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アヤメちゃんの魔法日記  作者: 深光
始まる為のエンディングノート
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雪原の魔物

 ヒズミさんと一緒に買い物に行った結果、彩萌は着せ替え人形にされた。

 まあ、ケット・シー用の服とかしかなかったからしょうがないけど。意外と疲れる。

 いっぱい服を買おうとしてたから、彩萌は止めたよ。

 荷物増やしたら辛いじゃん、それに貰うのはちょっと気が引けます。

 一着だけ買ってもらったけどね、流石に同じ服しか着てないのはヤバいもん。

 洗ってもすぐに乾かせるけど、乙女としてヤバいもんね。

 ヒズミさんと同じ色のワンピースです。

 暗くなったから酒場にむかえに行ったら、ファナさん昼間よりめっちゃ元気になってた。

 喋りかたとかは変わってないよ? なんかまとってる空気がめっちゃ熱かったから元気なんだろうなって思った。

 クロ様の家にむかえに行ったら、優一さんだけが家の外にいた。


「……師匠はまだだよ、あの人支度に一時間ぐらいは掛かるから待ってて」

「乙女かよ! ボクなんて十分あれば事足りるぜ!」

「――まあ、今日はさらに時間掛かってるけどね」


 なんで彩萌を見て言うんですか。

 彩萌の所為なのかな……、よく分かんないけど。

 でも彩萌的に演技してるクロ様見たいなぁ、演技してるクロ様で来るのかな。

 なぜか話が盛り上がってる優一さんとヒズミさんを見ていれば、家の扉がゆっくりおそるおそるって感じで開いたんですよ。


「――……うわっ、師匠最終手段に出たか」

「えっ、あっ……ダメですかっ、あっいやっ」


 クロ様の最終手段は人に化けること、のようです。

 なんか家から出るとき大変そうだった、家が小さいもんね。

 黒い髪の毛超さらさらですね、褐色の肌です。なんかーえきぞちっくな雰囲気ってやつ?

 わたわたしそうだったけど、咳払いをしてなんかキリッて感じの顔をしたんですよ。

 おぉー、なんかキリッて感じの顔するとイケメンですねー。

 なんか彩萌的にわたわたしてる印象が強すぎてイケメンって感じないけど。


「機動性等を考慮した場合、手足の短いケット・シーでは出来る可能性が狭まれる。一人ならば猫の姿が適切かもしれないが一人じゃないからな」

「おぉ、すごーい! なんかクロ様がイケメンになった!」

「はいそこで赤面しない、にやけない、顔隠さない! もっとビシッとしろ、これから裏門まで行くんだよ? 門番に会うことになるんだよ?」


「すみません……」とクロ様は呟いてた、うん。やっぱりクロ様はクロ様だね。

 ヒズミさんを見れば超ニヤニヤしてた、ファナさんは何も言わないでただその様子を見てたけど。

 ヒズミさんのニヤニヤが超クロ様の精神的ダメージになってる気がする。

 ちょっとうつむき加減なクロ様に近づいてみる、わー超背がたけー。


「大丈夫ですよ、さっきのすごい良かったですよ……かっこよかったです!」

「あっ……えっと、はい……! ありがとうございます……っ」


「近付かないって言っただろ」って彩萌は優一さんにそう言われながらクロ様から引きはがされちゃいました。

 だってなんか大変そうだったから……うん、応援ですよー。

 応援もダメー? そうなんだ、世知辛い世の中だね。

 裏門まで行くときクロ様はフラフラしてたけど、裏門が近づくにつれてしっかりした足取りになって顔つきも不安げじゃなくなったんですよ。クロ様の中で何があったんだろうか。いつもこんな感じなのかな、優一さんを見ればこくんってうなずいてた。

 いつもこんな感じなのか……、目的地につくまでにクロ様は変身するんだね!

 いつもならすごい喋るヒズミさんも、クロ様のその様子を見ながらクスクスにやにや笑ってました。

 裏門の門番さんはクロ様見てびっくりしてたけど、すぐにクロ様だって気付いたみたいで敬礼してた。


「おつとめごくろうさまですにゃー!」

「キュアルもお疲れさま、通してもらえるかな?」

「……まあ、かまいませんにゃ!」

「ありがとうごにゃ……あっいや、ごほっ……ありがとう」


 クロ様もにゃって言うんだね! というか今かなりヤバかったね。

 というかケット・シーはみんなニャーニャー言うんだね、優一さんもニャーニャー言うのかな?

