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一人の血にまみれた男が足を引きずりながら研究室から出てきた。
〔に...逃げ...ろ...!!はや....く!〕
私は何が起こったのかわからなかった。
〔があああああぁっ!?!?〕
その瞬間、その男の胸を細い腕が貫いた。
どこかの漫画やアニメでしか見たことのないようなシーンが目の前で起こっている
そんな光景を私は信じることができなかった。
私はぺたんと腰が抜けた。
〔が...あ...あがが...っ..............〕
次第に目の輝きが薄れていく男。
ぴくぴくと痙攣したように動いていた身体はやがて
動かなくなった。
男を貫いていた細腕は引き抜かれ、目の前に倒れた。
私はしゃがみ目を瞑り、
持っていた黒いうさぎのぬいぐるみをぎゅっと抱きしめた。
「ねぇ」
不意に声がかかる。
声に一瞬びくっとして恐る恐る顔を上げてみると
そこに居たのは
血で染まった私...?