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アヤメちゃんの魔法日記  作者: 深光
始まる為のエンディングノート
57/107

妖精たちの春の森

 休息してたら暗くなってきたので、穴の中で寝た。

 真っ暗だったけど不思議と怖くなかったです、魔物になったから?

 耳の大きいネズミさんみたいなウサギさんくらいの大きさの小動物とかも穴の中に入ってきたんですよ。

 近くで寝られて、どきどきしたけど暖かかった。

 朝起きたら小動物たちはいなくなってたけどね。

 バックは無事だったよ、噛まれなかった。

 朝の森はさわやかです、ちょっと霧が冷たい。

 彩萌はピンク色の木が生える森に行きたい、どっちの方向かよく分かんないけど勘で行きます。

 なんか、こっちの気がするからこっちの方向に歩いて行きます。

 しばらくすれば川があって、手とか足の裏とか洗った。

 まあ洗っても足の裏すぐに汚れるだろうけどね~。

 水も飲んだ、意外とイケる。

 リイムの実も一個だけ食べて、歩くよ。

 というか歩いてばっかりだけど、こっちであってるのかなぁ。

 歩いていれば、目立つ桜の木があった。花が咲いててピンク色。

 でも今夏じゃなかったっけ?

 辺りをよく見回せば、桜とか幹までピンクな木とか生えてた。

 おぉ、どうやら彩萌の勘は当たったみたいです!


「さくら~……、お姉ちゃんの花だよ~」


 お姉ちゃんは、叶山桜(かのやまさくら)だからね。春生まれだよ。

 甘くて良いにおいがしてる。

 ちょっと歩いていれば看板が立ってて、文字が書いてあった。幻想世(ふぁんたじー)文字だから彩萌にはよく読めない。

 でもちょっとだけわかるよ!

 たぶんこれ妖精に注意しろって書いてあるよ! たぶんね!

 彩萌が読めたのは妖精の部分だけです、ただその下にバッテンとか不吉そうな絵が書いてあったからそうかなって思った。

 妖精の前の文字は……、花かな? 花かも……?

 花妖精に注意しろ?


「花妖精ってどんなのかな……、なんか可愛い感じだと良いなぁ」


 でも妖精の王様はふぇっくんことフェクタ・カクタスだから信用ならないね。

 虫とか変な生き物が大好きだからね、あの人。

 会ってみたいけど、なんかされたらヤダな。

 ……行ってみよー、なんか好奇心がおさえられないです。

 ピンクな森に入れば、なんか空気が変わった気がする。ヒゲがぴくぴくします。

 この森はちょっとあったかい。

 しばらく森を歩いてみます、花とかいっぱいあるよ。

 虫もいたけど、なんかすごいきれいな色でカワイイの。ここの虫はふぇっくんの趣味じゃないね。

 なんだか、くすくす笑われてる気がする。

 というかすごい見られてる気がします、妖精いるのかな?

 ふーらふら歩いていれば、なんか道っぽいのがあった。

 どこにつながってるのか気になって、行こうと思ったら立ちふさがれた。

 パステルカラーな小さい妖精さんたちです、ちょうちょの羽が生えてる……。


「ここから先は通行禁止でーす」

「部外者お断りでーす」

「通行許可書が必要だ」


 通行きょかしょ? どこで貰えるのかな?

 信号機カラーな妖精さんはくすくす笑います、さっきから見てたのはこの三人なのかな?

