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5 苛めないのと申されましても

「ちょっと、何で苛めないのよ!」


ニーハも13歳となり、貴族の子息子女が通う学園に通う事となった。

アガヤ第二王子とは顔を交わす時に会釈をする程度の関係である。

友人もでき学園生活を楽しんで6ヶ月ほど経った頃だろうか、ニーハが一人でいた所を一人の令嬢が話し掛けて来た。

彼女の顔は知っている。

最近、アガヤ第二王子と腕を組んで歩いていたのを目撃している。

二人して当て付けのように見せて来ていたが、私は新しく出来た友人とランチを食べに行くのに忙しく一礼だけしてその場を後にした。

それが行けなかったのだろうか。

しかし、問われた事が何故苛めないのかだ。

苛め自体がおかしい事なのに、それをしない事で問われるとは思いもしなかった。


「貴女も前世の記憶持ち何でしょ!勝手に話を変えないでね」


どうやら彼女も前世の記憶持ちらしい。

そして、彼女の口振りからすると、やはりこの世界はゲームか小説の中みたい。

そして、彼女はシナリオを知っている。

何だか、申し訳ない。

話を変えるなと言われても、そのシナリオを知らないのだから何を変えてしまったのかが解らない。


「御免なさいね。私、ゲームってやった事ないの。だからこの世界が何なのか全く解らないの」


「えっ!」


その後、彼女と私は打ち解けと互いの話をする。

話し掛けて来た女性はミーファ・ホワイト。

ホワイト男爵家の養女らしい。

ミーファが言うにはこの世界はゲームの世界でミーファはその中でヒロインだと言う。


「ゲームと言うことはミーファさんはアガヤ殿下狙い?それとももしかして噂で聞くハーレム狙い?」


「ち、違うわよ」


「でも、アガヤ殿下と腕組みして歩かれていませんでしたか?」


「あれは・・・」


ミーファが言うにはミゼル・レッド、レッド伯爵家令息狙いらしい。

レッド伯爵家は武家の貴族で伯爵自身も騎士団長をされており、ミゼルも将来は騎士を目指しているらしい。

ミゼルはアガヤ第二王子の側近として務めている。

そのミゼルと親しくなるにはアガヤ殿下と親しくなる必要があるから近付いたらしいのだが、ゲームをやらない私には良く解らない。

普通なら他の男と腕組みしている女性に興味を持たないと思うのだけど。

しかも上司の愛人に手をつける様な事をするだろうか?

ただ、そこで私がミーファを苛める所をミゼルが助ける事でミゼルとの好感度が上がるらしい。


「それは御免なさいね」


「いや、その、別にいいのよ。それよりも、貴女はアガヤ殿下の事が好きじゃないの?」


「それが、出会って最初の言葉が『悪役令嬢』よ。本人にも問われたけど、どう見ても好きになる要素がないと思わない。」


「嘘でしょ。アガヤ殿下は最初はニーハに好意を抱いていたはずよ。ちょっと待って、悪役令嬢って事はアガヤ殿下も前世持ちって事?」


「おそらく」


「どうりでゲームとは違う台詞を言うし、品行方正な性格の設定だったはずが全然違うと思ったわ」


品行方正?

あれが?

どうしてそうなったか解らないけど、私も含め間反対の性格の者が転生してしまったらしい。

そうなれば、話の展開はゲーム通りにはいかないはず。


「ミーファ気を付けた方がいいわよ。このまま行けば彼は廃嫡となる可能性があるわ。そうなると貴女もその原因となった令嬢として処罰されてしまうわよ」


「そんな・・・折角ヒロインに転生して勝ち組だと思ったのに・・・」


可哀想に。

でも、アガヤ第二王子の今の性格を考えると廃嫡となる可能性が高い。


「ミーファ、今すぐアガヤ殿下との距離を見直しなさい。それと、ミゼル子息との仲は私が取り持って上げるわ」


「あ、ありがとう・・・」


ニーハはミゼル子息に『ミーファ嬢が他の令嬢から苛められているらしいから守って欲しい』と頼むと二つ返事で引き受けて頂いた。

ミーファもあの日よりアガヤ殿下との距離を保つようになり、ヒロインのミーファと悪役令嬢のニーハは親友となった。

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