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アヤメちゃんの魔法日記  作者: 深光
魔法日記
14/107

不思議少年山吹君

 私は山吹陸斗(やまぶきりくと)君が好きです、どうしようもなく、何故か好きです。

 どうして好きなのか、よく分かりません。

 ですが山吹君はとっても優しくて不思議でチョッピリ自己中な良い人であることを知っています。

 そんな私が、どうして山吹君が好きなのかを今日は考えてみたいと思います。


 どうも、叶山彩萌(かのやまあやめ)ちゃんです! 十歳です。

 どうして突然、真面目に山吹君について考えようかと思った訳は今日の出来事の所為です。

 ぶっちゃけ山吹君は学校社会でハブられています、いじめ問題かもしれません!

 ですがデリケートな問題ですからね、慎重に行かねばなりませんよ。むむむ。

 山吹君は男の子ですからね、それはそれは高ーいプライドがありますからね、傷付けてはいけないのですよ。

 今の彩萌に出来る事は観察して、支える事だと思うのです。

 それに彩萌みたいなチビッ子だけでは社会は変えられないのです。小学校も弱肉強食です。こわー。

 それに下手にフォローできない理由は山吹君にもあります。

 山吹君は、不思議な世界で生きている様なのです。

 口には出しませんが、態度で分かるというか、あれ? って思う時があります。

 何もない所をじーっと見ていたり、何かを避ける仕草をしていたり、動物と喋っていたり。

 喋っているに関しては彩萌の涙ぐましい努力という名のすとーきんぐ行為で発覚したわけですが、気にしてはいけません!

 そのすとーきんぐ行為が山吹君公認だと言う事も気にしてはいけません! 彼は不思議っ子ですからね!

 それすとーきんぐじゃなくね? とあなどるなかれです、ちゃんと隠れて尾行してるんですよ。

 まあ山吹君の許可を取ってからしてますけどね! それでおっけーする山吹君もどうかと思いますよ。

 きっと彩萌の努力のおかげで得た信頼関係のなせる業です。

 ちなみにちゃんと山吹君はすとーかーに気付いていない設定でやっています、……あれ? これすとーかーごっこ?


 ――まあ……、そんな事はどうでも良いのです!

 とにかく山吹君は、何か見えちゃってる系だと思うのです。

 彩萌と同じくふぁんたじーが見えているのかもしれないし、見えちゃいけない物が見えているのかもしれないし、山吹君のいまじなりーふれんど的な何かかもしれません!

 ですがその所為で山吹君はハブられている様なのです。

 でも何かが見えるなんて、子供特有のアレだと彩萌は思うのですよー。みんな大人気ないなー、はははー。

 なんて彩萌も笑えないんですよ、だって彩萌だって山吹君に会うまではちょっと不気味だと思ってましたし。

 彩萌はその頃はもっともっと内気で、シャイな根暗っ子でした。

 何かを言われても、何も言えない様なお子様でした。

 なんかー、一年位前の事で何してたか良く覚えてないですけどー、ほかの子が先生に頼まれたんだか、当番のお仕事だったのか覚えてないですけど押し付けられたんですよ。

 彩萌が何も言えないまま、わたわたしていたらその子はぴゅーんとどっか行っちゃったんですよ、許せんぞ!

 休み時間内にどうにかしないといけないんですけど、彩萌はその荷物をどこに届ければ良いのか分かりません! それくらい言ってから行けよー!

 昼休みとかじゃないですから、トイレ休憩でしたから、時間ないんですけどー。

 しかもそんな時に限って担任が見つからない訳で、このやろー……。

 私はメッチャ焦ってました、別に教室に置いておけばよくね? 彩萌は関係なくね? 何処届ければいいのか言われなかったし、先生も居なかったからしょうがなくね? と今の彩萌ならできるでしょうけど、その時の彩萌にはできなかったのです。怒られると思ったのです。

 ぱにっくになった彩萌はお恥ずかしながら泣いてしまいました、これどうすればいいのー! 状態でした。


 そんな時に救いの手を差し伸べてくれたのが山吹君です、マジイケメン。

 彩萌の泣き言をうんうんとうなずきながら聞いてくれるわけです、でも授業始まってますよ?

 そして彩萌の言い分を聞き終った後に山吹君は言ったのです!


「なに言ってるのか全然分かんないや」


 彩萌は人語を喋れていなかった様です、恥ずかしー。

 ですが山吹君はマジイケメンでした。


「でもこまってる小さい女の子を見捨てるのはダメだってお兄ちゃん言ってた」


 その時の山吹君はお兄ちゃん大好きっ子でした……、ですが今はちょっと白い目で見ていたりします。

「この際陸斗でも良いから、エプロンドレス着てください」と土下座されてからちょっと嫌いになったそうです。

「まだイケる年齢だから、まだ中性的な年齢だから! 写真撮るだけだから!」がトドメとなり、嫌いになったそうです。

 流石の彩萌でもそれは引くわー、ですよ。

 山吹君のお兄ちゃんの病気も早く治ると良いんですけど、無理っぽい。

 話を戻しますけど、山吹君は彩萌が落ち着くまで背中をさすってくれたのです。

 これをイケメンと言わずして、誰をイケメンと言うのだ!

 彩萌はその時はまだ落ちていませんでした、でも山吹君かっこいーと思いました。

 その時から山吹君はハブられていたのです、それなのに山吹君は彩萌に話しかけてくれたのです。

 だって山吹君の事を露骨に嫌そうな目で見る子も居たんですよ、もしかしたら彩萌だってそんな目を向けたかもしれないのに話し掛けたんですよ。

 凄い勇気ですよ、彩萌はその度胸にあこがれました。そうなりたいと思ったのです。

 まあそんな出来事があり、彩萌は山吹君が気になり会いに行ったりしたのです。

 そして彩萌の事を知ったとき、山吹君は驚いた様に言ったのです。彩萌はこの言葉をいまだに忘れる事が出来ません。


「一年生だと思ったけど、違ったんだね」


 なんだとこのやろー、このやろー!

 その時に彩萌は決意しました、かっこよくてすてきなクールで大人な熱血レディになるんだって。

 山吹君に、彩萌ちゃんすてき、って言ってもらうのだ、と彩萌は決意したのです。

 それがいつの間にか恋心に変わっていたのです、山吹君すてき。

 まあ、そんなわけで彩萌は山吹君が好きなのです。

 山吹君のプライドを傷付けない様にするためにも、変な感じにならない様にするためにもフォローしたりするのは山吹君の見えちゃう何かを何とかしてからの方が良いと思うのです。

 さいわいにも、暴力行為とかにはいたっていないですから彩萌は出来る限り山吹君のみかたをしようと思います。

 先生に告げ口した所為でいじめが酷くなる、なんて事件もありますしね……。

 むー、山吹君が幻想(ふぁんたじー)の住人だったら平和だったのかもしれませんねー……。





 ――アヤメちゃんの現実(リアル)日記、十四頁

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