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アヤメちゃんの魔法日記  作者: 深光
幻想スケッチ
27/107

再会は檻の中で

 べちゃっ、と彩萌はしーちゃんを下敷きにして着地しました。

 何でもしーちゃんは、オーパーツの中にあった魔石を食べたお蔭で進化したらしく……、ちょっとだけ巨大化できるようになったんですよ!

 まあすぐに元に戻ってしまったんですけど、魔石の力は凄いね。

 彩萌が落ちた先は、ちょっと暗くていやーな感じの場所でした。

 なんか倉庫みたいで、彩萌は何故か檻の中に居ました。

 さびついた鉄格子がいやーな感じです。


「あら……、誰かしら~?」


 懐かしい、いやさっきまで聞いていた声が聞こえて彩萌は振り返ります。

 落ちる前に見たのとは違う服装のオリーネ先生でした、白衣は来ていました。

 それにしてもオリーネ先生は綺麗です、この汚い感じの倉庫とは大違いですね!


「彩萌ですオリーネ先生、……あっ、でも過去の可能性があるのかな……」

「あやめー? 素敵な名前ねぇ、でもー……私の名前はオリーネだったかしら?」

「……うーんと、たしかフィルオリーネ・ティアーズだったと思います?」

「あらあらー、それが私の名前? 可愛い名前だったのねー」


 ぽやぽやと言ってますけど、もしかしてオリーネ先生記憶喪失?

 彩萌と会う前なのかな、それとも彩萌に会った後なのかな、分かんないや。

 でももしオリーネ先生がジェリさんなら、これは彩萌に会った後の可能性が高いような気がします。

 でも、どうしてオリーネ先生は記憶喪失になったんですかね?

 ジェリさんが使う魔法の対価が記憶なんでしたっけ?

 というか魔法の対価ってなんだろう?


「ねぇ、オリーネ先生魔法の対価って何だか知ってます?」

「えーっと……対価……」


 オリーネ先生はうーんと唸りながら考え始めました。

 しばらくすると、オリーネ先生は思い出したのかぽつぽつと喋ります。


「人間や魔力の内蔵量が低い生き物が魔法、及び誤った魔術を使うと自身の大切な物を対価として差し出さなければならない、魔力の内蔵量が低い生き物ほど、魔法を使うには大きな対価が必要となる、よって魔術とは人間が安全に、対価を差し出さずに魔法を使うための学問なのである」

「ほへー、なるほど……オリーネ先生は間違った魔術を使っちゃったからこうなっちゃったんですか?」

「さあ~? 全然わからないわー、気付いたらここに居たんだもの」


「此処は居心地が悪いわねー」とオリーネ先生はにこにこ笑いながら彩萌に言います。

 もしオリーネ先生がジェリさんだったら、もうオリーネ先生のにこにこした笑顔を見る事は無いんですか……?

 でもここで彩萌が何かをしたら、ジェリさんは未来に居ないかもしれないんですか?

 どうしよう、彩萌……どうしたらいいんだろう。

 しーちゃんは彩萌の頭に引っ付いて、ことの成り行きをぼんやりと見ています。

 そんな事をしていれば、物音が聞こえて明かりが見えました。

 深緑色の髪、眼鏡に白っぽい服装……イズマさんでした。超イズマさん、むしろイズマさん以外に無いくらいイズマさん。

 彩萌と目が合って、イズマさんは眉間にしわを寄せます。


「お前は……、ふむ……そうか、なるほど」

「えっ、何納得してるんですか……イズマさん?」

「あぁ、名前も知っているのか、なるほど……未来で接触したと解釈して良いのか」


 本人様である、これうなずいていいのかな?

 でも本人は確信してるみたいだし……、うなずいちゃえ。

 そうすれば、イズマさんは満足そうな顔してた。

 そしてイズマさんは鞄をごそごそしたと思ったら、彩萌に何かを投げ渡します。

 おおう!? こんな時でもイズマさんは行儀が悪いのか!?


「あ……、魔法書!」

「返し忘れていたからな」

「やっぱりずっちんはイズマさんだったか……、じゃあオリーネ先生がそうなんだ……」


 ジェリさんなんだ……。

 ――なんていうか、ちょっと落ち込んでたけど……ここ何処だろう。

 オリーネ先生は分かんないだろうから、イズマさんに聞いてみよ。


「ずっちん、ここ何処ですか? あとずっちん今何歳?」

「……それで呼ばれるのは久しぶりだ、此処は水都グレーキィより南にあるエウロという街で治安が悪い、法に触れる様な物を扱うオークションをやってる様な場所だな、因みにお前は俺がいくつに見える?」

「え……、二十代……」


「残念ながらそこまで若くない」とイズマさんは笑って言いました。

 イズマさんマジかよ、年齢詐欺してんじゃん!


