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「しゃべれないの?」
と続けた彼女は
私と色違いのうさぎの人形をもち、
色違いの服を着ていた
色違いの髪の色、
色違いのピアスの色...
彼女が身に着けているもの
すべて私と色違いのものだった。
私は黒、彼女は白。
同じなのは顔と、
首に焼きいれられた番号、
あとは、声。
それだけだ。
「あなたはだぁれ?」
真っ赤に染まった彼女が私に問いかける。
私は彼女みたいに常に声を発することはできない
そんなふうに枷がつけられているから
いつも携帯している紙とペンで答える。
ーあなたこそ誰よ
人に名乗らせる前にあなたが名乗りなさいよー
あははと無邪気な笑顔を見せると
「あー怖い怖い...まぁ、いいわ。
(にこっ)よろしくね、ミリュ」
え、なんで名前知って...
「本題はこんなことじゃなくて...」
彼女はあたりをぐるりと見回し
「そろそろ来るんじゃないかしら」
ー何が?ー
「私、散らかしちゃったから」
ペロっと舌を出した彼女はこう続けた
「おかたづけ、手伝ってくれるかしら?」