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アヤメちゃんの魔法日記  作者: 深光
始まる為のエンディングノート
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猫の神様

 嬉しそうな顔(目は見えないけど)をしたユーヴェリウス・モーブことユースくんは彩萌にのしかかるようにへばりついてきます。

 いつものことだけどなんでユースくんとグラーノさんはへばりついてくるんだろうか。

 似た色同士だから?

 まあでもグラーノさんのへばりつきかたはどう見ても、彩萌を他人との間の盾とかクッションにしてる感じですけど。大の大人が彩萌みたいなチビッ子を盾にしないでください、って思うけどね。


「えへへ……彩萌ちゃんふあふあになったねぇ、もふもふ~」

「マジありえなーい、ぼくはつるつるしてるほうが好きなのにマジありえなーい、引っこ抜いていい?」

「えっ……今脱毛したらすごい寒そうなんで止めてください」

「じゃあ暖かい場所に行ったら全部抜いてあげるね! きゃははっ、スキンヘッドだよ!」


 そこまで!? えっ、マジでそこまでなの!?

 というか引っこ抜くのか、……時間かかりそうだね。というか痛いよね。


「彩萌ちゃんもきらきら見に来たの……?」

「えっ、きらきら? 彩萌は猫神様に会いに来たんですけど、というかユースくんとむーちゃんが二人だけで一緒に居るなんてなんか変、むしろむーちゃんが誰かと一緒に行動してるのが変」

「というかぼくはこいつと一緒に居るんじゃないし、こいつがぼくが雪見してる時に勝手に来るだけだし」

「だってぇ……此処から見えるオーロラきれいなんだよ……」


 なるほど、白い物が大好きなむーちゃんは雪見をしててきらきら好きなユースくんはオーロラ観賞をしてると。オーロラってあれだよね、なんか布みたいなきれいなやつ!

 でも今曇ってるから見えないんじゃない?


「それで、ぼくに何か用なの?」

「えっ? 彩萌むーちゃんに用ないです」

「……ぼくが猫神様だけど、覚えて帰ってください。不快だから」


 そうなんだ、むーちゃんが猫神様だったんだ。

 良かった、むーちゃんは猫だったんだね。

 むーちゃんまで猫じゃなかったら彩萌は色々とショックだよ。

 でもむーちゃんって砂漠に住んでたんじゃないの?

 ここには雪見しに来てるだけなのに猫神様なんだ、へー。

 なんかそんな話してたらみんながやっと来たんですよ、ファナさんはもう戦える体制に入ってました。

 あー、なんかクロ様もカッコいい杖持ってるー、いいなぁ彩萌もなんか魔女っ娘スティック的なの欲しい。

 というかユースくんとむーちゃんなら戦う必要ないじゃん、そう思って彩萌が口を開こうとすればむーちゃんにふさがれた。

 やべー、この子フレアマリーさんと一緒で戦うの大好きな精霊だよ。


「なんかー、楽しそうだしー二人とも彩萌ちゃんよろしく! ぼくー遊びたい」


 二人ともってなんか変じゃねって思った。

 彩萌を引き取ったのはユースくんじゃなくて、緑色だった。なんで居るんですかフェクタ・カクタス。

 あとなんで彩萌は口を布っぽいので縛られてるんですか?


「猫神様は一人ではない……! ほら僕が妖精の王様だからさ! ケット・シーは僕の管理下にあるからね!」

「猫神様はルニャが本体だけど、ボク達も猫神様なの……」


「それに下手に何か言うとルニャ怒るからね」といつもの女の子なふぇっくんは笑って言ってた。

 怒らせない方が怪我人が出ない、らしいからしょうがない……のかな?

 それにしてもむーちゃんはあいかわらずわがままさんですね。


「ユース彩萌ちゃんも杖欲しいんだって! 今暇だし作ってあげようよー」

「うん……、すごいきらきらしてすごいのがいいなぁ……」


 うん、杖を作ってくれるのはいいけどなんで彩萌縛られてるんだよー!

 その方がなんか人質っぽいってなんだよー、このやろー。

「人質はヒロインのロマンなんだよ!」ってふぇっくんが言ってたけど意味が分かんない。

 いや、うん。意味は分かるけど山吹君いないからヒロインヤダ。

 最初に作った試作品な杖はふぇっくんにポイってされてた、可愛さが足りないって。

 むーちゃんのほうを見ればファナさんと戦ってた、なんか……二人とも楽しそうだね。

 ヒズミさんは頑張って湖凍らせたのかな……、疲れはててた。

 そんなヒズミさんを優一さんが面倒見てた、クロ様はちょっとわたわたしてた。

 何のために戦ってるの?


