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6 近付くなと申されましても

「貴様、ミーファに近付くな!」


突然、アガヤ第二王子は叫ばれる。

私もミーファも困惑してしまう。

ここは学園の食堂だ。

私とミーファは仲良く学園でランチをしていただけであった。

そこにアガヤ第二王子が突然現れ『近付くな』と叫ばれても・・・

アガヤ第二王子にはこの状況をが見えていないのだろうか?


「お伺い致しますが、どうしてですか?」


「どうしてだと?貴様は俺と親しいミーファに嫉妬して苛めているのだろう。貴様は顔に似合って陰湿な事をする」


顔だと(怒)

人が気にして毎日タレ目になるマッサージをしているのに。

この男はいつも言葉を交わす度に悪役令嬢だの目付きがキツいだのと、人が気付く事を平気で口にする。

こうなったら容赦しない。


「アガヤ殿下、この状況を見てどのように苛めているように見えるのですか?」


「・・・」


ニーハの返答に食堂にいる皆が頷く。


「アガヤ殿下、私はニーハ様方と一緒にランチを頂いているだけです。前にも言いましたがニーハ様から苛められた事など一切ありません」


ミーファはアガヤ第二王子にニーハが無実である事を告げてくれていた。

ミーファに転生した子がいい子で助かった。

アガヤ第二王子のように最悪な碌でなしが転生していたら学園生活が地獄であったと思う。


「そ、そんな馬鹿な・・・こ、これから苛めるはずだ!この女の事は信用するな!」


「では、ミゼル様に見張り役として一緒にいて頂きましょう。それならアガヤ殿下も安心されるのでは?まさか、ご自身の側近が信用出来ない訳は御座いませんよね?」


「あ、ああ。それならいいのか?」


疑問系で言われても知らないわよ!

アガヤ第二王子が渋々帰ろうとしていたので、ミーハはアガヤ第二王子を呼び止める。

アガヤ第二王子がご退場して頂く前に言わなければいけないことがある。

初めてミーハから呼び止められたので、アガヤ第二王子は驚きながら振り返った。


「調理の方、申し訳御座いませんが新しいものに変えて頂けますでしょうか?」


「仕方がないね」


「???」


アガヤ第二王子はまだ気付かれていない。

ご自身が犯した過ちに。


「お解りになりませんかアガヤ殿下、食堂で怒鳴られるのは常識的であり得ません。私共の食事にアガヤ殿下の唾が飛び、もう食す事が出来なくなってしまいました。この件につきましてはアガヤ殿下のお父上であられます国王陛下にお伝えさせて頂きます」


アガヤ第二王子は周りを見渡すと皆が白い目でアガヤ第二王子の事を見ている。

調理室の方は腕を組みアガヤ第二王子を睨み付けている。


「か、勝手にしろ!」


アガヤ第二王子は負け犬の捨て台詞を吐いて去ってゆく。

いつ国王陛下からお怒りが来るのか、それまで怯えて過ごす事になるのでしょう。


「さぁー、気分を取り直してランチの続きをしましょ。ミゼル様はミーファさんの隣でいいわよね」


「「えっ!」」


ミーファとミゼルが見事にハモる。

ニーハと他の令嬢は、そんな二人を構うことなく席を用意した。


「ミゼル様はミーファさんの護衛なのですから」


もうミゼルが抗う事は出来ない。

ミゼルは観念して用意された席に座る。

訳の解らない邪魔が入ったが、ミゼルとミーファの仲が縮まる切っ掛けとなったので良しとすることにした。


「ミーファよ最近はニーハと一緒にいることが多くないか?」


「ニーハ様は王家の教育を受けておられると言う事で色々と教えて貰っているのです。私、貴族として何も知らないのでニーハ様には感謝しております」


「そ、そうか・・・今度の日曜日に観劇にでも見に行かないか?」


「申し訳御座いません。もうすぐテストと言う事でオーザッカ侯爵邸で勉強会を行う事となっております。

安心して下さい、見張り役としてミゼル様も参加して下さいますので」


「ミゼルがか!?そ、そうか・・・それでは仕方がないな・・・」


この後、ミゼルはアガヤ第二王子の側近から外される事となった。

ニーハの思惑通りであった。

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