 ちらって見たら「絶対言わない」と一言言われちゃいました。ちぇっ。


「もー……猫のくせにー、なんで彩萌の考えてることが分かるんですか、にゃーにゃー言ってみてくださいよ!」

「はいはい、雪原には魔物がいっぱい居るから騒がないでねー、前見て歩かないと転ぶからなー」

「彩萌は運動苦手だけどころっばにゃッ!?」


 彩萌は転んだ、にゃんてこったい。

 ヒズミさんに笑われちゃったよ、もう猫なのににゃーにゃー言わない優一さんの所為です。そうに違いないです。

 なんかくやしかったから彩萌は先導ランタン君スーパーを装備した!

 聖地までちょっと遠かったけど、魔物には出会わなかったよ。

 魔物に会わなかった理由をファナさんとヒズミさんから聞いた優一さんに残念そうな目で見られちゃった。

 クロ様はホッとしてたけどね。

 高い塀があって、でも上を見ればちいさく木の頭が見えた。今日は雲が出てるね、けっこうあついね。

 クロ様は塀についてた扉の鍵を開けて、なんか小さく呟いてから中に入った。

 扉の向こうには大きい湖がありました、凍ってます。真ん中には小さい島があったよ。

 凍ってるけど、まだ通れるほどの氷じゃないね……。明日には通れるようになってるのかな。

 えっ、じゃあ明日大会やるの? そんでここに来るの?

 ハードスケジュールじゃないですか、彩萌はネコ式着地術大会出られるのかな……。


「ヒズミ、凍らせられるか?」

「うーん……ちょっと難しそう、なんか特別っぽい」


 えー、じゃあ通れないの? 待ってた方が良いのかな。

 悩んでいるヒズミさんやクロ様を見てれば、くすくす笑う声が聞こえたんですよね。

 誰も笑い声に反応しないから、彩萌がその笑い声のほうを見れば白い大きなトラっぽいのがいたんですよ。

 けっこう大きいトラ、なんですけど……、彩萌はそのトラさんを見てむーちゃんを思い出した。

 尻尾……二本生えてる。灰色の目がするどいね。

 なんか見てたら肩が重くなって、ちょっと痛くなったんですよ!

 そうしたら彩萌は空を飛んでたんですけど!

 えっ、トラ? って思ってその方向を見ればトラさんはいるわけです。

 えぇじゃあ何!? って思って上を見上げれば、紫色の大きいフクロウさんでした。

 なんか猫の耳みたいなのが生えてるフクロウさんです。


「……ギャ――ッ!? 助けて、彩萌食べられちゃう!」

「えっ、うわっ!? 何そのフクロウでかっ!?」


 驚いてる場合じゃないですよね!?

 先導ランタン君スーパーは魔物避けがしてあったんじゃないの!?

 フクロウさんは聖地のほうに飛んでいきます、下を見れば走るみたいに空を飛んでるトラさんが見えた。

 あぁ、どうしよう。彩萌餌になるのかな。

 どっちに食べられたほうが痛くないのかな。

 聖地に彩萌は落とされた、ネコ式着地術大会の優勝候補を舐めるなよ!

 しゅたって着地して見せましたよ、どや顔したいけど今命の危機にひんしてたね。

 ふり返ればけっこう近くにトラさんがいてビビった、ど……どうしよう。


「彩萌ちゃーん……、お久しぶりだねぇ。やっぱり彩萌ちゃんは猫さんだったねぇー」


 聞きおぼえのある幽霊みたいな声、しゅたって上から紫色の見おぼえのある子がふってきた。

 ……一瞬羽が生えてたけど、すぐに消えちゃった。

 上を見上げればフクロウさんはいません。

 えっ……、ええぇ!? ユースくんって猫じゃなかったの!?

 ふっ、フクロウだったの!? 猫じゃなかったなんて彩萌はショック!

 じゃあやっぱり白いトラは……ムールレーニャ・ミスト――ッ!





 ――アヤメちゃんの魔法日記、六十六頁

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