「なんかー、ルニャがぼくに勝てたら君たちが知りたい事を教えてあげるよ! きゃはっ! って言って戦いの火蓋が切って落とされた! って感じだよ」

「あのねぇ……、幻の華はねぇーお花じゃないんだよ……あの木の上のアレなんだよ」


 ユースくんが指差した方向を見れば透明な花みたいな形したなんかがあった、あれは……氷かな?

 ふぇっくんの話によるとただの氷じゃないんだって、クロカッカゴケのエキスがしみ出した水でできた氷だから特別なんだって。

 湖の水みたいな感じで今日しかないらしいよ、魔法で凍らせれば持ち帰れるって。

 あの氷を溶かして飲めば、お腹は壊すけどすごい若返り効果があるんだってー。

 この辺の草花はみんなそんな感じの効果があるらしいけど、あれが一番なんだってー。


「できたー! 超かわいいー、この翅がポイントだよね!」

「えへへ……あとは魔力注ぐだけだね~」


 はねって言われてちょっとどきってしたけど、ちょうちょの羽だった……良かった。

 なんか羽のとこと上の真ん中の部分以外透明だよ? 良いの?

 それで良いらしい、あとで精霊に魔力注いでもらえば良いよ! だって。

 気づいたら彩萌は解放されてて、出来たばっかりの杖持ってた。

 すごい大きいけど、意外と軽いね。


「ルニャにむかって念じてみて、紫色を意識して念じてみて! 神様に祈るみたいな感じで!」


 ふぇっくんにそう言われ、彩萌はちょっととまどいながらもやってみることにしました。

 なんでむーちゃんにむかって祈るんだろうか、むーちゃん浮いてるね。

 紫色意識してとかむずかしい……、うーんなんかよく分かんないや。

 むらさきーむらさきーむらさきーむらさきー……、こんな感じで良いのかな。

 なんか目を閉じてそんなことを考えてたら、べちゃって感じの音がしたんだよ。


「いやあー! ルニャが落ちたー! ルニャが落ちたぁあああ、成功だね!」

「落ちたー……うふふっ、無様に落ちたー……! えへへっ、あのルニャが落ちたー」


 なんかテンションあがってるところ悪いんですけど、それ彩萌は怒られない?

 彩萌は恐る恐る目を開けてみました、むーちゃんはまだ雪の上に倒れたままです。

 尻尾すごい、ぼあって感じで太くなってる……。


「やったー彩萌ちゃんの勝ちー、猫神様の負けー! ルニャの負け猫!」

「ルニャのばーか……ルニャなんてわがままなお子様~、へんたーい」


 意外と二人ともむーちゃんに不満があったのかな、でもそんなこと言ったらすごい怒るよ。

 すごい尻尾びったんびったんしてるよ!

 すごいイライラしてるんだ……、びったんびったんだよ!


「あぁそう、ふーん……そんなにぼくと遊びたかったなら言ってくれれば良いのに……ぼく今凄い、遊びたい気分かも」


 あっ、ダメだ。もうごめんなさいしても許してくれないや。

 彩萌は悪くないです、彩萌は悪くないです。彩萌は何も知らなかった!

 とりあえずむーちゃんはすごい早さで逃げた二人を追いかけたから彩萌はセーフだった。

 まだ戻って来る可能性があるから安心はできないけど……。


「彩萌、大丈夫か?」

「あ、うん……大丈夫です。というか知り合いだったんで……」

「えっ、あっ彩萌さんって……、あっ、いや……うん。そうなんだ……」


 クロ様は何か気づいちゃったらしい、でも言わないでくれてありがとうございます?

 でもすごい悲しそうなのは何でかな、よく分かんないけどクロ様超悲しそう。


「神様のお嫁さんかぁ……、うん……そっか、うん……」


 あ……、そういえばそんな設定ありましたね。

 しっかり広まってたんだね、でもどうしてクロ様そんなに悲しそうなの?

 優一さんがクロ様の足に手を置いて、どんまいって言ってた。

 今のクロ様でかいもんね、肩に手を置けないよね。

 とりあえず彩萌はさっきユースくんたちから聞いた話をファナさんにした。

 ヒズミさんの魔法で凍らせて持ち帰りたいところだけど、ヒズミさん死んだように寝てるから無理っぽい。そもそも優一さんの首輪問題も解決してない、どうやら彩萌はあの三人を待たないといけないみたい。ゆううつですね、うん。

 とりあえず彩萌は捨てられちゃった試作品の杖を拾って待つことにした。

 これ全部魔石でできてて魔術師なら喉から手が出るほど欲しい代物だって、クロ様がどもりながら言ってたよ。そうなんだ……、優一さんがくれって言ったから彩萌は試作品を優一さんに上げることにした。捨ててたからあの二人にとっていらない物だと思うから……良いよね?

 クロ様も欲しそうだったけど、ごめん、優一さんが人間に変身できるようになるために必要かもって思ったから。

 早く人間に戻れると良いですね!





 ――アヤメちゃんの魔法日記、六十七頁

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