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長らくおやすみして、すみません

今後も牛歩の更新になりそうですが、よろしくお願いします

 あれから7日経った。

 僕は今はロウヤの家にご厄介になっている。


 僕はまず、言語を習得することに躍起になった。

 話せないのは、精神的に辛いし、何より、現状把握が難しいからだ。


 色々単語を聞き出すために、まるで赤子の様に


 「これはなに?」


 を連発して、ロウヤを困らせてしまった。


 しかし、ロウヤという人物も人がいいらしい。

 僕の拙いコミュニケーションを嫌がりもせず熱心に聞いてくれた。


 4日経って、大体の単語のコミュニケーションが取れるように成ると、今度は村の中を徘徊する日々が始まった。


 村人の会話をひたすら聞いて、会話の法則性をなんとなくだがつかめるようになって来た。

 人間、生きると決めるとなんだか変に図々しくなる。

 自分がこんなにも大胆な行動ができるとは、思わなかった。


 村人を観察していると、この村は典型的な狩猟採集民の村で、人数は多くても50名を超えないぐらいだと判った。


 ある学者が言うには、人間が自然に集まって集団を維持できる人数の最大の単位は150名前後だと言っていたのを思い出した。


 それ以上の人数に成ると、身分や管理制度が必要になるらしい。


 この村は森の中の丘のような地形に立地している。

 近くには小川が流れ、そこが生活水の源となっている。


 村の家の配置は円を描くように丸く配置されていて、玄関は村の中央に向かって設置されている。


 中心には広場が設置されていて、そこが村の主要なコミュニケーションの場となっている。

 祭りも、狩りの獲物を分ける時も、その広場が利用されていているようだった。


 僕を助けてくれたロウヤは、村でも特別な地位にある人物であるようだった。


 村の大人は、主に毎日のように獲物を求めて狩りに向かっていたが、ロウヤはそれに参加しなかった。


 どうやらロウヤは、この村の祭祀と医師の2つの役目を持つ人物だったようだ。

 シャーマンとでも呼ぶべき彼の治療だが、おどろくべきことに効き目があるのだ。


 最初にそれを実感したのは、僕が来て2日後に熱で寝込んだ時だった。

 彼は僕を干し草の上に横たえると、煙の出る草を燃やし、緑色の石を何かを唱えながら僕の頭にそっと載せた。


 最初は「げ、呪術かよ。このままだと俺死ぬかもしれんな……。」なんて思っていたのだが、突然その緑の石が光りだすと、熱と頭痛が次第に引いていくのが判った。


 呆然として、ただその光景を見ているだけだった僕だが、どうやらこの世界には魔法的な何かがあるらしい。


 まだまだ意思の疎通が出来ないので、あれがなんだったのか不明だが、とりあえず改めてここがファンタジーな世界だと実感させられる出来事だった。


 そして、僕は村の会合の席に呼ばれていた。


 どうやら、村人達が僕の事をどうするか話し合っているらしい。


 漏れ聞こえる話の分かる部分だけ聞いていると、どうやらこの村に置いてもらえるようだ。

 ここしばらく会えば積極的に挨拶したり、話しかけたりして警戒心を解いておいたかいがあった。


 だがしかし、今だ言葉も片言で穀潰し状態の自分には何もすることが出来ない。

 この状態だと、しばらく置いてもらっても、やがて追い出されるだろう。


 狩猟採集民の村で、無益な人間を養うのは基本的に難しい。

 つまり、今はお客人扱いで放置されているのだ、これからどうなるのか不安だ。


 ロウヤは取り敢えず、すぐには追いだそうとしている感じではないが、彼とて僕がなにも出来ない状態で村に長く居ることを望んでいないのだろう。

 その証拠に、僕に自分の祭祀の仕事や様々な事を教えてくれる。

 今僕は、この村で医師と呪術師のまね事をしながら日々を過ごしていた。


 「ロウヤ、コレ ドウ ヤル?」


 「これは、まずこの葉っぱと一緒にすりつぶすんだ」


 彼は実地で薬草を使った治療法を教えてくれていた。

 本来シャーマンのこういった知識は秘匿され、他の村人に知られないようにするのが当たり前なのだが、どうもロウヤは僕を拾ってきた責任を感じているのか、僕に一部の簡単な治療方法を教えてくれる。


 代わりに僕は自分が持っている薬草の知識や医学知識を彼に教えていた。


 きっかけは、狩りで怪我をした人が連れて来られた時だった。

お読みいただき、ありがとうございます

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