ようこそ、クレメニス魔術学園
泣きやんだシースさんと、お薬を作る為にずっちんは家を出て行ってしまいました。
魔法書を持って行っちゃいましたけど、……まあ良いです。
ノートとかをランドセルにしまって、しーちゃんをマントで包みます。
なんだか色々と疲れました、体は動かしていないんですけど。
「お嬢サン、キミはソロソロ行くのかい?」
「……分かんないです」
「ソウか、なら記念に何カあげヨウ」
そう言ってクレールさんが持ってきたのは、何かの種でした。
その種はリイムの種だそうです。
「植えて、木にナッテ、見て思い出してクれたらイーラルが喜ぶカラ」
良く出来た手下とは、彼の事を言うんですね!
彩萌はクレールさんにお礼を言って、無くさないようにランドセルのチャックが出来る場所にしまいました。
「あぁ、ソロソロみたいダ」
「えっ、ちょ……っ魔法書まだ返してもらってな――――――!」
今回も落ちました、何でこんな事に彩萌はなっているんでしょうか。
今回はあんまり高くない所から落ちたようで、お尻が少し痛いていどでした。
ランドセルがぼとって落ちてきたのはちょっと驚きましたけど、大事な物なのですぐに背負います。
すぐにマントに包まったしーちゃんも落ちてきました。
どうやら、室内のようです。
壁にぎっしりと本棚があります、日よけにカーテンが出来るようになってるやつでした。
立派な机の上にはいっぱい本が積んであって、机の近くの壁には黒板がありました。
なんだか、雰囲気が学校みたいです。
足元には魔法陣が書いてありました、彩萌がどこかに行っちゃうときに出るやつとは模様とか柄が違います。
「こんにちは~、なんだか不思議な登場の仕方ね」
声を掛けられて彩萌はびっくりします、机の方から声が聞こえました。
声を掛けた女性は本の山から顔を出します、その顔を見て彩萌はびっくりして動けなくなりそうでした。
「理の世界の人が現れる瞬間ってあんな感じだったのね、興味深いです~」
ジェリさんが……白衣着てる! いや、そんな事よりも喋り方とか雰囲気がまったく違うよ!?
少しだけくせっけの髪をゆるくまとめて前に流して、カチューシャ着けてました。
ミルクココアみたいな色の可愛いブラウスを着て、スカートをはいてて、タイツだ!
なんか、オシャレだよ! ジェリさんなのに可愛い服着てる!
「えっとぉ……、驚かせてごめんね~? 私はフィルオリーネ・ティアーズです、みんなからオリーネ先生って呼ばれてます」
「お……おりーねせんせい?」
どうしよう、名前を聞いても声とか顔とかがジェリさんです。
いや、ジェリさんみたいに常に真顔じゃないですけど……、にこにこしたり困った顔をしたりしてましたけど。
「はぁいオリーネ先生です。ここはクレメニス魔術学園なんですよ、私は幼少クラスの先生をしていま~す」
「クレメニス……魔術学園?」
「はい、クレメニス魔術学園です。色んな国の子が一緒にお勉強しているんですよ」
「ちなみに、私は属性付加についての魔術を教えていまーす」とにこにこ笑いながらオリーネ先生は教えてくれました。
なんだか、幼稚園の先生みたい。オリーネ先生可愛い、学校に行くのが楽しくなっちゃうね。
でもジェリさんみたいで、なんだか複雑です。
「あなたのお名前はなーに? 聞いても良いかしら~?」
「えっと、彩萌です」
「彩萌ちゃん……素敵な名前です~、彩萌ちゃんから魔力を感じなかったから理の世界の人だと思ったんだけど……あってる?」
彩萌がうなずけば、オリーネ先生はにっこり笑います。
オリーネ先生は彩萌の頭をなでなでしてから、椅子から立ち上がりました。
えへへ、可愛い先生相手ならなんだか子供扱いも悪くない気がしてしまいます。
恥ずかしいですけどね。
「そっかそっか、じゃあ教会に連絡しないとだね~、理の人間は教会で保護するって決まってるんですよ~」
「教会?」
「はい、教会ですよ~この国を管理してるんですよ、怖いところじゃないから安心してね?」
孤児院とか、えっとー……じどうようごしせつみたいな感じのとこ行きですか?
まあ、普通そうなのかなー。彩萌みたいな感じだと、住むお家もありませんしね。
「そうしたら、きっと学園に入学することになるね、彩萌ちゃんと一緒に勉強できたら嬉しいなぁ」
そう言われると、彩萌も嬉しいなぁ……。
……っは! オリーネ先生の術にハマるところだった!
彩萌は山吹君に会わないといけないんです。
あれ……でもクレメニス魔術学園はいろんな国の人が一緒に勉強してるんですか?
そして国は教会が管理している……、あれ? もしかしてここってみんなが住んでる場所なのかな?
でも過去か未来か現在か、分からないところが怖いです!
気が付けば、オリーネ先生はまるで電話機みたいなので電話してました。
たぶん電話じゃなくて魔法通話機みたいな感じに違いないけど。
「レニ様が迎えに来てくださるそうですよ~、だから大丈夫です」
「そ、そうですね……でも、彩萌は山吹君に会いたいです」
「……うん、大丈夫。きっと会えるよ~、頑張って勉強したら時空の壁なんてぴょんっだよ」
ぴょんっですか、……ぴょんっ!
いやいやいや、彩萌はもう大人だから、なんかほっこりした気持ちになったけどそれは昔を懐かしんでだから。
だんじて彩萌はぴょんっごときで喜んでいないです。喜んでいないんですからねっ!
もしオリーネ先生がジェリさんだったら、彩萌は彩萌とせっしょくした人物の過去に飛んでますよね。
なんでだろ? そして、誰も彩萌に気付いてなかったのかな?
もしかして彩萌がそうなのかなーって思っただけで別人?
もしかして、彩萌が会っていた人たちは別の次元の人で、彩萌が今あっている人は違う彩萌と会う人達で……っは? 彩萌何考えてんの? まったくわけ分かんない事になってる、頭が爆発しちゃうよ!
違う彩萌に会うとしても、彩萌は彩萌で、彩萌だよね!?
これが無限ループってやつなのかなお姉ちゃん!?
いや、でもジェリさんは記憶を対価に魔法を使ってるから、彩萌を覚えて無くても仕方ないよね。
うん……昔の事だからね、覚えて無くても無理はないか、一瞬だったし。
どうなのかな!? あれ、でもそういえば……ディーテさんは昔から彩萌の事を知ってるっぽかったような?
うまれたときから、なんたらかんたら言ってたよーな?
……ぜんぜんわからーん!
――アヤメちゃんの魔法日記、二十五頁




