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アヤメちゃんの魔法日記  作者: 深光
始まる為のエンディングノート
103/107

魔獣使いと革新と夜の精霊

 彩萌の上にはしーちゃんが乗ってて、その上に二世さんが乗ってて非常に重い。

 二世さんもしーちゃんもすっごい軽いんだけどね、一緒に乗ると重いよ。

 これは彩萌が悪いんだけどね、犬になっちゃったりっちゃんを抱っこしてるからさらに気分も重い。

 起き上がったりっちゃんに奇襲をかけなかったら……彩萌はもっと楽ちんに階段を上ってたはずです。

 だって二世さんはりっちゃんの相棒みたいだから、りっちゃんの上に移動してたはず。

 りっちゃんが小型犬みたいなのにならなければ……。

 彩萌が叩いたのが悪いんだけどね……、まさかこんな階段上るのも大変なくらい小さくなるなんて思ってなかったです。

 元の姿に戻るのはまだりっちゃんには凄い大変みたいです。

 ごめんなさい、マジでごめんなさい。

 重いよ……責任ってすごい重いよ……。

 ちなみにりっちゃんは今は人語を喋れないようです。

 魔女っ娘スティックで叩くと姿が変わっちゃうのは、魔力を奪われた所為なんだって。

 精霊とか精霊に近しい生き物にやるのは大丈夫だけど、それ以外にやると大変危険なので気を付けるようにって二世さんに注意されちゃった。

 ごめんなさい……、もうたぶんぜったいにしない。

 忘れたころにしそうだけど、憶えてる間は絶対にしません。


「これから龍の巣に行って……、ジェーフィクくんを治したらグラーノさんのとこ行くの……?」

「お前の姿が変わってるし、あのチビの魔人族と天狗がどう反応すっかわかんねぇけど良いのかよ?」

「あ……そっかぁ、でも李白さんなら平気だと思う……シェリエちゃんも説明すればたぶん……はぁ」

「……彩萌大丈夫か? 手伝おうか……?」

「いや、ここで手を差し伸べたら彩萌がただの馬鹿にしかならねぇからダメだろ」


 ただの馬鹿にはなりたくないです……、はぁ。

 責任は重いね、彩萌はクタクタになっちゃった。はふー。

 りっちゃんはため息吐いてた、犬なのに器用だね。

 そうなんだよね、姿形が変わっちゃったんだよね……、彩萌にはあんまり実感ないけど。

 ……山吹君に嫌がられたらどうしよう。

 まあ、あんまりネガティブに考えたらダメだね。

 まだ嫌われるって決まったわけじゃないから……。

 なんとか階段を上りきって、彩萌はぐったりしてたよ。

 ちょっと龍の巣までの記憶が曖昧になってるのは寝てたのかもしれない。

 りっちゃんが人型に戻ってて、ジェーフィクくんがちょっと元気になってた。

 今はテスさんにおんぶされてるみたいです。


「リシェア……ありがとう」

「……うー、なんて言うか……彩萌の所為かもしれないから……」

「でも、じごうじとくだから……おれもわるいし」


 なんかジェーフィクくんは自分の鱗ぶちって抜いて彩萌にくれた。

 なんかあんまり嬉しくないけど、貰えるなら貰うね。

 ジェーフィクくんの鱗はカバンに入れたよ。


「お前……竜使いの鏡だな」

「なんで?」

「魔物が自分の体において、魔力が一番宿る部分を相手に渡すって事は命をやるような物なんだぞ」

「でも彩萌天使に羽貰ったよ、しーちゃんに食べさせちゃったけど」


「その天使かわいそうだな」ってりっちゃんはなんか、彩萌を残念そうに見てた。

 ……シノーさんに怒られちゃうかな?

 もし次会う機会があったら土下座しよう。

 なんか彩萌の土下座は価値が低い気がしてきたけど、まあいいや。


「まあ、てんしとかどらごんとかはまりょくすごいし……すぐにはえてくる、でも……だれかにあげたりするのはだめだ!」

「食べさせるのはおっけー?」

「ぎりぎり……、でもだめ! よばれたらすぐにとんでいくから、ぴんちのときだけよべよ!」

「彩萌はあれだな、魔獣使いだな! 超強そうじゃねぇか、カッコいいぜ!」

「魔獣使い……! 素晴らしいですにゃ! ぜひぜひ二世も従属にしてくださいですにゃ!」

「だめー! あやめはちーちゃんのなのー! あやめはちーちゃんのどらごんつかいなのー!」

「ふんっ、よわそうなひつじのくせに! ぜったいおれのほうがかっこいいどらごんつかいにしてやれる!」


 彩萌は魔物にモテモテですね、ところで二世さんは魔物なの?

 二世さんは邪神族で精霊じゃん? 精霊って魔物なの?

 一応魔族だろうけど……、魔物とはちょっと違うんじゃないんですかね。

 というかもう神様次元じゃないですか?


「ちーちゃんだってつよいもん! つよいどらごんだもん!」

「じゃあためしてみるか? どっちのほうがつよいかしょうぶしろ!」


 えーっと……あれです、仲良く喧嘩しろってやつですよ?

 二匹は元気に龍の巣を飛び出して行きました……、病み上がりなのにジェーフィクくん元気だね。


「……っは!? 二世は……残念ながら夜の精霊の従属でした……こんな貧弱そうでカリスマ性の無さそうな男の従属でしたにゃ……」

「貧弱そうは認める、カリスマ性が無さそうって言うのも許す……どうせ俺は元人間ですからね、元魔人でも無く元精霊でも無ければ魔法が使えない元人間ですからね……」

「……りっちゃんは昔は魔法使えなかったの?」

「お前と同じく魔法が使えない元人間だよ、今だって魔石から力を引き出さないとほぼ何も出来ないけど、悪いか?」


 悪くないですよ……、だからそんなネガティブオーラ全開で彩萌を睨むのは止めてください。

「僻み、カッコワルイ」って二世さんに言われてますよ。

 ……お? りっちゃん彩萌と同じなの?

 ……あれ、これ来たんじゃない? 彩萌が魔法を使うためのあれが!


「りっちゃん! 彩萌にも魔石から力を引き出す方法教えて!」


「ヤだ」ってりっちゃんは一言呟いて彩萌に背を見せちゃった。

 なんだよ、りっちゃん本当にどうしちゃったのさ?

 なんでも二世さんが言うには、彩萌が寝てる間にフレアマリーさんに単体で魔法が使えないことについていじられまくったらしい。

 傷ついちゃったようです、かわいそうに……。

 でも魔石から力を引き出すのはすごい勉強とか、練習とか努力が必要なんですよって二世さんがフォローしてた。

 フレアマリーさんは本当に良いところもあるけど、基本いじめっ子だからね……。

 言い返さないとずっと見下されて、いじわるしてくるよ。

 でも何回か言い返せばフレアマリーさん見下さないよ、りっちゃんも言い返せばいいんだよ。

 フレアマリーさん言い返さないやつと弱いやつと、人が嫌いらしいからね……。

 たぶん今フレアマリーさんの中でりっちゃんが弱くて情けない元人間って認識されてるよ。

 フレアマリーさんが一番嫌いなやつ……、りっちゃんこれから長く精霊やってくと思うから頑張って言い返してね!

 認めてもらえればフレアマリーさんすごい優しくて頼りになるよ。

 強いし、料理できるし、意外と面倒見良いし。

 りっちゃん頑張れ!





 ――アヤメちゃんの魔法日記、一〇一頁


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