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下界へ


「ん~。天気いいねぇ」

鮮やかに蒼く煌く空を仰ぎ見て、タイトはそう呟いた。

白く大きな翼を儚く煌めく蒼い空に広げた。

「ま、天界(ここ)は毎日そうか」

ここは人間の棲む地上よりも、ずっと高いところにある。

天界と呼ばれる聖なる地。

勿論もう宇宙にまで飛び立っている人間には決して見えない場所だ。


タイトは、ギリシャ神話の宮殿のような石造りの建物の庭から地上を見下ろした。

見えたのはただの青い海だったが。

「今日は平和かなぁ・・・?下界は」

と独り言を言ってからタイトは口元を醜く歪めた。

「――――なんてね。下界に平和なんて訪れるわけない。あんな愚かな生き物どもに本当の平穏なんて訪れるものか」

あんな愚か者どもを俺たちが救っているのか。いや、だからこそ救わなきゃいけないのか。

「タイト。タイト・リードダイ」

後ろから声をかけられた。

やれやれ、仕事の話か?面倒くさい・・・。これが下界への仕事ならば尚の事。

「なぁに?仕事?」

「さぁな。・・・ゼウス様がお呼びだ。早急に神々の箱庭に向かえ」

ゼウスはこの天界を仕切る、国でいえば王的存在だ。

そんな御偉い様が自分如きに何の用だろう。

「・・・お前、何かしたのか?」

「ハァ?そんな訳ないでしょ。俺、一応優等生だから。・・・もしかしてまた下界の仕事かなぁ。この前行ってきたばかりなのに、面倒くさいなぁ・・・」

「だが、それならゼウス様直々ではなく、手紙で通達されるだろう。何か大きな仕事でなければ」

大きな仕事か・・・。だったとしたら何事か。この天界で戦争でも起こるというのか。

確かに反ゼウス派もいなくはないが、ゼウスのあまりの恐ろしさに反乱を起こした事は一度もなかった。大体、そんな事を当の本人に知られるようでは、ダメダメではないか。

「まぁ、とにかく行って来い」

「はいはい・・・っと」

面倒くさそうに返事をし、白い羽を広げる。

そして2歩程地面を蹴り、空へ飛び立つ。

「ゼウス様、いつもの宮殿にいるんだよね?」

「あぁ。行ってらっしゃい」

「・・・行ってきま~す」

タイトは呼びかけに応じると、一陣の風を起こし、飛び立っていった。


「・・・お呼びですか?」

「呼ばなければ貴様はここにいないだろう?」

腹のそこに響くような威厳のある重々しい声。

王座に座った、綺麗な金糸の髪と、紅い瞳の整った顔。

・・・これでも自分と同い年だろうか。

ちなみにタイト、ゼウスは共に18000歳。人間年齢18歳だ。

「・・・今回貴様には少し大きな仕事を受けてもらう」

「・・・・・・はい」

「まず、今回の標的(ターゲット)はそいつだ」

ゼウスはそういうと、小さな写真をタイトへ渡した。

写っていたのは一人の少年。漆黒の髪に同じ色の瞳。口を真一文字に結び、えらい仏頂面をしていた。

「そいつはただの人間じゃない。わかるな?タイトよ」

「・・・はい。こいつは・・・」

「だが、そいつは本来の自分を忘れ、下界に迷い込んでいる。そいつを何とかしてやってほしい。このままでは、そいつも、周りの人間も、下界も大変な事になってしまう」

「・・・わかりました。できるだけ手は尽くします」

表向き、建前として真面目な返答はしておいた。

だが、これはそう簡単にできる仕事ではない。下手をすれば自分も死んでしまうではないか。

そんな仕事を自分に任せるとはやってくれる。

「・・・危険な仕事だ。一人で抱え込もうとしなくて良い。必要があれば我々も手を貸そう。いつでも頼るが良い」

「ありがとうございます」

深々と頭を下げ、礼を述べる。

「覚悟はいいな?」

「大丈夫です。何があっても引き下がるつもりはございません」

「・・・・・・・・・良い覚悟だ。・・・では迎え、下界へ」

「はッ」

ゼウスに跪き、力強く返事を口にする。

そして、宮殿を出て行こうとした。

「・・・タイト」

「・・・・・・・はい・・・?」

「期待している・・・。頼んだぞ」

「・・・――――――はいっ!」

初めて投稿した作品になります。

読んでいただいてありがとうございます。

連載作品ですので、気長にお付き合いしてもらえたらと思います。

まだまだ下手くそな文章構成ですが頑張って書かせてもらいます。

よろしくお願いします!

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