 青い色が女の子で、赤色が男の子、黄色はちょっとよく分かんない。

 というか黄色はスズメバチだね、頭が蜂っぽいよ。

 この蜂頭さんはふぇっくん好きそう。


「この先には何があるんですか?」

「チェリーブロッサムのお城でーすよ、猫妖精さんは何処から来たんでーすか?」

「猫妖精さんはもっと寒いところから来たんでーすよね? だって猫妖精さんの棲み処は雪国でーすよね?」

「だがしかし、この猫妖精は一見したら猫妖精だが猫妖精では無いな」

「そうでーすね! 猫妖精さんは猫妖精さんの殻を被ったよく分からない何かでーすね!」

「でも猫妖精さんは邪神族に近い感じでーすよね? 穢れと神聖が入り混じった不可解さがありまーすよね?」

「未知の生物、と言う事でよろしいか?」


 よろしいですけど、たぶん彩萌の答えは必要ないんだろうな。

 青いのと赤いのは兄弟っぽい、顔とか似てるし服装も色違いで同じだし喋り方もほぼ同じだし……。


「僕たちこの森から出たことないので違う妖精さんみたいなの見るの初めてでーす」

「握手してくださーい、握手を求めまーす」

「良いですけど……」

「わー! 肉球があるー!」

「すごーい、肉球だー!」


 小さい手でぷにぷにされた、ぷにぷにというか叩かれた。

 もうね、小さいからあんまり痛くないけどあれは本気で叩いてる感じだった。

 肉球の防御力は高いのだ。


「肉球のニックは何しに春の森に来たのでーすか」

「肉球のニックは侵略しに来たのでーすか?」

「良からぬことを企んでいるなら肉団子にして肥料にするぞ」


 黄色の妖精さんの言ってることはシャレになりません……だってスズメバチ……。

 彩萌は否定しておいたけど、妖精さんならたぶんお見通しだから彩萌を怖がらせて遊んでるのかな。

 くすくすしてるもん、でも小さいから可愛い。


「呼ばれた気がしてにゃにゃにゃにゃーん、ワンピースの下に短パンを履くなんて妖精しゃんは認めん!」

「あ、兄ちゃん」

「えっ、シースさん!?」


 下から声が聞こえて、見下ろせば足の上に緑色のあの見たことのある妖精さんが座ってた。

 相変わらずちっちゃい、そして相変わらず緑色に光ってる。

 そしてどうやらシースさんは赤いのと青いののお兄さんらしい。


「あやっちおはーよーしゃん、短パンはいてたらスカート捲りしても愉しくないんだぞ! 悪戯妖精の夢を奪った罪は重いんですぞ!」

「あ、そーいえば悪戯してなかったでーすね? 尻尾と肉球に夢中だったでーすね?」

「悪戯妖精失格でーすね……、ぶろっさまに怒られてきまーす」

「門番妖精に死角は無い」


 黄色の妖精さんは腕を組んで、ふふんって感じで言った。

 小さいけど鎧来てるもんね、槍も持ってるしなんか強そう、小さいけど。

 青いのと赤いのは急いで奥のほうへと飛んでっちゃいました。

 彩萌の足の上に座ってたシースさんは飛んで、彩萌の頭の上に着地した。

 耳をつかんで落ちないようにしてるのが分かりますよ、つかまれると耳すごいぴくぴくさせたくなるんですけど。

 そんな考えを読み取ったのか、シースさんは髪の毛つかんだけどね。


「あやっちもぶろっしゃまに会いに行こーじぇ! ぶろっしゃまに怒られに行こーじぇ!」

「えっ、でも通行きょかしょが必要なんでしょ?」

「そんなもの、ある訳が無い」

「誰でも通れりゅに決まってるじゃん」


 この妖精どもめ……! 彩萌をだましたな!

 イタズラしっかりしてるじゃないですか! どこがイタズラしてなかったでーすね、だ! まあ妖精だから、しかたないですけどね。


「だってぇ、ぶろっしゃまに会う資格がないやつは森の中ですぐ死ぬもんねー」

「猫妖精は毒虫普通に触ってたからな、会う資格が完全に無かったら既にあれでもう死んでるだろう」


 マジかよ、あの虫可愛い見た目のくせに資格が無かったら、触ったら死んじゃうんですか。

 彩萌資格があって良かった……、無かったら死んでたよね。


「しょもしょもー、ここに生えてる木からは毒が出てるんだじぇ」

「結界で漏れ出ない様にはされているがな」

「あやっちは聖女様だからにぇ、ぶろっしゃまがおっけーしてくれたってことだじぇ!」


 なるほど……ぶろっしゃまさんに拒絶されてたら入った瞬間に即アウトだったんですね!

 すごくあぶねー森ですね。

 妖精の棲み処って……、怖いです。

 でも行って良いならぶろっしゃまさんに会いに行ってみたいな。

 妖精さんの偉い人なんでしょ? 小さいのかな?

 それになんだか彩萌の勘がぶろっしゃまさんに会いに行くべきだと言ってるのです!

 妖精さんの偉い人なら、なんかどっち行ったら良いのか知ってそうだし。

 彩萌が壊せそうなオーパーツとか知ってそうです。

 彩萌は頭の上にいるシースさんに道案内をされながら、道をたどって森の奥へと向かいます。

 春の森は、あまーい良い香りに包まれててなんかちょっとだけくらくらしました。





 ――アヤメちゃんの魔法日記、五十五頁

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