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アヤメちゃんの魔法日記  作者: 深光
幻想スケッチ
26/107

さよなら、クレメニス魔術学園

 長ーい長ーい廊下をオリーネ先生と歩いています。

 彩萌が汚れているので、シャワールームに案内してもらっているのです、いやー悪いですね。

 えーっとレニ様だっけ? レニ様に会うのに汚れてたら失礼だし、とのことです。

 洋服については問題ないですって、洗っちゃえばすぐに乾かせるから大丈夫だって。

 洗う魔法は無いんですねー、って聞いたら、汚れがつかないようにする魔法ならあるらしいですよ。


「すぐに洗っちゃいますね~、身体とか洗うのにはこれ使って、あとカーテンはちゃんと閉めてね~、泡がとんじゃうからね」


 と言って彩萌は一人、いいえしーちゃんとシャワールーム前の脱衣所に残されました。

 服は全部持って行かれた、ちょっと恥ずかしかった。

 バスタオルのふわふわ具合を確かめているしーちゃんを連れてシャワールームに行きます、というかバスタオル汚れちゃうから触らないの!

 うーん、彩萌はこういうの使うの初めて、テレビとかでは見た事あるよ。

 一番近くのシャワーの前に行って、しゃっとカーテンを閉めます。

 これで個室ですねっ、しーちゃんはやっぱりシーシープドラゴンらしく水を待ち望んでいます。

 他のシーシープドラゴン知らないけど、……どっちにひねればお湯なのかな?

 ぐねぐねした文字だから彩萌には読めん。


「きゃー、ちべたーい!」


 しーちゃんはすっごく喜んでいますけど、彩萌は心臓が止まるかと思いましたよ。

 驚きすぎて声が出ませんでした、すぐに反対の方向にひねればお湯が出ました。

 それにしても、間違えて水を出しちゃうなんて彩萌ったら王道的などじっこさん!

 水の方に青い色のしるしつけて欲しかったなぁ……。


「おほほー、ちーちゃんのもこもこぺったんこー! ちーちゃんのもこもこぺったんこー!」

「もこもこぺったんこー、……うわっ、泡が変な色してるっ」


 ちょっとピンクっぽいとかなら分かるけど、すごいオレンジ色でびっくりした。

 おぉ、すごい柑橘系の匂いです。オレンジの匂いがします。

 わっしゃわっしゃってしーちゃんのもこもこをそのオレンジの泡で洗ってあげます。

 おぉー、オレンジ……。凄いオレンジの匂い……、ジュース飲みたいなー。

 しーちゃんを洗い終わって、もう一回泡を立てます。

 そうしたらなんと……! 色が変わっていました、今度は紫色です!

 すごい葡萄っぽい匂いがするなー、すげーなー。

 その後、彩萌たちはきゃっきゃっと泡で遊んでいました。

 だってだって、泡立てる度に色と匂いが変わるんだもん。

 ボトルの中身が凄く減っているのに気付いたオリーネ先生に怒られた。

 バスタオルもこもこだった。

 綺麗になった彩萌たちはオリーネ先生の仕事部屋に戻りますー、学園は広そうです。

 窓の外をながめながら、彩萌はオリーネ先生特製のサンドイッチを食べました。

 ありがとうオリーネ先生、ごめんなさいオリーネ先生。

 わざとじゃないです、好奇心に負けちゃったんです。


「彩萌ちゃんは見た目以上に悪戯っ子さんね、子供は元気な方が良いんだけどね~」


 新しく買ったばかりらしく、だいぶ気にしてます。

 サンドイッチを食べ終わって、ちょっとしたら部屋がノックされました。

 きっとレニ様とかいうお偉いさんです、なんだかちょっぴり緊張しますね。


「やっほー、こんばんはー、理産チビッ子が居ると聞いて~」


 やべー、なんか……ディーテさんと同じ雰囲気(におい)がする。

 というかまだお昼頃ですよ、こんばんはの時間じゃないです。


「レニ様こんにちは、相変わらずの様で」

「どうもオリーネ先生今日も綺麗よ、良ければこれから一杯どうだい」

「お断りさせていただきます」

「いやー、断られちゃったぁ! レニ様悲しいなぁ!」


 悲しいと言っている割に、すげぇ嬉しそうなのは何故でしょう?

 部屋に入ってきたのは、頭が凄くピンク色の男性でした。

 なんか、色合いまでディーテさんに似てるんですね……。


「こんばんは彩萌ちゃん、相変わらず可愛らしいよ」

「相変わらず……? あの……、彩萌とは初対面ですよね」

「そうだね、彩萌ちゃんからすれば初対面になるね、レニ様は毎日見てるけど」


 何だこの人、自分のことレニ様って呼んでるし……変な人なのかな?

 うん、きっと変な人だよ。ショッキングピンクだし。

 ……全世界のピンク色の人ごめんなさい。


「あのね、保護してあげたいところなんだけど、あれでしょ? まだスタート地点に立ってすらいないからダメみたい」

「スタート地点……? レニ様は宇宙人こと頭がちょっと変な人ですか?」

「宇宙人はレニ様の義理のお父様のディーテ様でしょー」


 あぁ、……あぁなるほど、そっかレニ様かわいそうに……ディーテさんに育てられたからこんな性格に……。

 第二のディーテさんと言って、過言では無い感じなんですね。


「そうなのー、第二のディーテ様なの、レニ様かわいそうなの、洗脳されてるのー」

「彩萌の頭の中を読むのは止めてください……」

「イイじゃない、減るもんじゃないし、レニ様は彩萌ちゃんを管理する権利がある!」


 どうしよう、この人……ディーテさんよりもウザい感じの人だ。

 喋り方少し似てるけど。髪の毛も短いし、なんか牧師みたいな服着てるし。

 ぜんぜん違うよね、ディーテさん元気かなぁ?

 お姉ちゃんやお母さんやお父さんは、きっと元気だと思いたい。


「というわけで、彩萌ちゃん次はどこの過去に行きたいの?」

「山吹君が幻想世界(ふぁんたじー)に来たところ」

「うん、分かった! と言ってもレニ様がやってる訳じゃないから何処に飛ぶかなんて知らないけどね!」


 がしっ、と彩萌はレニ様に肩を掴まれたと思ったら投げられてた、なんか酷い。

 驚いた顔のオリーネ先生が見えて、彩萌はひゅーっと落ちて行くのでした。

 レニ様このやろー! ランドセルも投げるものじゃないよ!

 ぱたぱたーとしーちゃんが飛んでついて来てくれます、なんか最近しーちゃんだけが癒しですよ。

 なんだか、今回は落ちる時間が長いみたい……どこに行くのかな?

 それにしても、クレメニス学園にたいざいした時間が短かったなぁ……。


「今度はズレちゃダメよー! ちゃんとスタート地点に行ってねー!」


 そんな事を言われても、スタート地点がどこか分かんないよ!

 そもそもこれ彩萌の意思でやってるんじゃないもん!

 早く山吹君にあわせろー!





 ――アヤメちゃんの魔法日記、二十六頁

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