◆2章 突然の襲来
窓の外を眺めていた亮輔は、景色が不自然に上下するのを見た。直後、
キィィィィィィィィィィィーーーーーーーーーーーーー!!
というすさまじい音とともに、電車が急にブレーキをかけたのが分かった。
亮輔は思った。何かヤバいことが起こったんだ。
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電車が止まってからも上下の揺れは収まらなかった。
地震だ!しかもいままでにないくらいの。もしかしたら死ぬかも…。
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……助かったのか?心臓がバクバクいっている。
汗もすごいかいている。なにより生きてる。よかった……。
『え〜、ただいま地震が発生した模様です。しばらくこのままでお待ちください』
車内アナウンスが響いた。これで安心だ。亮輔はホッとした。
「なあ、今の地震だよな?ヤバくなかった?俺マジビビったんだけど」
なんだコイツ。
亮輔はあからさまに顔をしかめた。
あのアナウンスがあった直後、隣の車両から学生が走ってきたと思ったら、突然横に座り、亮輔に話しかけてきたのだ。
ツンツンの髪型、だらしない格好─Yシャツははみ出て腰が膝の位置にあった─、ピアス。
今時の高校生だ。
身長は亮輔より少し高く、身体の線は細い。見たところ、同じぐらいの歳だろう。
「そうだね」
亮輔は冷たい視線を送りながら、できるだけ短い返事をした。
「だよねー。てか、俺今日皆勤賞かかってたのに、これじゃもう無理じゃねぇかよ。ついてねぇな」
「皆勤賞?」
亮輔は意外に思った。
とても皆勤賞なんかとりそうには見えなかった。
どっちかと言えば、カッコつけてサボるようなタイプだ。
「そう、皆勤賞。そう見えねぇ?だって休んだりサボったりしても時間の無駄じゃん?だったら授業集中して、勉強はテスト前日だけの方がいいじゃん」
「……なるほど」
「でしょ?みんないい加減コレに気付けばいいのにな。なぁ、ちょっとあっち行ってみようぜ。」
そういって自分が走ってきた車両とは逆の車両を指差す。
「いいけど、その前に名前くらい教えてよ」
「そうか。俺、小林聡士。ヨロシク」
「俺、清水亮輔。よろしく」
「じゃ、行こうぜ」