットがぼくに話しかけないでくれる? ぼくお前みたいな色の魔物嫌いなんだよね、というかアンデッドが嫌い、死んでるくせに動き回らないでくれる?」
「さっきまで楽しそうに戦ってたじゃないですか……」
「それとこれとは話が別でしょ? 本当は捻り潰してやりたかったんだけどあんまり酷いことすると怒られちゃうから我慢しただけだし」
怒られちゃうって、誰に怒られちゃうんだろう?
むーちゃんに怒る人っているのかな、神様かな。
でも神様って精霊が好き勝手しても怒ってるイメージないなぁ。
というか捻り潰すなんてひどいです! 遊びのいきを越えてますよ!
「でも我慢したのは偉いです! むーちゃんは我慢できないお子様だと思ってました」
「……お子様お子様言わないでくれる? 癪に障るんですけどー」
ぷいってむーちゃんは顔をそむけてそのまま消えちゃった。
怒ったのかな? お子様って言ったから怒ったのかも。
彩萌はとりあえずユースくんに首輪をどうにかしてもらおうと思って、小っちゃいフクロウになっちゃったユースくんを持ち上げてゆさぶってみた。
ユースくんはすぐ起きたんだけど、人の言葉を喋れてなかった。
でも首輪は外してくれたよ! そんでなんか首輪は消しちゃった。
ユースくんは彩萌に何か伝えようとしてたんだけど、マジ何言ってるか分からんでした。何かを言い終えてユースくんは小っちゃい馬になっちゃったふぇっくんを連れてどっか行っちゃった。
何が言いたかったんだろう? まあいいか、いつか聞いてみよう。
そんで彩萌たちはヒズミさんが起きるのを待って、起きたヒズミさんに幻の華を凍らせてもらってケット・シーの集落に帰ったよ。
ちなみにその間ずっとクロ様は空気だった。落ちこんでるみたいだった。
酒場は宿屋もやってるらしくて今日はそこに泊まるんだって、彩萌も一緒です。
なんか、お別れのほうではなんかクロ様の中で何かがあったみたいできらきらしたイケメンになってた。何があったんだろう。優一さんいわく吹っ切れた、らしいけど……なんか別人になっちゃったみたいでした。
「あっ……、そういえば彩萌べつに神様のお嫁さんじゃないですよ」
「えっ、……そ、なんですか……?」
「吹っ切れたのに何言ってんだお前は、未練を残す様な事を言ってんじゃないっつーの」
真実を言ったら優一さんにすげー怒られてしまった。
家に帰って行くクロ様はすごいなんか悩んだような顔してました。
なんかよく分かんないけどごめんなさい。
そのあと彩萌はネコ式着地術大会のために早く寝たんだけど、なんか朝起きたら新しい王様があらわれたから今年は大会無しだって……。
新しい王様は靴下猫さんだって……大会出たかったなぁ。
――アヤメちゃんの魔法日記、六十八頁