「それで、お前はどうしてそんなオークションの倉庫に居るんだ、まさか売られたのか? それとも運悪く飛んできたか?」

「えっ……飛んだ……けど、そう言うイズマさんはどうしてこんなとこに居るの……?」

「依頼主によると、娘と同年代の友人が欲しいとのこと、法で守られない様な人間が好ましいらしい」

「はんざいぢゃーん、いずまはんざいぢゃーん」


 ヤバイよね、それ。絶対にヤバイよね。

 奴隷ってやつだよ、ヤバイよ……。マジで。

 って……! ここでオリーネ先生をどうにかしないと変な人の奴隷になっちゃうんじゃないですか!?

 オリーネ先生綺麗だもん、ヤバイよ、激ヤバだよ!

 あー、もしかしてイズマさんへの借金ってこれに繋がってる!?

 あ、でもその娘の友人とやらはダメだと思うので、イズマさんに個人的に買ってもらわないといけないんですか?


「あ、の……イズマさんはあの……、何か買う予定はあるんですか……?」

「はぁ? ――……まぁ、個人的だったら製造禁止になったワインや禁書には興味があるが……、他は無い」


 彩萌、イズマさんの不機嫌そうな、はぁ? が怖いと思いました。

 どうしよう、……いや、オリーネ先生をここから逃がせば誰かに買ってもらう必要無くないですか!?

 あーでも、その後の生活が……やっぱりイズマさんを頼るしかない系ですか?

 オリーネ先生は、不思議そうにこのやり取り見てるし。


「イズマさん……、お願いがあるんですけど……ダメですかっ」


 イヤだって言われると思ってたんですけど、意外な事にイズマさんは少しなやむそぶりを見せている!

 おぉ、まさかイズマさんにお願いが通じるとは思わなかったぞ。

 日ごろの行いが良いおかげですねっ。


「内容によって」

「オリーネ先生を助けてあげてください!」

「金の無い女に興味は無い」

「即答!? 酷いですよイズマさん!」


 この金の亡者がっ、酷い発言ですよイズマさん!

 好感度ががくんと下がりましたよっ、でも昔からイズマさんはそう言うすたんすってやつでしたよね!

 まさか好きな女性のタイプにまでお金が絡んでいるなんて……、どうしてそんな性格になっちゃったんですかっ。


「金の無い奴には興味はないが……、金になりそうな奴には興味がある」

「……オリーネ先生を雇ってあげてください?」

「不合格だ、出直して来い」


 イズマさん彩萌で遊んでんだろ!? もー、そういう遊びやだー……。

 でもイズマさんも大変な話だからね、無理に頼むのは良くない、うぅ……彩萌はどうやったらオリーネ先生を救えるのかな!?

 こういう時、彩萌も魔法が使えたらいいなって思う。


「もうっ、彩萌が将来出世したらお金払うのでオリーネ先生を買っといてください!」

「なんだ、分かってるじゃないか」

「えっ……彩萌が本当に出世するか分からないんですよ?」

「いや、そうとは限らない」


 何でそう自信満々に言えるんですかっ、まあでもオリーネ先生買っといてくれるならうれしいですけど。

 でも、そうなるとジェリさんの借金ってなんだろ?

 もしかして、生活費……とか?

 あーでもオリーネ先生ぽやぽやしてるし、何か物を壊しちゃったとか?

 これでオリーネ先生を救えました……よね? 一件落着ですよね?


「……イズマさん、オリーネ先生をいじめないでくださいね」

「彼女はいわば商品だ、安心しろ、死なない程度に面倒を見てやる」


「それに彼女には防衛魔法が掛けられているから無理だ」とイズマさんは教えてくれました。

 詳しく教えてくださいと言えば教えてくれました。

 防衛魔法は、自分にとって危険な感情を持って触れようとする相手を攻撃する魔法だとか。だから悪意を持って近付けば、自分が危ないのだそうな。

 そっか、なら安心ですね!

 ……もしかしてその防衛魔法の所為でオリーネ先生は記憶喪失になっちゃったのかな?





 ――アヤメちゃんの魔法日記、二十七頁

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