8 不純と申されましても
「貴様、男と二人きりとは何て不純な・・・」
はい、アガヤ第二王子の登場です。
本当にアガヤ第二王子は私のストーカーでしょうか?
本の僅かなタイミングを見計らってニーハの所に現れ難癖を着けてくる。
毎回返り討ちに合っていると言うのに何てしつこいのだろうか。
「ふっ、今度こそ言い訳出来まい。やっと貴様の本性を暴いたぞ!これに懲りたら俺の言うことを・・・」
「あの・・・」
「何だ!私が話している所を!」
「何が合ったのですか?」
「おお、ミーファか。良く聞け!この女は密室で異性と二人きりでいたのだ。何て不純な事か」
「えっ!ですが・・・」
ミーファも困惑しているわね。
それもそう、この状況にはどこにも問題などないだから。
「アガヤ殿下、先程までミーファさんもここにいて、少しお手洗いに席を外していただけです。それに一緒にいるのは私の弟です」
そう。生徒会役員として弟と二人で仕事をしているだけなのだ。
それを異性と二人と騒ぎ立てるとは・・・
でも・・・
どこか可笑しい。
根拠はないがアガヤ第二王子の雰囲気が何時もと違うように感じる。
「ふん、そんなの関係あるまい、二人きりでおったのだからな。異性と二人など悪女そのものだ」
「それでしたら、国王陛下や教師陣、他の学生さんにお伝えして下さって構いません。ですが、国王陛下につきましてはお伝えするとアガヤ殿下の方が少々困られてしまうのではありませんか?。」
「な、何故俺が?」
「えーと、先ず最初にここは生徒会室で、私は生徒会長で弟は書記です。本日はアガヤ殿下の弟君であられ副会長のユージュック殿下と会計のミーファさんの4人で生徒会の仕事をしておりましたが、ユージュック殿下は何方かに呼び出され少し席を外しております。
ミーファさんはお手洗いで席を外していただけでございます。外に護衛の者もおりますし、隣の部屋にはトラブルがないように担当教師の方も控えております。
このような状況は生徒会としては当たり前なのです。
よって私達は何の疚しい事は一切ないと断言出来ます」
「・・・・」
「問題はアガヤ殿下です。生徒会役員は五年生と四年生の成績優秀な者で生徒による選挙で選ばれます。
歴々の王家の方々は皆様が生徒会役員をされておられました。
生徒会役員となられていないのはアガヤ殿下が唯一でございます。成績で論外でしたが教師陣が流石に王家の者を省く訳にはいかないと選挙の候補に加えたそうなのですが、生徒からも選ばれなかったのです。
この件は学園での出来事なので教師の方も私共も国王陛下には伝えておりません。
ですが、ご自身で伝えたいと言われるのでしたらお止め致しませんのでご勝手にして下さい」
「・・・直接言われるとキツいものがあるな・・・」
「アガヤ殿下?」
「いや何でもない」
「それでは私共は仕事の続きを致しますのでお帰り下さい。ここは部外者の方は立ち入り禁止でございます」
騒ぎで駆け付けた隣で控えている教師に事情を説明すると、教師は思わず「厄介者が」と呟き、外で待機している護衛を呼びアガヤ殿下を室外に連れ出そうとしていた。
「アガヤ殿下?何かご様子が可笑しいようですが何かありましたか?」
いや、アガヤ第二王子が可笑しいのは今に始まった事ではないのだけど、何となく何時もと違う様子がする。
「何もない!」
アガヤ第二王子はそのまま連れ出された。
同時にユージュック第三王子が生徒会室に戻って来られた。
「今のは兄上のようだけど、どうやら兄上がまた迷惑をお掛けしたようですみません。身内としてお恥ずかしい限りです」
「いいえ、私も慣れてしまいましたわ」
「しかし、兄上は変わらないですね。既に父上、母上から見放されていると言うのに本人は気付いていないとは」
「本当に気付いてないのでしょうか?」
「何か?」
「いいえ、私としては契約がこのまま期日を迎えられそうで安堵しております」
契約の期日もあと少しなった。
ユージュック殿下のお言葉では国王陛下と王妃様は既に諦めて下さっているらしい。
まぁ、第三王子のユージュック殿下が優秀ですので、皆さんも安心しているのでしょう。
唯一の心配事と言えばユージュック殿下に婚約者がいない事。
何故か、事ある如く断っているらしい。
最近では進める者もいなくなったとか。伴侶の件はどうするつもりなのだろうか?
「ユージュック殿下は婚約されないのですか?」
「私が伴侶に向かいたい方は心に決めております。私は時が来るのを待っているのです」
時が来るのを待つ?
留学しているって事?
ふと、ミーファを見るとニヤニヤ笑っている。
「どうしましたかミーファさん?」
「いいえ何でも御座いません♪」




