閉じられた聖域の夜に星は語る
レニ様に連れて来られたのは、彩萌が使ってた部屋だった。
ベッドのふかふか加減は変わってないけど、窓は無くなってて扉も内側から開けられないようになってた。
しーちゃんは閉じ込められるのが嫌だろうから、レニ様に預けました。
しーちゃんは寂しそうじゃなかったけど、ちらちら彩萌を見てた。
レニ様はこっそり遊びに来てくれるって。
彩萌はとりあえず、夜だから寝たよ。
眠れないかなって思ってたけど、疲れてたからぐっすりでした。
もちろんちゃんと、お風呂入って顔とか洗ったりしましたよ!
昔と違ってひねればお湯が出ました!
ご飯は、なんかレニ様みたいな服を着た女の人が持って来てくれた。
そういえば彩萌の本棚が、すごい大きくなっててなんか本がいっぱいあった。
本棚に小さな噛んだあとがあって、もしかしてディーテさんが言ってた本棚ってこれの事かな?
大きくなって、いっぱい本が詰まった本棚にメモがはってあったんですよ。
「あやめちゃんに、あげるやつ……」
あ、彩萌なんか感動した。
彩萌にとっては一瞬の出来事だったけど、このいっぱいになった本棚分時間が流れてたんだね。
なんか……ごめんなさい。
上のほう届きそうにないくらい、本がいっぱいです。
取れる本を一冊だけ手に取って、題名を見て彩萌はたいそう困りました。
「――……読めない」
そうです! このぐねぐねした文字は彩萌には読めないんです!
ちょっと残念な気持ちになりながら、ぺらぺらめくってるとディーテさんの優しさがあった。
たぶん、和訳してくれたんだと思う。半分から日本語で書いてあった。
もしかして、全部和訳してあるのかな? あ、また涙でてきた。
そのお話は、正義の使者である青年が世界各国を旅しながら気まぐれに人を助けたり助けなかったりする話だった。
ところどころ、主人公フレアマリーさんなんじゃね? と思う描写があってたいそう困った。
でも挿絵見ると男だし、髪の毛短いみたいだし……。
でも聖樹も簡単に切り倒せそうな大きな斧とか、火を自在にあやつるとかフレアマリーさんっぽい……。
あと正義の使者のくせに一般市民脅してるとことか、カツアゲしてるとことかはマジでフレアマリーさんっぽい。
それにきわめつけは、主人公の名前がバーミリオンってところですかね。
お話は要約すれば、正義とは誰の味方でもねぇ、正義の使者とか言ってるようなやつを信じるのが悪だ! (主人公の言い分)
これの作者さんはフレアマリーさんに何かされたのかな。
幻想世界の文字と、和訳したのを見ながら読めばなんかちゃんと文字なんだなって思えました。
バーミリオンって書いてあるのが分かったもん。
読み終わった本を本棚に戻します、次は何を読もうかな?
「あやめちゃーん……これよんでー」
「うっ、ひっあ!?」
彩萌はすっごくおどろいた、か細い声に超びっくりした。
でも視界にきらきらと、紫色なふさふさの頭と耳と尻尾が見えて誰だか分かってホッとした。
幽霊かと思った、でも幻想世界には普通にいそうで怖い。
顔をむければ、ユーヴェリウスことユースくんがいました。
「これねぇ……ボクの事が書いてあるんだよぉ。すごいんだよーボクがねぇ……ルニャみたいにいろいろやってるのー」
「むーちゃんみたいなことって、酷いことしか思い浮かびませんけど……」
「えへへ……そうなの、酷い事いっぱいしてるのー……騙したりしちゃっててー、極悪人なの」
なぜかユースくんはうっとりとした様子で呟きます、極悪人にされてて嬉しいのかな……?
頬っぺたがちょっと赤い、ユースくんの趣味はよく分かりません。
とりあえず、ユースくんにおすすめされたので読んでみます。
内容はユースくんのお話だけど、むーちゃんと混ざっている気がします。
小さな森にある村の中でのお話しで、なんだかちょっと……怖いおとぎ話みたいな雰囲気です。
小さな森に住んでた耳の生えた少年と、村の子供たちのお話しなんですけど……。
なんか、最初の方から怖い。
耳の生えてる少年にそそのかされるって言うか、影響を受けて? 子供たちが変わって行くって言う話で……。
彩萌は途中リタイアした、だって怖いんだもん。あと、ちょっとグロイこれ。
彩萌にはちょっとこれは早かったみたいです。
「ユースくん彩萌は読めない……! こんなの読んだら夜眠れない!」
「そっかぁ……残念だね。でもぉ大丈夫だよー、夜は眠らなくてもー……ボクときらきら見ようよー」
一瞬だけ、残念そうにうつむいたけどすぐに顔を上げて提案をしてくれた。
なんか最初からそれを狙っていたように思えなくもない、でもこの場合ユースくんを怖がるんじゃないかな?
だって、お話しの真犯人はユースくんだし。
あとユースくんの言うきらきらは星空のことだと思うんだけど、彩萌外に出られないよ?
そう思ってたら、ユースくんはカチューシャのきらきらした飾りを取ったんですよ。
「えへへ、見て見てすごいのー……」
きらきらした飾りを浮かせて、ユースくんは電気を消したんですよ。
おぉー、プラネタリウムですね……!
きらきらしてて、良い感じですー。
一家に一台ユースくんがあれば、いつでもきれいな星空が楽しめますねー。
ユースくんとベッドに腰掛けて、プラネタリウムな天井を見上げてました。
窓とかないから、良い感じに真っ暗だし。
「きらきらー……」
「きらきらだよー……」
結果、彩萌の首が痛くなった。
寝っ転がってみれば良かったぜ……、ちくしょー。
あとチラ見したユースくんの素顔がすごいユヴェリア王子そっくりだった。
見間違えそうなくらいそっくりだから、前髪は長いほうが良いね。
彩萌の軟禁生活一日目は、ユースくんとディーテさんのおかげで楽しく過ごせました!
――アヤメちゃんの魔法日記、四十二頁




